ICOM用バンドデコーダの制作
DE JR8VSE
はじめに
昨年、「自作2入力アンテナ切り替え器(以降、SIX PAKと言う)」をコンテストで実戦使用してみたところ、各送信機のアンテナ選択肢が広がり、また短時間で切り替えられる事から、以前より格段に躊躇なく頻繁に他バンドへQSYを行う事が出来大変重宝しました。
一方、バンドの選択と異なったアンテナ選択はほぼ「ゼロ」であること、コンテスト中疲れてくると注意力が低下し間違ったアンテナを選択してしまうことなどが判明し、リグのバンド選択に連動して同切り替え器を使用することが出来ればより効率的かつ正確性向上によるヒューマンエラー防止が可能との観点から、今回バンドデコーダの製作を行いました。
設計のポイント
製作するにあたり、考慮した設計ポイントは以下の通りです。
- 本器からの制御対象機器は、「SIX PAK」、ICE社 Combination
BPF「419B」とし、デコードは、1.8/3.5/7/14/21/28MHzの6バンドに限定したものとする。
- バンド情報として、ICOM社製リグACC(2)端子から出力されているバンド識別電圧を使用(1.8MHz/8V,3.5MHz/6.1V,7MHz/5.1V,21MHz/3.1V,28MHz/2.1V)
- レベル変換にIC LM3914N-1を使用。
「Dot/Bar Display Driver」なるアナログ電圧を10連LEDレベル表示出力可能なIC “LM3914N-1”を使用する。
- 外部出力用のドライバーとして、フォトリレーを使用。
SIX PAKと419Bは、コモン側の電圧の取り方(”+”,”−”)が逆であるため、
どちらでも対応可能なものとし、少電流・少スペース・低コストを考慮し、フォトリレーTLP227Gを使用する。
※極性に汎用の必要がなければ、より安価なTLP627等フォトカプラや2SA733等トランジスタで代用可能。
- バンドデコードに加えて、DC+13.8V、送受信リレー出力を設ける。
外部機器接続用+13.8V端子、及びICOM社製リグの多くの内蔵リレーは、TL922等100Vクラスの送受切り替え制御を行うと接点が溶接する。これらを防止する為、オムロン「G5V-2」を介したスタンバイ出力端子を装備する。
- 情報表示として、選択バンド,通電,送信の状態が判別可能な表示LEDを備える。
制作
- 回路
回路図を参照ください。
今回の回路図(PDF)
- 基板
特に複雑ではない為、蛇の目基板にスズメッキ線にて配線しています。
- ケース
穴あけが容易なタカチ社の汎用プラスチックケースを使用しました。
- ケース加工・配線
回路が単純なわりに、これに以外と時間が掛かります。コスト削減の折、LEDは、裸3φの物をケースにエポキシ樹脂の接着剤で直接固定しました。(接着した為、過電圧等でLEDを破損させてはいけません。交換が面倒です。)
制作していて気になったこと
- 手待ちのLM3914N(-1無し)のICのうち一つが、15mの出力が隣の17pinに出るものがありました。ICをLM3914N-1に交換すると設計通りの動作となりました。
- 7〜8芯ケーブル
VVC 018 8芯がDINプラグにぴったりサイズです。秋葉原のオヤイデ電線で容易に入手可能です。
動作確認
手持ちの419Bで正常動作を確認しました。
今後、SIX PAKとの動作確認及び実戦投入し、コンテスティングを含めた総合動作の確認をしてみたいと思います。
できた物
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