漫画を描く時使う道具 H20.3.8更新

ここではスガアマが漫画を描く際使用している道具をご紹介させて頂きます。
その前にまず、作業場をば・・・

左の写真をご覧下さい。なんとはなしに雑然としてますね。これはまだキレイなほうで、作業中はもっと汚くなります(汗;)
原稿は主にデスクマットの上で仕上げ、右側の空いている箇所には資料やスクリーントーン(後にご紹介)を置きます。左側には筆記具(後にご紹介)を集中して置きます。中央正面には製作中、キャラの陰影や細かな顔のパーツを自分の顔を見て確認するための鏡とお気に入りのイラスト、ピンクのローリングカーテンには制作に関する注意事項やスローガンなどを貼り付けます。右側の引き出しにはA4サイズの原稿用紙、定規、ティッシュペーパーが入れてあり、その上にはデスクライトが置いてあります。

その他、細かな道具がごちゃごちゃと置いてあります。が、一見テキトーに置いてある様で、実はコレ、いざすぐ取って使えるように配置されているのです。これは長く作業を続けているうち自然とそうなっていきます。モチロン、漫画描きそれぞれにそれぞれの使いやすい置き方が生じてきます。

これから漫画を描こうとしているあなた様の机も、漫画を描き続け、道具を揃えていくうちに他人には理解できない、けど自分にとっては理想の作業場が出来上がっていくのでしょう。想像するだけでワクワクしてきますね?

では以下、道具をご紹介します。
原稿用紙

一般的に投稿用と同人用に分かれます。投稿用はB4サイズですが、同人用はA4サイズです。また、厚手と薄手があり、重量でそれが示されてあります。(重量の重いほど厚手です)投稿用でしたら持ち歩きやすいように、B4の薄手のものが良いでしょう。40枚入りで値段は¥400〜¥600。メーカーやサイズ、厚さ(重さ)によって価格が違います。

材質は上質紙で、ワク線引きの目安になるメモリが、印刷屋で印刷しても写らない薄い色のラインで記されています。(左下の写真参考)たいがいの雑誌社でしたらこういった原稿用紙で持ち込み可能ですが、場所によっては規定ワクの特別なところもあるので確認が必要です。

まだこういった用紙が出回っているのを知らなかった頃、スガアマはケント紙を使っていました。ケント紙は紙質としては最高ですが、値段が当時で一枚\60ぐらいしました。それに、画材屋によっては規定内と規定外とサイズが2種類あり、表と裏とがあるので、描く度に確認しなければなりませんでした。(適度にペンが引っかかったりインクのにじまないほうが表です)また、当然ながら真っ白な為、規定ワクを記した型紙を作成し、目打ちをしなければならないわずらわしさもありました。

質にこだわるならケント紙、使いやすさ重視でしたら市販の原稿用紙をお勧めします。
下描き用筆記具

漫画描きさんの中には鉛筆を使っている方もいらっしゃいます。が、削るのが面倒臭いのでスガアマはシャーペンを使用しています。芯は筆圧に応じてお好みの柔らかさで。

グラフィック用のシャーペンは0.5やら0.3やらと細さがいろいろ選べ、先端が細くなっていますので定規をあてるのに便利です。(写真上から2&3番目)
値段は¥500〜¥1,000ぐらい。

人物など、フリーハンドで描く際は0.5が一般的ですが、スガアマは0.7(写真一番上の木製軸のもの)を使用しています。値段は\1,000と少々高めでしたが、基本は自分の手に馴染むかなので、値段にこだわる必要はないと思います。

写真下から2番目のシャーペンは、印刷写りしにくいといわれる青い芯が仕込んであり、原稿のページ打ちやトーン(後にご紹介)を切る際の補助線を引く際に使用します。

消しゴムは色や香りつきではなく、真面目なプラスティック消しゴムをご用意ください。ペンタイプの消しゴム(写真一番下)は細部を消したい時に大変便利ですので是非揃えておくと良いでしょう。

←こちらは”製図用ブラシ”といいまして、消しゴムのカスやトーンの削りカスをはらうのに活躍してくれます。手よりもスピーディーにはらえるので、あると便利です。
(\1,000前後)
ペン入れ用筆記具(ペン先、ペン軸)

