●井上メルマガ('06/09/29)   「美しい国」とは…

 井上さとしです。

    今日は午後の本会議で安倍新総理の所信表明演説を聞きました。その感想について、東京から京都に向かう新幹線からの発信です。

    安倍総理はまず、「美しい国」の姿について、四点を挙げました。要約すれば「文化・伝統を大切にする国」「規律を知る国」「成長のエネルギーを持ち続ける国」「世界から信頼さリーダーシップをとる国」というものです。

   これには驚きました。これまで歴代自民党政権は、その具体的内容はともかく、国民生活の安定・向上を目標の一つに掲げたものです。ところが、安倍氏の「美しさ」の対象には国民の暮らしは入らないというのです。

    ですから、小泉政権が作り出してきた格差と貧困の広がりについての認識も反省もありません。安倍氏が語ったのは「勝ち組・負け組みが固定化」しない社会というものです。つまり、「負け組み」がでるのは前提であり、その中から「努力するもの」は這い上がる再チャレンジの機会を与えてやろうというのす。間違った政治で国民生活を突き落としておきながら、なんと恩着せがまし言い方でしょう。

    ですから、「ワーキングプア」として大問題になっている非正規雇用や違法な働かせ方の是正などには何一つふれません。そして安倍総理が、再チャレンジ支援策として抽象的なことのみ述べる中で唯一具体的だったのは、「再チャレンジを支援する民間や自治体の取り組みを応援するために内閣総理大臣による表彰制度を新たに設けます」ということ。このくだりでは、議場内は「馬鹿にするな」「表彰で暮らしがよくなるか」との声で騒然としました。

    一方、目だったのは改憲と教基法改悪への決意。もう一つは横文字の多用と哲学の感じられない軽い言葉。「イノベーション」「アジア・ゲートウェイ構想」「人生二毛作」「新健康フロンティア戦略」「ライブ・トーク官邸」「カントリー・アイデンティティ」「筋肉質内閣」などなどです。

    最初は多少は拍手をしていた与党席も途中からは沈黙。自民党の議員の皆さんも国民の暮らしの現場はそれなりに知っています。だからこそ、国民生活にまともに向き合わない演説にしらけた雰囲気がただよったのでしょう。

    来週は、この演説への本会議質問。参院でも、この間の粘り強い申し入れが実り、質問できることになりました。衆院では志位委員長、参院では市田書記局長が質問に立ちます。テレビの前でご声援を!



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