「おもてなしバッジプロジェクト」 山本六三


○山本氏
山本六三といいます。ちょっと画面だけ出してみますね。時間が少し押していますので、多分40分というよりは30分ぐらいにしたほうがいいのかなと、今ちょうど英彦さんと話をしていて、「どっか削ろうかね」なんて話をしていました。私は県庁から静岡市役所に人事交流しています。その他にも渡部達也さんとか英彦さんのところと実は関係がありまして、…ゆめ・まち・ねっとの方のゆめまち会員ですし、渡辺英彦さんとは、しずおか未来人づくり塾というまちづくりの塾の実は同期生なんですね。もちろん同期の中では英彦さんが一番有名になって一番の成長というふうにいわれています。そんな形で割と知っているかたがこの後2人続くということで、2人がどういうことをやるのかなというのが何となくわかります。けれども、自分としてはやっぱり自分のやり方でやっていくのがのがいいかなということで30分ぐらいこれからお話を聞いてください。

私がおもてなしバッジというのを作って、おもてなしの気持ちを県庁から、県内、県外に広めたいというふうにやってきましたけれども、ちょっと皆さん最初に聞かせてください。皆さんの中でおもてなしバッジを見たり聞いたことがあるよというかた、手を挙げてください。すごいですね。ありがとうございます。今ざっと6割から7割ぐらいの人。私、もしかしたら県庁以外でそんなには広まってないかなと思ったのですよ。でも見たことがあったり聞いたことがある。うれしいですね。はい、ありがとうございます。じゃあそのおもてなしバッジの話をしますけれども、通常知っているというという話ではなくてちょっとひねっておもてなしバッジのウラ話という話、画面のタイトルでこれから進めていきたいと思います。これは、あの手この手を使って多くの壁を破った成果です。実は逆に言えばあの手この手を使わなければ絶対できなかった。こんなプロジェクトです。そのぐらいやっぱり多くの壁があったのですね。

次にきっかけ。2年前に県庁職員を対象に1人1改革の募集がありました。今もやっているのですけれども、その中に若い女性の職員がこんな提案をしたのですね。「マナーバッジつけませんか」と。私、あっおもしろいなと思ったのですよ。でも、実はこれがきっかけじゃなかったのですよ。実はこれに対してつまらない反論の書き込みが続いたのですね。どんな書き込みがあったかといいますと、そんなマナーバッジなんか作ったら県民の方がたが相談に来たときに断れなくなると。つまらないですよね。そんなこと。あるいは、そこまでしなくてもいいんじゃないかというようなことで、1人の若い女性の意見が潰されそうになったのですよ。何だ、こういう改革すら今の静岡県庁ではできなくなってしまったのかというふうに思いまして、実は何人かの職員にメールを出して、「こういう書き込みがあるのだけれどもどう思う?反論でも何でもいいから書いてよ」と言ったのですね。そうしたら私の他に渡部達也さんもそうだったし、もう1人富士の行政センターの職員も反論に対する反論がパッパッパッと並んだんですよ。それで、「そんなことすぐできるのだからできる人たちだけでやろうよ」というふうに書いてあったのですね。そうしたらやっぱり、もうそこまでいったら今度は自分にプレッシャーがかかってきて、「ここまで言ったのだったらもうやらなくっちゃいけないかな」と。そういうふうに思って始まったのが本当のきっかけなんです。

目的というのは、よく意識改革をしなさいなんて言いますけれども、意識なんてなかなか変わらないですよね。そうでなくて、やっぱり意識を変えるのだったら県庁の雰囲気を変えていかないといけない。お客さんも自分も気持ちよく。お客さんが気持ちいいと自分も気持ちよくなるよ。もう1つは、言われてやるより自分たちでということで。特に当時はちょうど県庁で裏金問題、裏切手問題というのが出ていまして、上の方からいろいろな通達が来たり、職員全員の倫理研修なんていうのがあって、どちらかというと職員がそれに「嫌だなぁ」という気持ちになっていた頃です。ですからもう言われてやるよりも自分たちでマナーバッジを作ろうよ。そういう動きが出てきたんです。

そこで特徴としては、イラスト作家の赤池キョウコさんがちょうどうさぎのイラストを得意としているということで、協力いただいたんです。実はそのうさぎが、意味があったのですね。うさぎの耳、これが県民の声をキャッチするというのにぴったり合うよ。それから実は目がいいそうなんですね。うさぎは目がいいから遠くが見える。先が読める。先見性がある。そういう意味もあるよというふうに教えてもらいました。それからすばしっこいですよね。これもすぐお客さんが来たらパッと行けるだとか、あるいはジャンプがあるということで飛躍もするよというような意味から、うさぎだったらちょうどマナーにぴったり合う。赤池キョウコさんも「それだったら今回は特別に、無償で提供するよ」というふうに言ってもらいました。

