"スパークNo243" (2005.2)



第21回トヨタシンポジウム
 トヨタの社会的責任を問う

トヨタは空前の利益、ところが豊田市の中小企業の七割が赤字

 ――労災 過労死 サービス残業  単価切り下げで利幅少ない!
 トヨタ自動車の社会的責任を問う第21回トヨタシンポジウムが昨年11月28日、刈谷勤労福祉会館で開かれました。愛労連議長の挨拶の後、愛知労働問題研究所の伊藤副所長が「多国籍企業トヨタの経営戦略」と題して基調報告。続いて行われた討論では過労死した遺族や「支援の会」の人たちが次々と発言。トヨタ自工の内野さんは、月114時間の残業、班長としての役職、QCサークルリーダー、組合職場委員活動に追われる中、02年2月9日、堤工場で勤務中に倒れそのまま息を引き取りました。1歳と3歳の二子を残したままの若すぎる死でした。刈谷市美術館職員の倉田さんの過労死問題では、「支援する会」の代表が公務災害認定運動の現状を報告。
 また、トヨタ関連企業からは、デンソーK氏の労災申請、アイシン新川工場の嘱託社員の雇用継続打ち切り問題で撤回させた事例などの発言が相次ぎました。
 豊田市の大村義則市議(日本共産党)は「トヨタは空前の利益を上げているのに、地元の中小零細企業の7割が赤字」と報告しました。


デンソー社員のプライバシー保護
 昨年末、次のようなメールがスパーク編集部に届きましたので掲載します。
会社は個人のプライバシーを保護しているのでしょうか?
上下賞与明細、新賃金明細は、第三者に記載内容が丸見え?
毎月の賃金明細、健康診断結果、最近配布された新退職金移行通知書等は、中綴じされ記載内容が本人以外見えないようになっている。
私は、デンソー社員ですが、理由がありトヨタグループに出向していますが出向先の会社では、すべての会社から配布される個人情報は、中綴じされ 記載内容が見えないようになっている。
デンソーでも もっと個人プライバシーを守ってほしい。
デンソーの組合と給与サービス、ウェルに改善依頼書を郵送します。
一個人の意見を企業が受け入れる事はないかもしれないが、個人のプライバシーを保護できない企業は、駄目だと思う
是非スパークのお力を借りたい。
匿名メールですみませんが、明日11月22日に下記文面をデンソーの組合と給与サービス、ウェルに郵送します。
私の怒りが嘘でない証拠です。
(原文のまま)

スパーク編集部の追記:定期健康診断書の時の看護士によるアンケート記載内容の確認も、すぐ隣や後で、他人が聞いているので、配慮が欠けていると思う。

あいかわらず組合にオンブにダッコの企業議員
 昔から、世間は自民党の企業依存体質と共に民主党や旧社会党の労組依存体質を批判してきました。そこで今では当の民主党もオモテ向きは「労組依存体質からの脱却」をスローガンにかかげています。ところが、愛知県選管発行の「政治団体の収支報告書」を調べてみると、あいかわらずの企業出身議員の労組依存体質が浮かびあがってきます。平成15年度はデンソー出身の市議・町議はいづれも、180万円、又は200万円の政治献金をデンソー参政会からもらっています。住田県議などはデンソー参政会から280万円、全ト参政会から200万円もらっています。又労組関係者は自民党と同じように政治資金パーティがお好きなようで、全ト参政会は愛知県選出の民主党の衆参国会議員のパーティ券を各々50万円、100万円、150万円、買っています。これでは、民主党の訴える「次の内閣」も「今の自・公内閣」と大差なさそうです。これ間違いない!


東電本店だけで、サービス残業14億円
本店2千800人分、社員の要請で支払いへ
 東京電力は昨年末、本店(東京都千代田区)の労働者3200人のうち、9割近い2800人に総額14億4100万円(一人平均51万円)のサービス残業(不払い残業)があったと発表しました。2002年七月から2004年6月までの2年分で、11月分給与で清算しました。
 東電では、社員有志が中部電力や中国電力での是正の具体例も示して労働組合にたいし、サービス残業の実態調査と是正にとりくむよう申し入れ、今年6月の株主総会でも全労働者を対象にした調査と是正を求め質問しました。
 4月には日本共産党の小池晃参院議員らが、東電など3社の労働者とともに東京労働局にサービス残業の実態を示して是正を要請。東京労働局の担当者は「調査をすすめている」とのべていました。
 東電は本店以外の全社(労働者数約35800人)で今年3月までに調査をおこなうとしています。


新しい世紀と新しい綱領
日本共産党が展望する21世紀−連載D−
社会主義と共産主義の違いは? それはどんな社会なの?

 前回の連載で、日本共産党は「資本主義の枠内での民主的な改革」を当面の目標としていることをお話しました。そして、同時に現在の深刻な諸問題を根本的に解決するために、社会主義・共産主義の社会を展望していることを述べました。当然、日本「共産党」の名前がそれを示しています。
 ところで、今回は少しむずかしくなりますが、社会主義と共産主義の違いや、それが一体どんな社会なのかを論じてみたいと思います。
 未来社会について、これまでは、生産物の分配の仕方を基準にして、「能力に応じて働き、労働に応じて受けとる第一段階」=社会主義と、「能力に応じて働き、必要に応じて受けとる」という「高い段階」=共産主義という区分でとらえることが国際的な“定説”でした。
 しかしこれは、科学的社会主義の学説をつくりあげたマルクスやエンゲルスの考えではなく、レーニンが『国家と革命』のなかで展望したもので、のちにスターリンらによって、ソ連社会を美化する道具だてとして最大限に利用されました。  マルクスやエンゲルスが、未来社会の中心的問題としたのは、分配問題ではなく、生産様式の変革=「生産手段の社会化」にありました。
 日本共産党は、今回の綱領改定にあたり、「レーニンのマルクス解釈の誤りを是正することを含め、従来からの国際的な“定説”を根本的に再検討」(「綱領改定についての不破議長報告」)し、新綱領に「社会主義的変革の中心は、主要な生産手段の所有・管理・運営を社会の手に移す生産手段の社会化である」「社会化の対策となるのは生産手段だけで、生活手段については、この社会の発展のあらゆる段階を通じて、私有財産が保障される」と、明確に記しました。  そして人間による人間の搾取のない社会主義・共産主義社会を展望しています。詳細は別稿の綱領からの抜粋を参照してください。
 ところでマルクスやエンゲルスは、用語上も「社会主義」と「共産主義」を同じ意味で、状況に応じて使っていました。日本共産党も今後は、「社会主義」「共産主義」の二つの用語を同じ意味で使うことにし、未来社会をきちんと表現するときには「社会主義・共産主義社会」と表現することにしています。

日本共産党綱領より
五、社会主義・共産主義の社会をめざして
(一五)   生産手段の社会化は、人間による人間の搾取を廃止し、すべての人間の生活を向上させ、社会から貧困をなくすとともに、労働時間の抜本的な短縮を可能にし、社会のすべての構成員の人間的発達を保障する土台をつくりだす。
 生産手段の社会化は、生産と経済の推進力を資本の利潤追求から社会および社会の構成員の物質的精神的な生活の発展に移し、経済の計画的な運営によって、くりかえしの不況を取り除き、環境破壊や社会的格差の拡大などへの有効な規制を可能にする。
 生産手段の社会化は、経済を利潤第一主義の狭い枠組みから開放することによって、人間社会を支える物質的生産力の新たな飛躍的な発展の条件をつくりだす。