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松本零士イベント・レポート1
〜大阪トヨタ・アムラックス「21世紀へ…松本零士と銀河鉄道999展」記〜
1999年3月21日(日)、22日(月)
21日(日)に新幹線で新大阪に着いた私は、ホテルのチェックインを済ませてひとまず荷物を部屋に落ち着かせると、直ちに電車に乗ってアムラックスのある大阪駅へ向かったのでした。
アムラックスは地図で見ると、大阪駅のほんとに目の前、という感じだったので、すぐ着けそうだな〜、と思っていたら、巨大な大阪駅の地下街で方向がわからなくなってしまい、かなり迷ってしまいました。
しかし、何とか地元の方々の協力をえて(?)、冷たい大雨の中、アムラックスへたどり着くことができました。
さすがにトヨタのショールームのビルだけあって、1Fにも2Fにも、イベントスペースのある3Fにもしっかりトヨタの車が置いてあるのでした。
この日は会場の場所確認とどんなところか行ってみるかという軽い気持ちで来たのですが、まずはグッズ販売しているコーナーを発見。
どんなものを売ってるのかな〜?と興味深々で覗いて見ると、オリジナルグッズとしてはメーテルのクリアファイル2種類、5枚入りのポストカード、5種類の999のテレカ、999のマグカップ2種類、Tシャツが5,6種類、スタンプラリー用の台紙、銀河鉄道のパスポート、などが売られていました。あとは、現在発売されている松本作品の全てのビデオ等でした。
昔、よく999のグッズが売られていた頃私は学生で、当然おこづかいなんてたかが知れてる金額だったから、買いたいと思っても結構我慢して結局買わなかったものが沢山ありました。(しかし今思えば、やはり無理してでも買っとくんだった…キャプテンハーロックのセル画とか…。)
今は、収入がとりあえずある身なので、その反動からか?クリアファイルとポストカード、4種類のテレカ、2種類のマグカップ、999やヤマトやアルカディア号、エメラルダス号が描かれたものと、唯一小さいけどハーロックが描かれているTシャツを買ってしまいました。
さて、お買い物を済ませた私の目に止まったのは、壁際に小さく設置された松本零士氏へのメッセージコーナーでした。デスクとイスがあり、ちゃんと「拝啓 松本零士様」と印刷されたレター用紙と、ちゃっちい鉛筆が用意されてありました。
私は早速、そこのイスに座り、メッセージを書きました。どんなことを書いたかといえば、主にインターネットの東映の掲示板を是非見て欲しい、というようなことでした。ファンが現在思っている生の声が聞けるから、ファンは、こういうことを思っている、ということを知っていただきたい、と思ったからでした。
しかし、こういうことを書いていいのかわかりませんが、用紙には「このメッセージはイベント終了後に責任を持って松本零士氏にお渡しします。」と書いてあったが、翌日のトークショーを聞いて、次々とある企画に描くべき漫画に忙しく、多分この分じゃメッセージ読む暇なんかないだろうなあ、と思ってしまいました。
まあ、渡してはくれるでしょうが、期間中集まったメッセージなんて膨大な量になるだろうし、必ずそれを松本氏が目を通すというところまではどうかなあ〜というのが正直なところ。でも、是非ひとりひとりの心のこもったメッセージは読んで頂けたら、嬉しいですよね。
ともかく、書き終わって投函すると、今度は展示物を見てまわりました。
私が行った時は、スクリーンで劇場版999が上映されており、設置されたイスに座って見てる人も結構いました。
パテーションの壁には、松本氏の描いた原画が展示されてました。「超時空戦艦まほろば」とか、少年キングに連載していた昔の999の「出発のバラード」、「大四畳半惑星の幻想」、なぜか「ボルカニックの弟子」等。もちろん、ビッグゴールドに連載していた、999のも沢山ありました。
しかし、私としてはハーロックが出てくる原画が1枚もなかったのはちょっと残念でした。
また、松本零士氏の赤ちゃんの時の写真とか少年や学生時代の写真も何枚か展示されていました。その少年の写真を見て、
「えーっ、これがあの松本零士氏?!」と思いました。
どう見てもどこにでもいる普通の少年なんですよね〜。(ってあたりまえなんですが。)
この少年が、将来、後に男おいどんとか、999とかハーロックを描くなんてちょっと信じられない気持ちで見てました。
