そ〜っと、のぞいて…

−さざなみが立っても、波風が立たないように−

眺めているだけなら、人間って楽しそうだ。テレビの中に入っている人々のように、こっちを向いても見られていないのがいい。それから、みんなで同じ番組を見て、てんで勝手にバラバラなことを思っているのもいい。実際に会っちゃうと、お互いに考えていることが違ったり聞いてもらいと思っていることがあるのが分かっちゃうから、辛くなる。そんな時はメールして、応えたいことだけに返事を書くのがいい。

ガラス越しに見れる所からそ〜っと覗いている分には、そして、黙って仕事だけさせてくれさえすれば、みんな良い人たちなのに…。私は、ちゃんと人の中にいるのに孤独なのが寂しいわけでも、人間関係に悩んでいるわけでもないのに…。(だって、確かに「ここにいる」けれど、関係を持ってはいないから)。"こっち"から係わるのは構わないのに、"あっち"から"あっち"のやり方で係わってこられるのが苦痛なだけなのに…。人が私に向かって発する言葉には、何らかの意図があるらしいけれどその意思を汲み取ることが出来ないのが、何となく辛いだけなのに…。どうして人と発想が違っていて、私が自然に振る舞うと人がけげんそうな顔でこっちを見るのか、解らなかっただけなのに…。いかにも「アンタが嫌いなの」「迷惑なの」という光線をビンビンに放っている人があまりにもたくさんいるのが、不快だっただけなのに…。

理由が判れば悩みもしなかったことに、ず〜っと苦しめられていたみたい。

私は別に、閉じこもっているわけではない。ただ、ここから出られないでいるだけ。"こっち"から行くのはかまわないけれど、"あっち"から来て欲しくないだけ。特に、人の愛情に対して「愛情を持って報いる」ことを要求されるのが一番イヤ。それを、「人の気持ちが分からない、薄情なヤツだ」とか「これだけ思ってやっているのに…」と言うのだけはやめてください。もし、私を手なずけようと思うのなら、「お前のことはすべてお見通しだ。ジタバタしてもムダだ!」と、で〜んと構えて来るのを待っていて下さい。

大事なことは、

相変わらず、世の中は私を放っておいてはくれないので、いろんな行事や出来事が災難のようにやって来ては、私を巻き込みます。そして、その度に、人との違和感を再認識させられます。いくら薬に助けられていても、理由が判って無理しなくなっても、務めを立派に果たしていても、「何故、こんな思いをしてまで生きていなければならないのか?」とか「私の人生に、何か価値があるのか?」と、やっぱり一日に一度は考えてしまいます。

もし、私以外にもこういう人が生まれてきて、その人達の役に立つことを生き甲斐にするのでないなら、本当は、こんな風に自分自身と向かい合うのは、もうやめにしたいものです。それに、こんなことをしているのはアスペらしくないから。そろそろ、昔のように目線を外に向けて、いつも何かに夢中になっていたいです。なのに、やっぱり何かを見たり聞いたりすると言葉が溢れてくるので、パソコンに向かっています。

こうして言葉に振り回されるのは、辛いです。でも、それを封印するのはもっと辛いので、仕方ないけれどイヤな性分です。


               

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