●井上メルマガ('08/11/12)   田母神氏を招致

  井上さとしです。

    田母神元航空幕僚長を参考人として招致しての参院外交防衛委員会が昨日、開かれました。質疑とその準備を通じて、「言論クーデーター」とも言える事態が起きていることに背筋が寒くなるような思いがしました。

    まず、質疑の様子です。田母神氏は「自分の書いたことは間違っていない」「日本はいい国だといったらやめさせられた」と居直り、まったく反省の色はありませんでした。そして、憲法は変えるべき、攻撃的兵器も保有するべきと持論を繰り返しました。

    そのふてぶてしい態度、強大な実力組織のトップにいる者に求められる資質も感じられない言動に、無謀な侵略戦争に暴走していった戦前の軍部の姿を重ね合わせざるを得ませんでした。

    田母神氏は隊内誌の論文で、自衛隊の幹部教育の場に「国家間・歴史観」の講義を新設したことを自慢していました。そのカリキュラムが防衛省から届いたのが前日の夕方。外部講師の名前が黒塗りになっている資料でした。それ自体が異様です。

    防衛省は名前を隠しましたが、大正大学の福地教授が講師の1人であることを認め、その講義内容がホームページ上で紹介されていることが分かったのが前日の夜遅くでした。講義の目的として、かつての戦争が正しく、現憲法体制は廃棄すべきことを論じることとあったのには驚きました。

    田母神氏は今回と同様の発言を航空幕僚長の職務権限として行う講話や訓話として隊内で行っていました。そして、幹部教育の内容も反憲法・侵略戦争肯定の内容を教え込むように改変していました。恐るべき「自衛隊思想改造計画」が進行していたのです。

    なんのためか。田母神氏は隊内誌の論文の中で盛んに、「時代が変わった」と述べ「正しい国家観」を持つことの重要性を強調しています。自衛隊の海外派兵がどんどんエスカレートしていく中で、外国からなめられない、かつての戦争は正しかったと主張できる自衛官になることが必要だというのです。田母神氏はさらに、今後海外での武力行使に参加することも想定する必要があると強調しています。

    本格的な海外での武力行使にそなえ、特異な歴史観を教え込む自衛隊の思想改造計画が進めてきたのです。その背後には、田母神氏が、靖国派が多数を占めていた安倍内閣のときに任命されたこと、今回も自民党の国防族からは擁護の声が上がっていること、海外派兵が次々と拡大されてきたことがあります。田母神氏は論文が「こんな問題になるとは思っていなかった」とも語っていますが、そう思わせる土壌を作った政治の責任は重大です。

    私が暴露した隊内での侵略戦争美化・憲法違反の講話や幹部教育の実態は多くのテレビ・新聞が取り上げてくれました。国民の前に驚くべき実態を明らかにできたことは重要です。さらに、徹底追及へ、気合をいれてがんばります。


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