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”ヘボの巣コンテスト” 1999


ヘボの巣の大きさ(重さ)を競う,第6回”ヘボの巣コンテスト”が,11月3日に岐阜県恵那郡串原村で開かれました.当日は晴天に恵まれ,会場は大にぎわいでした.



岐阜県の東濃地方からこれに隣接する愛知県の東三河山間部,長野県の木曽谷及び伊那谷地方では,クロスズメバチ Vespula flaviceps やシダクロスズメバチVespula shidai のことを"地蜂"や"ヘボ"と呼び,地中の巣を見つけて中の幼虫やさなぎを食べる習慣があります.

 最近は天然の巣を見つけるだけではなく,飼い巣といって,7月〜8月頃に見つけた小さな巣を飼育箱に収容し,秋までに大きく育てることが盛んに行われています.このヘボの巣コンテストはこうして飼育した巣の重さを競うものです.


会場にはクロスズメバチが飛び交いあちこちに止まります.
ハチが苦手な人には少しつらいかも・・・.
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帽子に止まる シャツの襟に止まる 指にも止まる 当日会場で購入
愛好家必読!

会場は異様な熱気に包まれていました.成虫を煙幕でいぶしてから,順次巣箱から取り出された巣は,ビニール袋に入れて重さが計量され記録されます.地元の岐阜県東濃地方の他,遠くは山梨県からも参加者が集まってきていました.出品されたハチの巣は100点を超えていました.最も大きかったのは4.62Kgで,3Kgを越える巣も1割くらいありました.巣の大きさはかなりバラ付きがあり,参加者の皆さんは箱から巣を取り出して一喜一憂していました.

計量が済んだ巣は,非売品を除いて競り売りされます.相場は市場で1Kg当たり12,000円位とのことですが,会場では9,000円〜10,000円位で競り落とされました.この間も会場にはハチが飛び交い,時には刺傷被害も発生するようです.


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煙幕を使ってハチを眠らせてから中の巣を取り出す はかりの乗せて慎重に重さを計量します 計量が終わった巣は会場で競り売される 競り売りは軽トラックの荷台の上で行われた

串原村ではヘボの養殖も試みられています.係員の案内で”くしはらヘボの家”を見学しました.室内には6個の飼育箱が置かれ,働きバチが盛んに出入りしています.ここで翌年巣を作る新女王バチを増殖し,翌年の春に越冬した新女王バチを山野に放っています.


小屋の壁に作られた外皮状の構造物 小屋の中の飼育箱 箱の入り口に置かれた鶏の肝臓に群がる働きバチ

 串原村からの帰路,愛知県瀬戸市の山中でヘボの餌付けを観察できた.小道の脇に木の枝にエビのむき身が刺してあり,クロスズメバチが通って来ていた.
 肉を切り取り団子状に丸め,口にくわえて南東の方向へ飛んでいくのを見ました.