さらに、じゃあ、どうやって作ったらいいかといったときに、実は身体障害者の授産施設、今日も来てくれていますけれども、ワーク春日さんから手が挙がったんです。実はワーク春日さん、機械を持っていなかったんですね。でも、「自分たちで調べて、じゃあ自分たちでやってみたいのだけど」という申し出をいただきまして、それで、「じゃあその3者で手を合わせて作ろう」というふうに始めてバッジができていきました。その成果として、県庁の職員から聞いたのですけれども、「気持ちが引き締まった」だとか、「迷ったら声かけたよ」ということもあったし、いろいろ全国からも反響が出てきました。

でも実際には本当はたくさんの壁があったのですね。どんな壁かというと、例えばキャッチコピーを選定しようとしたら「著作権はどうするんだ」とか、やっぱり法律に詳しい方だったらそういうことを聞かれたり、「お金はどうするんだ」。それから、作ったら意外にも失敗作ができてしまった。後は県庁の組織、…でやっていたものですから、周りからもしかしたら変なことを言われるのじゃないか。そんなの仕事じゃなくやっている。それを職場内に持ち込むというのはどうか。いくら僕たちが昼休みとか勤務時間後にやっていても疑われる。
このあたりの壁をどう乗り越えていったかというのがこれからの話です。キャッチコピーの選定については、「じゃあそれだったらこうしよう」ということで、職員内で募集をかけました。募集をかけたときにちょっとダジャレを込めて、「裏もないけどおもてなしバッジ作ります」というチラシを配ったのですね。そうしたら、「あっ、何かおもしろいことやるの」というようなことで、「そうそうおもしろいバッジができるよー」という予告になった。つまり、最初は壁だと思っていたのが、実はそこで付加価値ができてきてPRができたよと。予算についても授産製品のPRになったのですね。実は授産製品というのは、材料費以外は作った障害者の作業工賃になるということを聞いていまして、それをワーク春日さんに話をしたところ、「実はこういうことってあまり知られていないのですよね」と言ってくれました。そこで私から「じゃあそれ、PRしましょうよ」と。なかなかワーク春日さんというのは私たちからすれば遠い存在だったのですけれども、そういうことを言ったことでもしかしたら何て言うのかな、気持ちがすごく乗ってくれたんじゃないかなと思います。それから、失敗バッジが発生しました。これは、実はサポーター制度といいまして、失敗バッジを皆さんに配るということを始めました。これはちょうど新作のバッジができたときにちょっと発売を遅らせたのですね。わざと、「失敗バッジができています。今だったら無料で差し上げます」ということで、県庁の中、外を中心に配ったのですね。そうしたらあっという間になくなってしまいまして、また付けた方がすごく宣伝になるわけですよね。それで新しいPRになったということで。組織については、これはちょっと意外だったのですけれども、もっと反論を受けるかなと思ったら、実は結構みんな、「いいことやってるね」とか、やっていることがそんなに難しい話じゃなかったということもあるのですけれども、みんな応援してくれたんですね。ということで壁がトントントントンとここはうまくいったのですね。

じゃあ今度これを、切り口を変えてちょっとお話をしたいと思います。私はNPOの相談をやっているのですけど、よくNPOから、「こういうNPOを作りたいよ」という相談を聞いているときに、いつもこの3つの切り口で、自分で頭で考えています。1がミッションと意欲。本当にやる気があるのかどうなのか。ただ儲かるからやるとか流行りだからやるとかっていうのではなかなかうまくいかない。2がネットワーク、これはその人一人でやってるのじゃないかとか、あるいはいろいろな仲間、それから他の組織との関係ができてないとうまくいかないことが多いので、それができているかどうか。それから3が事業の仕掛けとして、それはその団体だけのオリジナリティーだとか、そういうのが本当にあるのかということをやっぱりそこで聞きます。やっぱりそれは聞くということは自分でもそれができてないと何もならないですよね。

