事件・報道に関して
【一般の方々へ】
発達障害は生まれつきのものですが、置かれている環境や、周囲の人たちとの関係と対応に大きく左右されて、状態像は変わります。従って、発達障害を持った人が事件を起こした時には、発達障害を持っていることそのものではなく、何らかの他の要因が加わったことが原因と見るべきです。それは、すべての人々と全く同じです。
現在、発達障害を持って生まれた人々に発達障害を持っていることを認め、適切な対応をし、必要な支援を行うことが急務とされています。しかし、発達障害への無理解こそが最大の障害になっているのが現状です。
発達障害に関する各分野(医療・教育・福祉)の進展のために、ご理解とご協力いただきますよう、よろしくお願いいたします。
発達障害は多くの人に見られるもので、それ自体は特別なものではありません。また、個々の事例は、あくまでも個々の事例でしかありません。報道関係の方々には、特に慎重な配慮をお願いします。
【発達障害のお子さんをお持ちの親御さん方へ】
ほとんどの人が犯罪を犯すわけではないのと同じように、発達障害を持っているすべての人が犯罪を犯してしまうわけではありません。発達障害を持ったほとんどの人は、むしろ、迷い・戸惑い・悩みながら、懸命に生活しています。
発達障害を持っていることは特別なことではありません。それ自体が悪いということも決してありません。発達障害を持っているということは、それぞれの障害の特異性を認めて、発達段階に合わせた対応をしていくことが必要になる可能性が、発達障害を持っていない人よりも高いということであり、その良さを活かすためにそれなりのやり方が必要になることが多い人であるということです。
今しなければならないのは、自信を失わないことです。この、社会全体が発達障害の存在に無知であることはできなくなった時代にあっても、今までと同じように、一人一人にとって必要なことを・一つ一つ・地道に行っていく姿勢を失わなずに平静を保たれることを、切に願っています。