SSRIのおはなし
"SSRI"とは何か? いわゆる「抗うつ剤」です。自閉症者(アスペルガー症候群を含む)の中で、不安感・怒りや気分の変動・抑うつ状態などといった二次的な症状を持っている人に薬物療法をが有効なことは、あちらこちらで紹介されているので、知る人ぞ知るといったところでしょうか。例えば、『ガイドブック・アスペルガー症候群』に、こんな一節があります。
抑うつや、儀式的行動をともなう強度の不安は、新しい種類の薬物療法である、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(訳注:セロトニン代謝に関係する抗うつ剤の一種、強迫症状に対して効果があるとされ、最近日本でも認可された)で、かなり減少させることができます。
P243、よく受ける質問12「不安感をどのように静めたらよいのか」
SSRIとは、この"選択的セロトニン再取り込み阻害剤"の略称です。
自閉症者には少量の「抗うつ剤」が利くことが判ったのは、テンプル・グランディンさんの自らの体験によるところが大きいでしょう。『自閉症の才能開発』には、その経緯と数々の症例も紹介されています。だからといって、それを鵜のみにしたわけではありません。テンプルさんが、薬の効能書を読んで自分に処方してくれるように医師に頼んだのと、私が「うつ病」の認知療法を見て自閉症者の心理状態が「うつ」状態の人のココロの有り様に似ていると感じたのは、偶然の一致ではないと思います。
「ヤクの助けを借りずに頑張る!」とちょっと前に書いたばかりなのに、私がこういう薬を飲むようになった理由はさておき、服用し始めて、今日でちょうど2週間目になります。その体験をちょっと書いてみます。
ただし、以下の体験談を読まれる時には、この二点にはくれぐれも注意して下さい。
- 自閉症者の抗うつ剤=SSRIと決まったわけではなく、ひとつの例にすぎないということ。
- 通信販売などを利用して試してみるようなことは、しないで欲しいということ。(私は、辻井先生から紹介していただいた病院で処方してもらっています。といってもテストケースという段階で、受入れ体制ができているわけではありません。ここで病院紹介ができないのは残念ですが、ご了承下さい。)
今後どうなるかは分かりませんが、とりあえず今のところの報告です。
私の飲んでいる薬と、今のところの経過
薬品名 ルボックス(藤沢薬品、成分名はフルボキサミン) 用法 25mg×2(朝夜各1錠ずつが一般的) ただし、私の場合、副作用の眠気・倦怠感が強いので、4日目から夜のみにしました。
2日目
- それまで短調に聞こえていた曲が、長調に聞こえるようになる。
- 気分の変動があって落ち込みかけても、途中で止まるようになる。
- 声を出して笑ったり、子供にちょっかいをだして遊んだりと、全体的に明るくなる。
4日目(用量を半分に減らす)
- ちょっとしたことでイライラしなくなり、癇癪が抑えられるようになる。
- 気分や感情の変動が、極端に走らなくなる。
- 乗り物酔いしなくなる。
- やる気が出てくる。
9日目
- 相変わらず頭の中に色んな考えが浮かんでいるけれど、それにのめり込まなくなり、外の世界に注意が向きやすくなる。
- 朝、スッキリと目が覚める。
- 過緊張しなくなり、全身の硬直がとれる。
※他の副作用として、胃腸症状が出ることがあります。吐き気・むねやけなど、それぞれの症状に合わせて市販の胃腸薬を飲んでいます。(もともと過敏性大腸症候群と胃弱な為かもしれませんが…。)
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