それでちょっと自分たちで考えてみます。絶対作る。もともと反論をしたということもあるのですけれども、絶対作るっていう気持ちでやっぱり作ります。中にはいろいろな壁があって、「もう、やめたいよ」というふうに思ったことが何度もあります。そこをベクトル合わせ、ベクトル合わせというのは何ていったらいいのですかね、同じ方向を向く。遠い目標だとずれてくるので、どこか近い目標。「バッジを作るよ」というところで目標を合わせるということで。具体的にいいますと、このマナーバッジを作るときに、マナーをもっと重視したいよという人と、それから、県の職員の意識改革を重視したいよ、あるいはこのマナーバッジをもっともっと市内、県内に広めたいよという人たちで意識が少しずつずれていた。でもやっぱりそういうところをくっつけていかなきゃいけない。くっつけるにはやっぱり絶対作る。そういうところが必要だった。そういうふうに思います。

ネットワーク。なかなかそのワーク春日さんと組むということだとか、実は赤池キョウコさんは割と身近にいたのですけれども、本当に頼んでいいのかなという気持ちがすごく多かったのです。でも頼んでみるとどっちも、「ぜひやらせてください」みたいな話で、このとき思ったのは、頼まれごとって意外にうれしいのだな。今の世の中ってあんまり人に頼むって嫌っていうか悪いなって考えちゃいますよね。でも案外頼んでみるといいかなっていうふうに思います。確か先週ゆめまちネットさんの方で牟田貞三さんが来たときに、これをちょっと違う言葉で言ったのですね。「お互い様」ということですね。多分こういう意味もあるのじゃないかなあと思います。人に頼みにくい社会ですけれども、やっぱりちょっと頼んでみる。でも頼んだら何かお返しをするだとか、そういう社会の方がいいのかなというふうに思います。

それから事業の仕掛けとしては、遊び心2割というのを自分たちは考えました。遊び心というのは、例えばバッジのキャッチコピーを募集するときに、「マナーバッジ作ります」というよりも、「裏もないけどおもてなしバッジを作ります」っていう軽いのりでやったのですね。それから千葉県の市原市が「かえるバッジ」というのを作っているっていうのを聞いたときに、「じゃあこれ、交換しようよ」と。やっぱりこれも遊び心の話だと思います。それから、じわじわ普及させようよっていうのも自分たちの中で決めまして、そういうチラシを、インターネットを使うのじゃなくて職員の間に手渡しで広めようよ。必ず手渡しでチラシを配ってくださいというふうにやります。こういう仕掛けもやっぱり自分たちのポリシーというのが伝わったと思います。
今度、富士宮のおもてなしバッジを作ろうと考えたときに、今まで作ったやり方ではうまくいかないなと思いました。私は、改革の壁というのは過去の成功体験にあると思います。富士宮としては市民パートナーシップ研修というのをやっていましたので、それを使って募集をかけて今日のシンポジウムのときにみんなに付けてもらって、さらにうまくいけば障害者の自立センター、富士宮市さんの方に引き継ぐと。そういう流れを作らないといけないなと思います。

この富士宮のシンポジウムには7つのこだわりというのを作りまして、この7つのこだわりを通じて実験をしていこうと考えました。市民協働の実験をしていこうというふうにです。例えばテーマですね。今までも協働のシンポジウムっていうのがあったのですが、協働のツボとかカベに絞ろうっていうふうに考えました。それから一過性のイベントではなくて継続性だとか、そこから何か展開があるような、そういうものにしなきゃいけないなと思います。

それから、体にやさしい食材。今日は富士宮市長のインターシップから佐野君が来ていますけれども、佐野君にも応援をしていただいて、「クローン病でも食べられるようなケーキ、食べられる物ってない?」っていうふうに聞いて教えてもらったシフォンケーキというというのがある。これも交流会のときに皆さんに試食をしてもらいますけれども、全然普通のケーキなのですよ。実は今週20日の日に…静岡第一テレビのまるごとワイドでご紹介された、お取り寄せ人気ケーキだそうです。ただ単に天然素材で脂肪分が少ないというようなものだそうです。ぜひ味見をしてほしいと思います。その他大豆発酵のテンペというのも、もし食べたことのないかたは今日用意してありますので食べてもらいます。

それから地球にやさしい食器ということで、NPO法人スペースふう、これは山梨県のNPO法人なのですけれども、こういう食器を貸し出してまた返すと。これ洗わずに返しているのですね。例えばコーヒーカップでいいますと16円で貸してくれるのですね。それを例えば100円ショップで買えばもう少し安いのかもしれない。でもその後またごみになってしまいますよね。でもそうではなくて使ってまた返し、そういうようなことで、トータルで本当にコストがその方が安いのか、地球のためにいいのかというようなことも試すということもしたいと思います。こういうこともNPO主催のイベントでどんどん使っていくことで、使いやすいのかどうなのか試してみるっていうこともこだわりです。

