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地域別の発生状況 |
|種別・年別の発生状況|地域別の発生状況|月別の発生状況|刺傷被害の発生状況| |
スズメバチの発生状況は地域により大きな差が認められます.25年間の延駆除件数が最も多かったのは緑区の1,994件で,以下守山区,名東区,千種区,天白区の順となっており,この5区が1,000件を超えています.逆に最も少ないのは港区の172件で,最も多い緑区の8.7 %に過ぎません. それでは,今後名古屋市でどの程度までスズ メバチの発生量が増加するのでしょうか? それぞれの区で最多となった年の駆除件数を,面積1Ku当たりに換算してみると,興味深い結果が得られますす. 市域を東西でみると,名東区,千種区をピークとして東に多く西に少ない傾向が見られ,東部の丘陵地とそれに連なる洪積台地上の区で件数が多く,西部の低地(沖積平野)に立地する区では少なくなっています.南北で見ると,名東区(8.0件:1998年)をピークとして,南北いずれの方向に移動しても少なくなります. 同じ東部丘陵地であっても件数に差がみられる原因として,開発による宅地化の差が挙げられます.比較的早く開発が進んだ千種区や名東区では住宅建設が進んでいることから,駆除件数が多くなったと考えられます.今後宅地化が進展する守山区(5.2件:2004年)や緑区(4.5件:2005年)では,少なくとも天白区(7.0件:2004年)や千種区(7.2件:2005年)並の増加が予想され,最終的には全市で1,500件を上回る能性があります. また,西部では南に下がるほど少なくなり,港区(0.5件:1997年)が最低でした.これは西南部の低地では,スズメバチの越冬に適した環境が少ないためだと考えられます.コガタスズメバチは市内全域で発生していますが,発生量は非常に地域差が大きく,東部丘陵地とこれに隣接する千種,昭和,瑞穂,守山,緑,名東,天白の7区の占める割合が圧倒的に高く,逆に市の中心部や西部の低地の東,北,西,中村,中,熱田,中川,港,南の9区では少ない傾向にあります. コガタスズメバチが総駆除件数に占める割合は,東部の5区では平均90.4%であるのに対して,他の11区では96.9%と高くなっています.最も低かったのは守山区の86.3%でした.これは,コガタスズメバチ以外の種が東部5区を中心に発生していることを示しており,それぞれの区の良い環境指標ともなっています. 区別の発生種数をスズメバチ属6種についてみると,6種とも記録があるのは千種,名東の2区,5種の記録があるのは中村,中,昭和,守山,緑,天白の6区,4種の記録があるのが東,北,西,瑞穂の4区,3種の記録があるのは中川,港,南の3区,2種の記録があるのは熱田の1区のみとなっています.キイロスズメバチは16区中11区で駆除記録があります.以前は市内中心部でも少数ながら発生がみられましたが,現在は東部の各区を中心に発生しています. 過去25年間の延駆除件数206件の うち,守山区が120件と全体の58.3%を占め, 以下千種区28件 ,名東区24件,天白区15件の順となっています.本種は同一区内でもさらに特定の地域に集中して発生する傾向が強く,東谷山周辺(守山区),小幡緑地周辺(守山区),平和公園周辺 (千種区,名東区),東山公園周辺(千種区・ 名東区・天白区)などで多発しています. モンスズメバチは12区で発生しています.過去25年間の延駆除件数286件のうち,千種区が71件,24.8%と最も多く,以下守山区62件, 天白区56件,名東区52件,緑区で24件の順となっており,東部の5区で全体の92.7%を占めます. その他には昭和区で10件発生しているのを除けばいずれも散発的です.本種は幼虫の餌をセミに依存する比率が高く,周辺の環境を反映しやすい種です.また営巣規模も大きく市街化の影響を受け易いためか,東部丘陵地に連なる各区で多発しています.キイロスズメバチ以上に特定の地域に集中して発生する傾向が強く,小幡緑地周辺(守山区)や,東山公園周辺(千種区,名東区,昭和区および天白区)で多発しています. |
ヒメスズメバチはコガタスズメバチ同様市内16区全てで駆除記録がありますが,やはり東部の各区を中心に多発しています.過去25年間の延駆除件数347件のうち,緑区が92件,26.5%と最も多く,以下名東区69件,守山区62件,天白区48件の順となっており,東部の5 区で全体の84.1%を占めま. オオスズメバチは全体の78.2%が東部の5区で発生しています.これは,本種の営巣場所が主に樹洞や土中であること,幼虫の餌に大型の鱗翅類の幼虫やカナブンなどを狩ることから,市街地では営巣場所や餌資源の確保が難しいことや,越冬場所が主に土中であることから,コガタスズメバチ以上に,市街地では越冬に適した環境が少ないためと考えられます. |