お金のいらない国(紙芝居)原稿

●1枚目
絵……迷っている青年

青年「あれえ、ここはどこだろう。知らないところに来ちゃったなあ。
でも、きれいなところだなあ。青空もすごいや」

●2枚目
 絵……道行く人々を見る青年。国際色豊かな人々
 
青年「いろんな国の人がいるみたいだなあ。みんな楽しそうにしゃべってるけど、
よく言葉が通じるなあ。それにしても僕、なんでこんなところにいるんだろう」

●3枚目
 絵……3人(男2人、女一人)に呼び止められる青年

男1「どうかなさいましたか?」
青年「あ、ちょっと道に迷っちゃったみたいで」
女1「あら、それはお困りでしょう。どこに行きたいんですか?」
青年「いや、別に行くところはないんですけど、
   あのう、ここ、どこなんですか?」
男2「地球ですよ」
青年「いや、それはそうでしょうけど。日本ですか?」

●4枚目
 絵……4人で話している。男1、日本地図を考えている

男1「日本?ああ、確かにこの辺りは昔、日本と言われていたようですね」
青年「昔?」
女1「ええ、相当昔だと思います。今はそういう分け方はないんですよ。
   地球です」
青年「今って、西暦何年ですか?」
男2「2507年です」

●5枚目
絵……驚く青年

青年「え!?2507年!? 僕は2007年にいたんですよ」
男1「へえ、ではあなたは500年も過去の世界からいらしたんですね」
青年「まあ、そういうことになるんでしょうか」
男2「それはおもしろいですね。じゃあ、ちょっとその辺で
   お話を聞かせてもらえませんか」
青年「ええ、いいですけど」

●6枚目
 絵……野原に座る4人。青年、銀行を考えている

男1「500年も昔の世界で、あなたはどんなお仕事をされているんですか?」
青年「銀行に勤めています」
女1「ぎんこう?」
青年「ええ」
男2「それはどういうお仕事なんですか?」
青年「お金を預かったり、貸し出したりするんです」
男1「おかね?」
青年「ええ、お金です」
女1「おかねって何ですか?」
青年「え?お金を知らないんですか?」
男2「ええ。僕たちはおかねというものは知りません。どんなものなんですか?」

●7枚目
絵……お金を見せる青年

青年「ほら、これがお金ですよ」
男1「へえ、おかねって、この紙切れなんですか」
女1「この金属の破片も?」
青年「え、ええ」
男2「これが、何かの役に立つんですか?」
青年「え?僕たちはお金がないと生きていけないんですよ」
3人「ええっ!」

●8枚目
絵……男2お札を持っている

男2「これを食べるんですか?」
女1「やぎみたい」
青年「いえいえ、食べませんよ。この時代ではお金は使われていないんですか?」
男1「ええ。いったい何に使うんですか?」
男2「トイレ?」
青年「僕たちの時代では、何か仕事をすると、そのお金というものがもらえるんです」
3人「へえ」
女1「もらうと何かいいことあるんですか?」
青年「いろんなものが買えるんですよ」
男1「かえる?」

●9枚目
絵……男2がカエルのかぶりものをしている

青年「いや、そのカエルじゃありません。買うというのはお金と引き替えに物を受け取ることです。ものを買うときは、その値段分のお金を渡すんですよ」
女1「ねだん?」
青年「ええ、ものにはみんな値段というのがついているんです」
男1「よくわかりません」
女1「なんか、昔の人って変なことしてたんですね」
青年「変ですか」
女1「だって仕事をしたらこんな紙切れをもらって、
自分のほしいものをもらうときにもこの紙切れと交換するんでしょう?」
青年「ええ、そうです」
男2「そんなことしなくたって済むのに」
女1「めんどくさいわよねえ」

●10枚目
絵……力説する青年。「ぜいたく」という文字

青年「でもお金はね、いっぱい貯めるとぜいたくができるんですよ」
男1「ぜいたくって何ですか?」
青年「値段のすごく高いものを買ったり、おいしいものをたくさん食べたり」
男2「僕たちはお金なんかなくても必要なものはなんでも手に入れられますよ」
青年「必要なものを手に入れたくらいじゃ、ぜいたくとは言わないんです」
男1「必要じゃないものを手に入れてどうするんですか?」

●11枚目
絵……話し合う4人。「タダ」という文字。

青年「じゃあ、ここでは、ほしいものはなんでもタダでもらえるんですか?」
男2「タダ?」
青年「ああ、お金を払わなくてももらえるってことです」
男1「もちろんです。お金なんてありませんから」
青年「誰かがひとりでたくさんのものを持っていったりしないんですか?」
女1「ほしければ持っていってもいいですけど。それをどうするんですか?」
男2「たくさんあっても、結局みんなに分けるしかないでしょう」

●12枚目
絵……仕事をしているところを想像している

青年「みなさんは、お仕事をしているんですか?」
男1「ええ、していますよ。みんな自分の得意なことをしています」
女1「私はおいしいお料理をつくります」
男2「僕は畑で野菜を作るのが得意」
男1「私はみんなの病気を治します」
女1「私はお洋服を作るのも大好き」
男2「僕は歌と踊りも得意です」

●13枚目
絵……4人で

青年「みなさんはお金がもらえないのにどうして仕事をするんですか? 」
男1「やりたいからです」
女1「みんなに喜んでほしいから」
男2「嬉しい顔を見るのは最高だよね」
男1「あなたはそうじゃないんですか?」
青年「え?」

●14枚目
絵……考える青年

青年「そうか。お金のために仕事をするなんてたしかに変だよな。
お金ってなんだろう?」

おわり

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