上から順にGペン、スクールペン、かぶらペン(スプーンペン)、丸ペン、丸ペン(日光ペン)と呼ばれるものです。画材屋ではペン軸とペン先と別々に売られています。ペン軸は\200〜\400円ぐらい、ペン先は一本\60〜\80ぐらいでしょう。種類やメーカーによって描き味が違うので、自分に合ったペンを探すのにいろいろ買って試してみると良いのですが、お金に余裕がなければまず、Gペンと丸ペンを購入することをお勧めします。尚、ペン先は消耗品です。描き続けると先端が割れ、その都度交換が必要ですので余裕をもって多めに購入してください。

これらはインク(後にご紹介)につけて線を出します。線の描き具合についての特色は以下の通りです。

●Gペン
太さ細さが力加減で思い通りに出せ、
強弱が激しいほどキレのある感じの
イラストに仕上がります。人物を描く
のに適しています。

●スクールペン
一定した細さの線が描けます。建物
などを描くのにいいでしょう。

●かぶらペン(スプーンペン)
細さは一定してますが、若干スクールペンより太い感じです。これらのペンの中では安定感があって一番使いやすいと思います。

●丸ペン
これらのペンの中では一番細く描けます。髪の毛やアミカケ、動作線、フキダシなどを描くのに適していますが、場合によっては人物を描くときに用いたりします。Gペン同様、力加減で線の強弱がつけられます。メーカーによっては形状の違うものもありまして、日光は日光用のペン軸が必要です。

人物や建物と、描くものに応じてペン先を変える方法もありますが、時間に追われて描かねばならない時などはそんな手間でさえわずらわしくなってきます。できるだけGペン1本でなんでも描けるよう訓練することをお勧めします。

ミリペン

インクをつけて描くのがまどろっこしい場合はこちらをお勧めします。ミリペンは水性ですが、乾くと耐水性に優れ、カーボンが入っているので仕上がりが薄くみえても印刷する際はくっきり出るという特徴があります。いろいろな細さが揃っており、また、ブラシと呼ばれる毛筆風のものもあって、それを使ってベタ塗り(塗りつぶし)や髪の毛を描いたりもできます。

”インクつけペン”と比べて線が硬い感じに仕上がりますが、中には人物を描くのに愛用しているプロ漫画描きさんもいらっしゃいます。スガアマは主に擬音や木の葉っぱ、ワク線を描くのに利用しています。が、原稿が仕上がった後の手直しにも使えて大変重宝です。
一本\200。


インク

インクつけペンのお供であるインクは主に水性と油性とに分かれます。

水性は水に弱く、仕上がりの線が薄くなりがちですがサラッとしており、ペンの走りが良いのが特徴です。一般では主に、パイロット社の製図用インクと証券用インクが知られています。(写真右)証券用インクは製図用と比べると仕上がりの線も薄く、サラッとしていますが乾くと耐水性になります。

アートカラー社の漫画インク(写真左)も水性ですが、仕上がりがくっきりしているうえに乾きも早く、耐水性もあります。但し、パイロットのインクと比べるとベトつきがあります。

耐水性のある水性インクといえども、彩色する際は多少水ににじむ危険性がはらんでいます。更に耐水性にこだわりたいという方は油性(写真中央、メーカーはアイシー社のもの)をお勧めします。これらは文句なしに水に強く、仕上がりの線もくっきり出ます。が、べとべとしてペン先がすぐ使えなくなるので描画しながらペン先の手入れをするという苦労が常についてまわります。そういう時は”簡単マイペット”をティッシュにしゅっとかけてフキフキすれば汚れが落ち、ペン先も使えるようになります。

近年では各メーカーで漫画インクが発売され、それぞれ特徴が違います。が、どれであれ選ぶポイントは「ペンの走り重視か?濃い仕上がり線重視か?」のような気がします。ペンの走りを選んだなら仕上がり線が薄くなることを覚悟しなければならないし、濃い仕上がり線を選んだならペンの走りの悪さを覚悟しなければならないでしょう。どちらを重視するかのバランスが自分に合ったものこそ、理想のインクになり得るかと存じます。

