"スパークNo242" (2004.12)
働く者の命と暮らしを守る行政を!
――トヨタ系労働者と西三河南労連が刈谷労基署に申し入れBR>
10月19日、西三河南労連とデンソー、アイシン、豊田工機の労働者は別稿(左)のような八項目の申し入れを刈谷労基署に行ないました。これには労災申請手続きの迅速化を求めている、デンソー・ディーゼル噴射技術一部のKさんも同席しました。労基署からは次長、課長らが応接し、「長時間労働是正とサービス残業をなくすことは厚生労働省の通達にもとづき、ひき続き努力したい。Kさんの労災申請手続きが標準期間の六ヶ月以内でやれなかったのは残念。もう一年ぐらいになるので早急に上部機関に書類を送りたい」という回答がありました。
無償残業がひどくて退社、取り返せないか
昨年の夏、下記のようなメールがスパーク編集部に届きました。また本人から北勢ユニオン(電話・FAX 〇五九三‐五六‐三五一六)に相談がありましたので紹介します。
はじめまして、私は31歳で既婚の男性ですが、私の相談を聞いてください。私は今年の6月20までデンソー大安工場に勤務してました。
デンソーのあまりにもすさまじいサービス残業の嵐に将来が怖くなり退職を決意し辞めたのですが、私はそれまでにたくさんのサービ残業をしていました。(多分、月に30時間はしてました) それを今、退職してから取り返す事はできないのでしょうか? 今、デンソーを辞めて失うものがなくなった私が立ち上がり、今も会社からの無言の重圧(社員がサービス残業の事を申告すれば、その人は悪人扱いですから)に耐えて
日々、苦しんでいる社員の方々を助けたいのですが。 どうすればいいか相談に乗ってください。 退職した者にはどうする事もできませんか?
追伸 デンソー勤務時の退社記録(タイムカード)は本当の帰宅時の時間を打刻してたので、記録は残ってるはずです。
上司は定時でタイムカードを打刻しろと言ってましたが・・・。
課長もタイムカード打刻、
深夜手当もつくようになった豊田工機
御多分に漏れず、豊田工機も無償残業と長時間労働が蔓延していました。そこで日本共産党豊田工機支部は深夜に会社の駐車場に残っていた車を調査したデータを添えて、岡崎労基署に調査と指導を要請しました。その結果、次のような改善がなされました。
@夜十時以降は課長以上にも深夜手当がつくようになる。A課長もタイムカードを打刻する。B事務・技術系職場で、残業をつける時間が三十分単位から十五分単位になる。
更に一歩進んで日本共産党豊田工機支部は、無償残業を根絶するためには、門での入退場時刻のチェックが絶対必要と訴えています。
日本の賃金は世界トップレベル?
デンソー労使のウソ宣伝を斬る
来年一月になるとまた春斗用のビラでデンソー労使から「日本の賃金はトップレベル」という大合唱がはじまります。デンソー労組の上部団体である連合などは賃金の国際比較をきちんと購買力平価で計算しているのですが、デンソー労組は賃上げをヤル気がないのか、会社と同じことを言っています。今のままでは余りにも一面的なので賃金の国際比較について少し詳しく見てみましょう。
生活レベルを反映しない為替レート論、
賃金の国際比較は購買力平価が正論
日本経団連の「経労委報告」では、日本の賃金水準を為替レートで計算し、アメリカの労働者の賃金は日本の101%だが、ドイツは85%、イギリスは86%、フランスは63%だといっています。
日本経団連流の計算でいくと、円相場が上がったり、下がったりするたびに、賃金が変わることになります。
この計算のでたらめさは明白です。旧労働省の『労働白書』でさえ、賃金の国際比較は購買力平価(その国の賃金でどれだけのものが買えるかという、その国のなかでの賃金の実力)で計算するのが正しいと指摘していました。
この購買力平価で計算すると、ドイツの労働者は日本の161の賃金、アメリカ、イギリスは133、フランスは124になります(労働政策研究・研修機構『データブック 国際労働比較2004』)。日本の労働者の賃金は、「世界のトップ水準」どころか、先進資本主義国のなかでははるかに低い水準にあるというのです(グラフ)。
新しい世紀と新しい綱領
日本共産党が展望する二十一世紀−連載C−
日本と世界の深刻な危機と「資本主義の枠内での民主的な改革」
共産党というとその名前からして、いつでも、どこでも、何が何でも共産主義だけを目標にして活動しているように思っておられる方も多いと思います。そこで今回は日本共産党が今の世界と日本をどう見ているか、それをどんなステップでどのように改革することを展望しているのか概略を説明したいと思います。
現代は世界と日本の資本主義が深刻な矛盾に直面しています。一人勝ちのアメリカ帝国の横暴とそれに無批判に追随する小泉政権、そしてテロ、ひとつの国家内での、また地球的規模での貧富の差の拡大と民族対立、地球環境の危機、経済の体制が不況と大量失業に繰り返し襲われて、そこから抜け出せない問題。今なお飢えて死ぬ子供やおとなが大規模に存在する問題。核戦争の危険などです。
現在の世界は、利潤第一主義をそのままにしたのでは、人類社会が希望ある未来を見出せないことを、無数の事実で示しています。いかにして、利潤第一主義の横暴な支配から抜け出すか、経済社会の運営に「人間の理性」がより大きな力を発揮する社会をどのようにして築いてゆくか、これは、二一世紀の世界がいやおうなしに直面する大きな問題です。
私たち共産党は社会の段階的発展論者ですので、社会主義・共産主義の社会への発展は日本社会のいまの問題ではない、と考えています。いまの段階は、「資本主義の枠内での民主的な改革」、これを当面の内容とする段階、革命論でいえば民主主義革命の段階だとしています。ですからいま、社会主義の変革を国民に呼びかけ、この問題で多数者になるといったことを、自分たちの任務にはしていません。
しかし、日本共産党は、同時に資本主義社会を人間社会の最後の形態とは見ていません。長期的、将来的な展望ではあるけれども、資本主義を乗り越えた未来社会が必ず来るという展望に立っています。ここに、日本共産党の、共産党としての特質と真骨頂があります。
日本共産党綱領より
四、民主主義革命と民主連合政府
「(一一)現在、日本社会が必要としている変革は、社会主義革命ではなく、異常な対米従属と大企業・財界の横暴な支配の打破――日本の真の独立の確保と政治・経済・社会の民主主義的な改革の実現を内容とする民主主義革命である。それらは、資本主義の枠内で可能な民主的改革であるが、日本の独占資本主義と対米従属の体制を代表する勢力から、日本国民の利益を代表する勢力の手に国の権力を移すことによってこそ、その本格的な実現に進むことができる。この民主的改革を達成することは、当面する国民的な苦難を解決し、国民大多数の根本的な利益にこたえる独立・民主・平和の日本に道を開くものである。
」