文京区長選公開討論会の概要


日時:1999年4月15日午後6時45分開始、9時5分終了

場所:文京シビックセンター4Fシルバーホール

<区長候補抱負>

煙山力氏:

区政は区民のもの。過去3代役人区長が続いたが役人区政の時代は終わる。
平成12年4月より都の事業の多くが区に移管され、難しい介護保険の問題も区が分担することになるが、「元気を出そう文京区」をスローガンにしてプラス思考で行きたい。
文京区は文化教育発祥の地であり他区が真似のできない財産がある。
官僚主導の区政を改め、区民参画の区政を行って行きたい。
役所がきめたことを審議会にかけるのではなく、計画を立てるときから区民に入っていただき、住民提案型の区政を進めたい。
行政機構のスリム化のために、民間に出来ることは民間に依託して行きたい。

赤沢潔氏:

地方自治体は区民のサービス機関である。シビックセンターのような豪華なものはいらない。区民の負担を増やすだけである。
区政のあり方を改め、古い校舎の修理や24時間巡回型ホームヘルパーなどのサービス充実に力をいれたい。ゴミも焼却はせずリサイクル型のゴミ処理を提唱したい。
介護保険には問題がある。掛金(年金からの天引き)がいくらになるかわからない、滞納未納だと保険が出ないこと、認定、利用料の1割自己負担、老人ホームが足りないことなどが問題であるが皆さんの意見が反映されるようにしたい。

永井よし子氏:

住民を大切にし、住民の安心と安全を保障する区政に変えたい。
3つの政策を提案する。
1)住民参画のシステム作り
計画素案の段階で情報公開し計画作成にフィードバックシステムを取入れ、再評価のため事業の検証システムをつくる。
2)学校中心の街づくり
小中学校が地域の核となるようにつくり変えたい。高齢者用の集会所や食堂を併設して交流の場とし、防災、子育て支援の拠点としても活用したい。
3)文京区独自の福祉システム
介護保険の問題点をふまえ独自のシステムをつくる。

加藤隆一氏:

政治への出発点は郷土愛である。区民こそ主人公、住民が自分達の将来を決めるのであって政党が決めるのではない。政党からは距離を置かねばならない。
行政の持つ情報は住民のものであり、情報公開は当然のことである。役人が役人の監査はできない。外部監査は必要である。立派な建物、道路をつくっても大切なのは人、福祉の充実こそ永遠の課題である。
10の政策をパンフレットに書いてあるが、行政の長としては政策以前に政治姿勢が大切である。

<一問一答>

(敬称略)
1)情報公開制度について

外部監査、オンブズマン制度、CATV公開等に対する意見

加藤:10の政策の前提に情報公開を置いている。

永井:情報公開も制度だけでは駄目。
   個人情報保護条令をたてに公開されないことが多い。
   区長交際費など原則公開とすべきである。
   時間が許す範囲で議会のケーブルテレビ放映も。

煙山:文京区は62年に条令を作成しており全国でも早い方である。
   区長、議長交際費も全面公開が原則。
   本会議はすでにテレビ放映をしているが、委員会放映は合意が得られて
      いない。外部監査、行政評価システムは是非取り入れたい。

赤沢:知る権利が保証されるべきである。
   決裁文書なども公開され、入札などで談合できなくなっており前進だと
   思う。全国の先進的事例を参考にして改正して行くことを提案したい。
   オンブズパーソン制度は望ましいことである。


2)防災対策・街づくり

小中学校の防災対策、街づくりに対する意見

永井:小中学校は防災拠点として活用できる。
   備蓄設備はできたが、普段からカギの管理などの情報を周知徹底させて
      おくことが必要。
   密集市街地の再開発は住民の意見をまとめることが大変である。
   再開発、共同化というテーマを通じて住民のつながりを強めるきっかけ
      とすることが重要。

煙山:阪神大震災の後、文京区は23区中最初に教育施設のIS値調査を完了
      させ小中学校に備蓄倉庫を設けた。ビルの調査にも補助金を出している。
   大塚、千駄木地区再開発の政府認定も受けたが、民間の協力がなければ
      事業は進まない。地籍調査はお金がかかり難しい。

赤沢:災害時には交通が遮断されるので、小学校単位に備蓄し、各地に小型の
      消火施設を設けるべきである。
   ブロックは危険なので植木に変えるのがよい。文京区の貯水は十分である。

