「お金のいらない国」を想像してみませんか

お金って何でしょう?人はお金がなければ生きられないのでしょうか。お金は人間が考えだした道具に過ぎず、自然界に初めからあったわけではありません。道具なら、便利で、みんなが幸せになれるなら使えばいいでしょう。確かにお金は交換の手段としては便利かもしれません。しかし、お金はみんなを幸せにしているでしょうか。世の中の問題は、ほとんどお金が原因なのではないでしょうか。

私は広告代理店の企画制作部門にもう30年以上勤めていますが、仕事をする上では、本来の業務以外に、見積りを書くなど、お金の仕事にたくさんの時間をとられます。それをとても面倒で負担に思っていた私は、入社して10年ほど経ったある時、ふと思ったのです。お金は食べられるわけでもなく、人の間を回っているだけのもの。ということは、お金など無くなってもみんなが仕事さえすれば社会は成り立つのではないか。

そこから私の妄想が始まりました。もし、この世からお金がなくなったら……。お金がもらえなかったら、人は仕事をしないだろうか。全部タダだとしたら、人はどんなものを持ち、どんな生活がしたいと思うだろう。お金が無くなったら世の中はどう変わるだろう。社会のいろいろな問題はどうなるだろう。想像はどんどん広がっていきました。そして、私の頭の中にはまさに本来あるべき、理想郷が開けた気がしたのです。

1993年、私は「お金のいらない国」という小説を書きました。2003年に出版。今では続編も4まで出すことができ、講演会なども頻繁にさせていただくようになりました。

今の人間社会は、何でもお金中心に考えられてしまいます。お金のために働かねばならない。お金儲けの競争をしなければならない。お金のために新しいものをどんどん作って売らなければならない。その結果、自然は破壊され、資源は底を尽きかけ、致命的な環境破壊を引き起こしました。

今のままでは近い将来、地球はどうなるかわかりません。手前味噌ですが、「お金のいらない国」を想像することは、今まさに必要なことなのではないかと思います。ただ、実際にお金のいらない国を実現することは容易ではないでしょう。実現できないことは考えても無駄と思われる方もいらっしゃると思います。しかし、想像しなければ何も始まらないし、私は、実現すること以上に、一人ひとりが心の中にお金のいらない国を作ることが大切だと思っています。お金というものの本質に気づき、この世をお金という価値観に振り回されずに生きる人が増えることによって初めて、実現にも近づくのではないでしょうか。


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