それから本日のシンポジウムのチラシに、富士宮市からいくら、7万円の補助金をいただいてやった事業である。こういうようなことも、これから市民協働でイベントをやるといったときには、多分入れていった方がいいのじゃないかなと思うのですね。いくらもらったか、どこからもらったか。そういうのが大事だと思います。

それからこのイベントの裏話を私は、実は毎日ブログに40日間書き続けました。それでどんどん見るかたも増えてきたと思うのですが、ここでもう一回皆さんに聞きたいと思うのですが、「この私のブログ、見たことあるか方います?」はい、ありがとうございます。すごいですね。そんなに見てくれているとは思いませんでした。やっぱりこういうことも、もしかしたらイベントをやっていく上でずっとその前から裏話を書いていくと、人気が出るということはわからないですけれども、…段々気持ちが向かってきますよね。そうするとやっぱりイベントが点ではなくて一つの流れとしてできてくるんじゃないかなと思います。

この7つのこだわりっていうのはもしかしたらいいことばっかりじゃないのかもしれない。皆さんの中でこれはいいと思ったものはまねしていただいて、これはちょっとなと思ったら改良していただけると、多分今日のイベントが生きてくるのじゃないかなと思います。

次は、皆さんに伝えたいことです。まず始めに「出るくいは打たれる。出過ぎたくいは」とあるのですが、これは今回のイベント、おもてなしバッジもどちらもそうなのですけれども、なかなか組織として自分の仕事としてやっていること以外にやっていくと、やっぱりこういう場面ではどうしても出てきます。でもどうしても出なきゃいけない。そのときにどうするかが大事なのですが、出過ぎたくいはやっぱり私打たれると思うのですよ。でも他に壁を越える手段というのはあると思うのですね。例えば打たれない場所で出る。そこだと打たれるよというところがあるはずですからね。他に言えば、例えばわざと予告して出て次の一手を狙うというというのがあるのです。これちょっと難しいので例を挙げて説明しますと、実はおもてなしバッジは最初、県庁の中でこっそり手売りしていたんですね。人事室も多分知っていたと思うのですが黙認してくれていた。ところがあるときテレビの取材が県庁に入ったときに、もう絶対ばれると思ったのですよ。ばれるというより黙認もしてくれないなと思った。そこでわざと人事室の方に改めて聞いたのですね。2種3段階で聞いたのですよ。勤務時間内に売っていいか。勤務時間外に売っていいか。勤務時間内にチラシをまいていいか。勤務時間外にチラシをまいていいか。勤務時間内に取材を受けていいか。勤務時間外に取材を受けていいか。という6パターンですね。そうしたら、勤務時間内・外に関らず売ったりチラシをまくなというふうに言われた。今まで多分知っていたのですよね。だけど、「今回はだめだよ」という答えをはっきり聞いちゃったのですね。でも取材に関しては「内でも外でもいいよ」という人事室の回答だった。これは割と予想できた回答だったのですけれども、実は人事室に言ったのは、わざと予告したのです。つまり何を私が次の一手として狙ったのは、人事室に私たちがやっていることを全部情報として出す手段を得たのです。そうやって聞かれたから、今までにやった経緯を全部出してくれというふうに言われたので全部出せたのですね。これ出せたものでその後、ちゃんと評価してくれる人は評価してくれるというふうにつながっていったのだと思います。

それから「ピンチこそチャンス」。先ほど失敗バッジの話も含め、ピンチだなと思ったらそこで自分でお金を使っちゃって損しちゃうということもあるのですけれども、そうではなくて、そこからやっぱり失敗バッジを使う手もある。

それから、チャンスの女神には前髪しかない。これ意味わかります?前髪、これ何かというと後ろ髪がないのだから先手を打ってチャンスを絶対逃しちゃいけないということで、これもちょっと具体的に言いますと、僕たちが上の人にこのおもてなしバッジを付けてもらう。部長さんに付けてもらうというのを考えたときに、私ともう1人が、ちょっと部長の予定を調べて、部長がどこそこで会議があるとかいったときに待伏せををしたりトイレから出てくるときとか、何かちゅうちょしていたら絶対に渡せないのですよ。そうではなくて、もう絶対渡すというときに、前髪をつかむというつもりで渡した。そういうことです。

それからこのおもてなしバッジというのは売れたのじゃなくて、実はそのときに売れたのはそういうバッジ自体の「物」ではなかったのですね。やっぱりこういう「物語」が売れたのだなと思います。やっぱりその物自体の価値ではなくて、その物に含まれるストーリーが大事だなあと思います。