加藤:小中学校は地域の拠点。この見解は4人とも共通している。
   街づくりには地域の理解と協力が必要であるが、区報で呼びかけても参
      加者が少ない。あとはお金の問題。表通りだけではなく裏通りの街づく
      りも大切。


3)教育問題

学校統廃合、学級崩壊、30人学級に対する意見

煙山:文京区は教育には力を入れており予算の1/3を使ってきたが児童の数
      が半分に減ったので予算に占める割合も減っている。
   現時点では40人であるが、1クラス12人となったとき幸せだろうか?
   統廃合ではなく適正配置といっている。30人学級に反対ではない。
   文京区に学級崩壊は無い。

赤沢:古い学校の補修など環境整備が必要である。給食の食器も不十分。
   30人学級が望ましい。
   詰め込み教育を止め、落ちこぼれをつくらない教育に改める。

加藤:教育なら文京区と云われ続けられるようにしたい。子供が減るので統廃
      合になる。子育て支援こそ必要。

永井:教育は数の論理ではない。質が大切である。
   文京区にも学級崩壊がある。(3校有る。)
   幼児の育ち方が変わってきている。学校の仕組みだけの問題ではない。
   人間関係をしっかりつくり、地域にとって必要な学校をつくるべきだ。


4)少子高齢化問題

保育所、福祉水準の維持、介護保険等に対する意見

赤沢:文京区では就学時までの入院時の医療費が無料となったが好ましいことであ
   る。今後学童期も含めた医療費の無料化を望む。社会保障の不備が子供を減
   らすのである。
   高齢化は賞賛すべきこと。介護保険の不十分な点は区の裁量で克服できる。

加藤:保育所と幼稚園には縄張りがあるようだが、幼稚園に保育所がつくれるよう
   にしてはどうか?
   介護保険が絵に書いたモチになる可能性はあるが、軌道に乗せ手直ししてゆ
   くのがよい。福祉の水準を低下させてはいけない。

永井:今年の4月から低年齢児の保育拡大が実現した。共働き家庭にとって保育所
   の拡充は絶対に必要である。
   介護保険の導入で現在高水準にある文京区の介護は縮小に向かう。福祉水準
      を維持することは不可能である。区独自のサービスを一般財源で行い、その
      窓口をつくる必要がある。

煙山:今年の4月保育所に入れない0才児が50人出た。これは昨年35年振りに
   文京区の人口が増加に転じたからである。
   家族介護から社会的介護への厚生省の方針は間違いではないが、システムに
   問題が多い。障害者も除外されており、現行の福祉水準の維持は一般財源を
   持ち出さない限り困難である。国に対していうべきことは云って行きたい。


5)その他

シビック2期工事、行政評価制度、競輪復活等に対する意見

加藤:シビック2期工事は今更止められない。
   行政評価制度は情報公開の観点からも当然である。
   文京区は焼却場をつくる所がないので、せめてリサイクル中間処理の施設は
   つくるべきである。
   競輪復活には反対。(廃止の代償に100億円払った。)

永井:シビック工事にはコンペの時から高層化不要と申し入れていたが強行着工さ
   れた。2期工事には反対している。維持管理費も都庁に比べて高い。維持費
   を切り詰めれば財政削減にも寄与する。
   行政評価は計画も含めて行うべきである。
   競輪には区民運動として反対してきた。(都は代償に97億円払った。)

煙山:文京区は文化発祥の地として公会堂への期待は多い。
   維持費(13億)も区民のための施設を多く収容しており、スケールメリット
   が出ている。これらの施設を別に建てれば維持費は余計かかる。
   バブルを利用して作ったので区民には負担を強いてはいない。
   区民に財産を残したのであり、より有効に活用することが大切である。
   行政評価はバランスシートも含めて行うべきだ。
   競輪再開には反対。

赤沢:2期工事継続には反対している。計画縮小を要求して56億円節減できた。
   公会堂も各区にできており経営的に成り立つか?
   文京区の起債も金利の安いものに切り替えるべきである。
   生ゴミやアルミなどのリサイクル中間処理は他区との協力を考える必要があ
      る。燃えるゴミは減っており焼却場はつくるべきでない。
      後楽園の競輪は絶対反対。

(文責:松井)

ご質問、ご意見はこちらへ


戻る