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セイヨウミツバチの集団防衛(窒息スクラム)


ニホンミツバチは,オオスズメバチの攻撃に対する対抗手段として,熱殺蜂球を作りスズメバチを熱殺するという戦術をとることが知られていますが,似たような行動がセイヨウミツバチでも見られることが明らかになってきました.

セイヨウミツバチの蜂球の中心温度は44℃と低く,オオスズメバチが死亡する46℃に達しないものの,蜂球に捕らえられたスズメバチの体温はオーバーヒートにより46℃を越え,その結果死亡するものと考えられています.

また,最近の海外での研究によれば,スズメバチの腹部を集団で締め付けることにより,スズメバチを窒息しさせていることが明らかにされました.このセイヨウミツバチの対抗手段は,熱殺放球と区別して窒息スクラムと言います.

この間,オオスズメバチは強力な大顎でミツバチを噛み殺すため,ミツバチ側にも大きな犠牲が生じますが,体の小さなコガタスズメバチやキイロスズメバチに対しては,あまり犠牲も出ず有効な対抗手段になっています.

こうした行動は,スズメバチが何度かミツバチの巣を捕食に訪れることに対する学習効果により引き起こされる可能性が示唆されています.

熱蜂球によるオオスズメバチとの戦い

オオスズメバチとの戦いでは,多数のミツバチも犠牲になる

熱蜂球によるコガタスズメバチとの戦い コガタスズメバチとの戦いでは,ミツバチの犠牲はほとんど無い