それから相手の気持ちの話。これは2001年の市町村対抗駅伝のときに谷川真理さんが解説でこういうことを言ったのですね。「駅伝応援のときにがんばれーよりもいい言葉がある。それは何かというと、後ろ見えないよーということがすごくうれしい。これは走っているランナーにとっては、がんばれーというのは別にそんなにうれしくはない。後ろとの距離というのをさり気なく教えてくれる。さらに後ろが見えないよだったらもっとうれしいよ」ということです。こういうことも考えると、協働する相手が、何がうれしいのかな。そこを聞いてみたいなと思います。多分ワーク春日さんとちょうど出会ったときに授産製品が作業工賃になるよ、そこを宣伝したいよというふうに私が思ったのは、多分そのあたりからワーク春日さんと意気投合してきたかなと思います。もし時間があれば後で聞いてみたいところですね。

それから肩書を取ったときの自分の力がわかる。私は県庁の職員として勤務時間外にやっているというふうに言ったときに割と評判がよかったのですよね。でも本当はそんなのあんまり関係ないのに、県庁の職員が何かやっている。実は他の人だって一緒だと思うのですよ。それに渡部達也さんは県庁を辞めてまでやらなきゃいけないと思った。社会的使命のために安定した給料も身分も捨ててやっている。そういう人たちの方が多分立派だと思うのですよ。だけど実際にはどうなのかな。また後でそういう話も出てくるといいかなと思いますけれども。本当にこれで自分自身の力がどのぐらいなのかというのがわかりましたね。よく県庁の仕事をやっていると、県庁という肩書で仕事が付いてきたりお金が付いてきたりっていうのがあると思います。そういうふうに勘違いするのではなくて、やっぱり一人の人間としてどこまでできるのかが、そういう力がわかります。どちらかというと私は力不足かなというようなことがすごい自分で自覚できたのがこれをやったことの成果かなと思います。

次は「会場に聞く。実はねで始まる本当のところ」ということですが、あまり時間がないので、先ほどから何回もお話に出てきているワーク春日の高橋さんにちょっとだけ聞きたいのですけれども、マイクあります?聞きたいのは、ワーク春日さんとのお話の中で初期の頃、「授産製品が作った人の工賃になるよ」って話を聞いたときに、「それって、あんまり知られてないのですよね」っていうようなことを確か言われたと思うのですよ。それを私が、「チラシにじゃそれどんどんPRしましょうよ」と言ったのがツボに入ったのですかね。それともそのようなことはなかったのですかね。

○高橋氏
いいえ、もうこれは大変に大きなものでして、私どもやはり障害を持った者にはなかなか仕事を得るのが大変なのですね。そこで、この冠バッジのお話はもう、初めはね、私ね、本当に恥ずかしいのですけど、「えっ、冠バッジなんて」って思っちゃったのですけど、でも実際やり始めたらもうそれがびっくりで、大変な人気で、今、私ども本当に主流です。もう飛び付いています。おかげさまで本当にありがとうございます。

○山本氏
じゃあそのバッジのこともそうだし、その授産製品が工賃になるPRもできて。

○高橋氏
もうおかげさまで大変な人気です。

○山本氏
 ありがとうございます。ということで、そこそこのツボに入ったのじゃないかなということで、それならよかったです。そういうように相手との協働のつぼというのをこれからも狙っていきたいと思います。私はこれから元三重県知事の北川教授がよく使う言葉で北京の蝶っていうのがあります。北京で一匹の蝶が羽ばたくとニューヨークでハリケーンが起こる。つまり、一人ひとりが小さなことでも何か始めていくと、これまでのやりかたがおかしいと気付いていく人たちがどんどん増えてきて世の中変わっていくよということです。特に地方公務員が現場に出て、これまでのやりかたがおかしいよというふうにどんどん気付いてきています。物言わぬ公務員から正しいと思ったことをちゃんと実行してくというような仲間が今、偶然かも知れないのですけれども日本全国で起こりつつあります。滋賀県でいいますと、チョウチョの会というグループが滋賀県の自治体で起きました。それから沖縄県の中でもいちゃりばの会っていうグループが起こっています。こんなのが今全国にどんどん広まっているのですね。こうやっていくと公務員もまだまだ捨てたものじゃないのかなっていうふうに思いますね。これからもこういう仲間を増やしてぜひがんばっていきたいと思います。今日はありがとうございました。