"スパークNo238" (2004.4)
世界のトヨタ、1300人が包囲
1兆円もうけながら賃下げ・単価切下げ 論外だ
社会的責任を果たせ
「トヨタは社会的責任をはたせ」−。財界総理と呼ばれ、日本経団連の奥田碩会長が会長を務めるトヨタ自動車の本社工場(豊田市)前で
2月11日、1300人の力強い唱和が響きました。愛知県労働組合総連合などでつくる「04春闘トヨタ総行動」に全国労働組合総連合
(全労連)も呼びかけに加わり、プラカードや横断幕を掲げた労働者、中小業者らがバスを貸し切り新幹線や自動車を利用し、全国から続々と
集まりました。
参加者らは、1兆円(03年度)を越える史上空前の利益を上げながら、労働者に賃上げ、過密労働、下請け企業には単価切り下げを
押しつけるトヨタの身勝手をやめさせようと早朝、夕方の各工場での宣伝、昼デモ、トヨタ本社への要請と終日、行動を繰り広げました。
これには日本共産党の八田ひろ子参院議員(写真)も参加し、連帯の挨拶をしました。また同日、デンソー、
アイシン精機、豊田自動織機、トヨタ車体、豊田工機に対しても「トヨタ総行動」の代表者らが申し入れを行いました。
マニュアル春斗の自画自賛
今年も会社は過去最高の利益をあげる中長期低落路線で春斗は結着しました。賃金体系の変更が進行中での「賃金制度維持分」だけ
確保したというのですから、「賃下げ」の人も多くでるでしょう。このような「春の取り組み」を組合執行部は「賃上げも一時金も満額回答なのは
史上はじめての成果である」とマイクで宣伝しているのですから、自画自賛もここまでくるとマンガチックです。
そして更に欺瞞的なのは全トヨタ労連は「総合生活改善の取り組みの手引き」をつくり、会社とのやりとりの脚本を準備して、ほぼ、その
シナリオにそって労使とも「順調に」交渉日程をこなしているということです。労使で脚本を半年前に書き、春に門前でまくビラがすでに決まって
いるようなものです。組合員の本音は、はるかかなたに押しやられています。
2/25 トヨタ系労働者
西三河南地域労連と共に刈谷労基署交渉
2月25日、春闘行動の一環としてデンソー、工機、アイシンの労働者は西三河南地域労連の仲間と共に刈谷労基署を訪れ、
@サービス残業防止システムの整備
(門前で出退勤時刻を記録する)
A四月から実施される「残業上限規制」の取り組み強化について要請を行いました。
デンソーの労働者としてはスパーク発行責任者が参加しました。デンソーのことでは無償残業根絶のためには門での出退勤時刻の記録が
必須のこと、また本社技術部では未だに夜10時をすぎても担当部員クラスを中心に多数が残業していることをなくすよう指導を強めてほしいと
要請しました。
交渉に参加したアイシンの労働者から、関連会社のアイシン・エンジニアリングでは、従業員に昨年4月から12月までの無償残業を
自己申告するよう用紙が配布されており、それに基づき、会社は無償残業代を支払うことを準備中であるという報告がなされました。
これは昨年7月の刈谷市議選の際の市民アンケートに書かれていた要望に基づき、野村武文、山本しも子両刈谷市議らが、労基署に
申し入れ、これを受けて刈谷労基署がアイシン・エンジニアリングを指導した結果です。
応対した労基署の次長と主任からは、「厚生労働省から新たに通達が出され、それに基づきこの4月から時間管理をしっかりするよう
各社を指導している。労災も増加傾向にあるので指導を強めて行きたい」という回答がありました。
トヨタ系企業− どこも長い労働時間
この表は全トヨタ労連が調査した加盟組合の労働時間です。デンソーも含めて残業がメチャクチャ多いのが目立ちます。特に表の最後の方に
あるトヨタドライビングスクールという会社は残業が年間700時間を越えています。どんな会社なのかとその常識を疑います。但しデンソーも
含めて、そうですが、これは公けになった数字上の残業時間だけです。その他に多くの無償残業があることは目に見えています。最近の厚生
労働省の過労死認定基準によると、1ヵ月の残業が45時間を越えると過労死の黄信号、2ヵ月連続80時間、1ヵ月100時間を越えると
完全に赤信号だそうです。こんな状態を長期に放置しておくことは労働組合と会社にとって犯罪的行為と断言しても言いすぎではないでしょう。