インクの価格は¥500〜¥600ぐらい。デリータ社のものでしたら¥200ほどで売られています。

ホワイト

主に、原稿の修正やハイライト(光沢感)をだす為に使用します。インク同様、水性と油性があり、水性のほうは伸びが良く、仕上がりがきれいでも水に弱い特性があり、油性のほうは水に強くとも伸びが悪く、仕上がりがデコボコする(その上匂いもキツイ)特性を持っています。使用する際は中身をよくかき混ぜてからパレットに取って水と混ぜ、筆(後にご紹介)につけて使用したい箇所に塗ります。
一般にドクターマーチン社(写真右と中央)のものが知られていますが、スガアマのお勧めはアートカラー社の「漫画修正インク」(写真左)です。こちらは水性ですが、充分に乾かせば上からペン入れ可能なので、顔のパーツを修正するのに大変活躍してくれます。但し、即乾性ですので使わない時でも定期的に水を足さなければならず、また、ゲルインクと併用するとピンク色に変色する欠点もあります。

尚、ホワイトはこういった漫画用でなくとも、文具店でよく見かける修正液やポスターカラーの白でも充分代用できます。ワク線からはみ出た線を消す場合などに備え、定規が使えるペンタイプのもの(左写真、ポスカの白)も揃えておくと便利です。
値段は¥200〜¥900

ベタ塗り、ホワイトがけの道具

「ベタ塗り」とは「隙間なく塗りつぶす」という意味で、漫画描きがよく使う言葉です。面積の少ない箇所は直接ペンで塗りつぶしたりもしますが、広く塗る場合はやはり筆のほうが便利だと思います。筆は他にも髪の毛の質感を出したり木の葉や擬音、台詞などにも用いたりするので是非揃えておきたい道具です。ベタ塗り用とホワイト用の2種類をご用意ください。
筆は主に面相筆(写真下の細い筆)がよく使われていますが、広く塗るための太い筆も揃えておくと便利です。ぺんてる社のカートリッジ式筆(写真下の黒い軸の筆)はキャップを外せばすぐ使えるのであると大変重宝します。
ベタ塗りの際、スガアマはサクラのマット水彩(黒)で塗ります。水に弱いですが乾きが早く、適度な固さで塗れば恐ろしくムラのない仕上がりになります。

筆洗い(写真上の白と茶色のカップ)はベタ用とホワイト用を用意します。絵の具皿は梅皿(写真中央)を使っています。狭い机ではこの形が一番使い勝手がいいです。選ぶなら陶器製をお勧めします。プラスチック製だと絵の具の色が落ちなかったりする場合があるからです。また、フタ付きのがあると便利です。

当然のことながら、筆洗いと絵の具皿の下には雑巾を敷きます。筆に含んだ水分をふき取るなどの役割も担う影の立役者です。
値段は面相筆が一本¥500、ぺんてる筆は一本¥400、マット水彩は一本¥100、陶器製梅皿は¥500、筆洗いはどこぞで貰って来たもの。

直線定規

直線定規はワク線を引いたり建物や家具を描いたりする時に使います。スガアマは小回りのきく18cmとワク線をひく為に使う30cm及び45cmの3種類を使用していますが、更に見開きの対角線をひく為の80cmがあると嬉しいです。

直線定規はペン入れする際、エッジを裏っかえしに当てて使います。ボディに5mm間隔の方眼が付いていて、ある程度重みと厚みのあるものが使いやすいでしょう。
また更に、片面にステンレスが入っていて、カッターを当ててもガタガタにならないものがあると重宝します。(下写真)筆で直線を引く時に使う溝もあると便利です。

くれぐれも定規はエッジのついたものを選んでください。エッジのないものは後ろに1円玉をセロテープで貼り付けるなどの処置を行うと良いでしょう。
値段は¥100〜¥2,000ぐらい。¥1,000あれば良いものが買えると思います。
雲形定規

車など、曲線をきれいに描きたい時に使用します。
どっち側でもペンが使えるように、両面にエッジの
付いたものが便利です。
写真はステッドラー社製のもので
値段は¥1,500ぐらい。

円定規(製図用テンプレート)

ちょっとした丸い物体を描くのに大変重宝します。
だ円定規も一緒に揃えておくと良いでしょう。
ペン入れの際はミリペンかゲルインクボールペン(後にご紹介)を使用します。
値段は¥1,000〜¥2,000ぐらい。
スクリーントーン

スクリーントーンは薄いフィルムのようなものでできており、低粘着性なので何度でも貼ったりはがしたりができます。(中には粘着性が強く、一度紙に着いたらはがすのが難しいものもあります)
柄は豊富にあり、ドット(点)で濃淡を表現したものや砂目(砂模様)のもの、グラデーション(濃淡の変化が滑らかにあらわされているもの)が代表的ですが、中にはチェック柄や雲柄、漫画の背景そのもののトーンもあります。カラーや陰影、質感、背景・・・と、さまざまな表現法が可能です。

