アスペらしくアスペを生きる、ひとつの試み
これから、ひとつの試みを始めてみようと思います。それは、自分の抱えている困難の原因が、アスペルガー症候群という「自閉症」のひとつのタイプだと知った人が、「では、どうすれば良いか」ということです。
とはいえ、まだ始まったばかりですから、まだ提案に過ぎません。これから試行錯誤を繰り返しながら、だんだんに出来あがって行くでしょう。もっとも、人の人生に結論を求めること自体がオカシイことなので、「永遠の実験になるだろう」と、作者である旅人は予想しています。
また、アスペルガー症候群や自閉症らしいところがなくても、あってもごく一部だとしても、ここでは何の気兼ねもなくアスペと呼ばせていただきます。(もっとも、今までもそうでしたが…。)
アスペの"これから"を考えるとは、まさに、社会性の欠陥を抱えた人が「社会とどう折り合いをつけていくか」ということではないでしょうか? よく、「誰にでも"とりえ"がある」と言います。実際に、逆境をバネにして成功を収めた例は、数知れず…。しかし、どんな人でも欠点を長所に変えることが出来るというわけではありません。欠点は欠点のまま、素直に認めなければならない場面もあるし、素直に認めたほうが良い場合もあるでしょう。
自閉性の障害と一口に言っても、どこに重点があるかによって、抱えている問題は異なっているように思います。仮に、「自閉症」の診断基準を逆手にとって、人と係われない原因を、以下のように分けてみます。
- 社会的相互作用:身体的な感覚などの困難。
- コミュニケーション:言葉・身振り・表情など、意味の伝達の困難。
- 想像力:自分以外の人を、連続した像として統合できない。
提案その1:アスペを自覚する。
1.社会的相互作用の困難
- 身体と心がアンバランスで、自分が自分の体としっくりいっていない。
- 自開状態で、周りに影響されやすい。
- 自分の実体が、<ある>ようで<ない>。
- 自分の触覚が異常に敏感で、いつも、自分の体の感覚が気になって仕方がない。その為、視覚・聴覚などの重要な感覚に注意が向きにくい。
- 触覚的に、ニンゲンに触れること自体がイヤ。
- ニンゲンの感情というものが、感覚的に受け入れられない。
- 人と係わり合うこと自体が、苦痛である。
- 上記のような様々な理由で、対人関係に必要な情報を取り込むことも、その情報を基に、人との関係を築くこともできにくい。
- 自分の意見を一方的に主張するか、他人の発言をそのまま鵜呑みにするかのどちらかになりやすい。自分の意見が通らないと、不機嫌になる。それが予想される時には、始めから参加しない。
- 一人一人が、並行する状態の人間関係になりやすい。人がそれぞれ、別々に考えて行動し、しかも、自分の予想通りになることを望んでいる。
- 何かの課題に取り組んでいる時には、人に働きかけることも、人から働きかけられることにも抵抗がある。
- 今、自分に係わりのある人達に対して少しでも有利になるように、「自分」を変えていくことが出来ない。あるいは、状況に応じて切り換えられない。
2.コミュニケーションの困難
- 言葉でも、身振りや表情でも、独自の意味付けをしてしまっているので、解釈が一般的でない。間違った読み取り方をしている。
- 表現方法が、具体的な事柄の羅列でしかなくて、要点がなく、何を言いたいのか伝わり難い。
- 主語や状況の説明なしに、いきなり本題に入ってしまう。どんな人・どんな立場の人にでも解るように表現できない。
- そもそも、自分の言いたいことを思いつくままに、文字や言葉に置き換えているだけで、「誰かに・何かを・伝えたい」と思っていない。
- 自分だけで了解していることを、頭の中でまとめてしまうと、抽象的で何のことか解らない文章になってしまう。
3.想像力の困難
- 主観が強すぎて、他の人のことを連続体として捉えられない。重度なものは、他人の行動を追って、その経験を想像することが出来ない。しかし軽度でも、他人の心の動きを想像することに困難がある。
- 他の人達には、自分に欠けている「何か」がある。したがって、他者とは、自分の想像を超える「意外な」存在である。その「何か」とは、考えていることだったり、感情だったりする。
- 上記の理由で、他者の発言・行動・表情などから、相手の考えていること・思っていること・抱いている感情を想像する力が弱い。または、想像した内容が的を得ていない。
- 自分に想像力が欠けていると自覚している人は、他人を勘ぐって疲れてしまう。しかし、その自覚がない人は、他人に下心があるなどとは思いもよらないので、あとで裏切られた気がしてショックを受ける。
- また、自分が他人にどう見えているか・どう思われているかということに、無頓着か気にしすぎるかのどちらかである。
提案その2:上記のことを指摘された時に、腹を立てない。
自分がそういうものだと解っていれば、指摘された時に腹が立たなくなる!? かな…。
提案その3:今日の自分のアスペ度をチェックしてみる。
今まで、アスペ的な行動や発言をする度に、「また、やってしまった」「自分はダメだ」と思ってきた。けれど、逆に、「自分のアスペ度は100点満点だった!」と、笑い飛ばせるかな!?
ただ、「ちゃんとしよう!」「人に好かれよう!」「こうしなければ・ああしなければ」と思わなくなったら、緊張しなくなってすごく自然になった。人と話す時に楽になったし、仕事でも何でも、余計な精神的エネルギーを消費しなくて済むようになった。これは、私の経験。しかし、手を抜くわけではない、気負わないだけ。念のため。
提案その4:公私を分ける。
人とのおつき合いの時間と、自分を取り戻すプライベートの時間を分ける。思いっきりアスペでいる時間がないと、息が詰まってしまう。余裕ができれば、何とかなりそうな部分から打解策が見えて来るかな!?
提案その5:誰かに話す。
と言っても、世の中に対して「自分はアスペです!」と宣言するわけじゃない。それはやっぱり勇気がいるし、言って良い人と悪い人がいる。言っても大丈夫な人を探して、思いっきりしゃべりまくろう。いつまでも、ネコやイヌが相手では、つまらない!?
でも、やっぱり、ニンゲンは、コワイ、かな…?
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