使い方はトーンの袋に書いてありますのでそれを参考にするといいでしょう。切り取るには小回りの利くカッターが必要です。他には上からこすって定着させるために敷く紙(トーンの台紙など)とカッティングマットを用意しておくといいでしょう。
(トーン貼りの道具については下にてご紹介)

また、スクリーントーンにはレタリングのようにこすって定着させるタイプもあります。その場合は余分な箇所をはがす為の低粘着性のテープが必要です。
値段は\300〜\1,000ぐらい。

トーン貼りの道具

右から順番に、トーンナイフ、カッター、砂消しゴム(ペンタイプ)、トーンヘラ、バニーシャー(トーンこすり)といいます。

トーンナイフはトーンを切る以外にも削りを入れるために使用します。削るだけでしたら市販のカッターでも有効です。
砂消しゴムはトーンの柄を消すのに便利ですが、切り口の部分に使用すると原稿を汚す危険性があります。(その場合は汚れた部分をホワイトで修正します。)
トーンヘラやバニーシャーはトーンを原稿に定着させる為に上からこすって使います。

トーンを切る際、万が一刃を痛めたり机に傷が付いたりしない為にもカッティングマット(下写真の緑の敷物)をご用意下さい。このマットは高さがあり、この上で原稿に消しゴムをかけた際、消しカスを払い落とせば原稿と消しカスを完全分断させることもできますので、下描きやペン入れなどの作業がしやすくなります。

他にも、トーン貼りにあると便利な道具があります。ご興味がありましたら当ページ下の(その他)をご覧下さい。

値段はトーンナイフが¥400前後、カッターは¥100から、砂消しゴムも¥100〜、トーンヘラは¥200前後、バニーシャーはアイシー社の「プロギア3点セット」(¥1,500)のひとつ、カッティングマットはB4の大きさで¥1,000前後(小さいものなら100円ショップでも購入可能)


その他・・・コレらがなくても漫画は描けますが、「あれば便利〜!」と思ったものをご紹介します。


油性ペン

トーンの上からベタ塗りやペン入れのし忘れた箇所を、コレで描いちゃいます。

メンディングテープ

貼ると透明になるテープです。細かく切り貼りしたり、めくれあがったりしたトーンのはがれ防止に上から貼ります。

ラバーテープ

トーンの切り口のベタベタを、削りカス汚れと一緒にこすり取ってくれます。

マスキングテープ

低粘着性の紙テープです。ペン入れやベタ塗りをしたくない箇所を保護する為や、見開き原稿の仮止めなどにも使います。


ゲルインクボールペン

発色が良く、乾くと耐水性になります。線が安定しているので建物を描いたり円定規で円を描くのにピッタリです。


トレスボックス

写真などから原稿に描き写す時に使用します。面倒臭い背景を資料からソックリ描くにはもってこいです。

みぞひきくん

アイシー社の商品です。筆でまっすぐな線を引くのに活躍してくれます。使用する際は溝のある定規が必要です。

コンパス

どんなペンでも挟めるクリップ式のものが便利です。

ニッパー

ペン先を、手の油を付けずにペン軸へ装着することができます。その際使う力も軽減してくれるスグレモノです。


洗浄液

「かんたんマイペット」を空いたインク瓶に詰めただけのものです。ふき取っても取れないペン先のインク汚れを、そのまま瓶に突っ込んで落とします。

スポンジ

100円ショップで買ったのを適当な大きさに切りました。霧や何かの飛び散る表現をする際にインクを付けてポンポンします。黒インク用とホワイト用とに使い分けます。

しょうゆさし

お弁当でよく見かけるアレです。ベタ塗りやホワイトがけの際、水入れからパレットに水を汲むのに使います。こちらも黒インク用とホワイト用とに使い分けます。


改めて見てみると、道具の多さに自身もオドロキます。でもこれらは始めから全て揃えた訳ではありません。
ですから必要だと思うものから少しずつ揃えることをお勧めします。また、独自の表現法を創意工夫する
事により、ご紹介したこれら以外にも使える道具が見つかるかもしれません。是非探してみて下さい。

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