でも、よく見ると目が、やっぱり今の松本零士氏の面影があるんですよね。目元はいくつになっても一番変わらないところなのかもしれません。
あとは、図書館のように松本零士氏の現在発売されている漫画本が読めるコーナーもあり、それから「宇宙戦艦ヤマト」のアニメのセル画もわずかですが展示されてました。
その側には、1/200スケールですか、ヤマトの模型がありました。かっこよかったですよ。やはりプラモデルと違って迫力がありました。大きかったし。また、私としてはああこれでアルカディア号とか999とか造ってくれたらすごいかっこいいだろうなあ、とそれを見ながら想像してしまいました。
松本氏の描く漫画にもOVAエメラルダスでも何千分の1かのアルカディア号の模型が登場するけど、実際に見てみたいものです。
さて、トークショーとサイン会が行われるその翌日、それらが行われるのは午後3時からですが、アムラックスの開館は午前11時。サインをもらえるのは先着100名なのですが、開館してから行ったのでは多分絶対もらえないだろう、と過去の経験で予測はついていたので、午前8時半に現地に着く形にしようと決意してました。
ただ、その時間でも100名埋まってしまうかもしれないという不安はありました。
ホテルのチェックアウトタイムは12時だったので本当はもっとゆっくりのんびりしたかったのですが、大阪まで来て、やはり絶対サインはもらいたい!という気持ちからそれを振り切り、当日は早々にホテルを引き払いました。
それでも支度に手間取り、結局出る時間が30分ほど遅くなってしまい、急いで重い荷物持って新大阪駅へ行き、コインロッカーに荷物を預けると、結構焦りながら私は大阪行きの電車に乗り込みました。
電車で移動中ももしもう100人並んでしまったら…と思うと気が気じゃなく、そういう気持ちから大阪駅に着くとまだ殆どの店が開いていない地下街を、私は全力疾走、ダッシュでひたすら走ってました。
前日さんざん地下街を迷ったりうろつきまわったお陰でどういけば着けるか道順がわかっていたのは正解だったと走りながら思ってました。
そしてようやく息を切らしながらアムラックスへ到着すると、既にやはり列が出来ていましたが、ざっと見て100人まではいってないようだったのでちょっと安心し最後尾に並び、ようやく全身の力が抜けてほっとしたのでした。
(あとで配られた整理券の番号は25だったので25人目だったようです。)
しかしこの日は寒かった…。サイン会権利獲得待ちの列は、ちょうど建物の日陰になっており、冷た〜い強風が吹き荒れており、私達はずっとその中で頑張って待っていたのでした。
といっても私などまだ全然いい方で、1番最初の人は午前4時半に来てずっとこの寒さの中待っていたわけだから、もう、おみそれいたしました、へへぇ〜っ(平伏す)という感じでした。サイン会で好きなキャラクターを描いてもらったり、名前を入れてもらったりという特別待遇も当然かな、と思いましたね。
この北風の中そろそろ立ってるのも疲れて来た頃、天の助けというべきか、アムラックスのスタッフの人が数人現れ、列の整理をし始め、まだ開館前でしたが、整理券を配ってくれました。
よかった〜!と一同、整理券をもらうとそれぞれ散っていったのでした。私も券をもらうとすぐ暖かさを求めて地下街へ避難していきました。
さて、午後1時頃、私はまたアムラックスへ舞い戻ってきました。サインをもらう為には、整理券の他に、「999メモリアルコレクション」という本を購入しなければならないということで、それを買いに3Fへ行きました。メモリアルコレクションって新しくなんか作ったのかなあ…とそれまで対して深く考えてなかったのですが、山積みされた本を見て、「こ、これは!」と思わず絶句。
それは、去年発売されたエターナルの設定資料集のことだったのです。
それなら、既に一冊持っているし、また買わなきゃならんのか〜い!とちょっと腹が立ってきました。
値段だって200円とか300円ならまだ許せるが、2000円以上するシロモノなのです。なんのことはない、売れ残った在庫を処分する策でサイン会が使われたんでしょうか。しかもこの本にサインをする、ということが決められているとのことでした。(しっかり無視して自分の持ってきた宝物にサインしてもらう人は沢山いましたけど。当然ですね。)
しかし、サインをもらう為には仕方ありません。納得いかなくても購入し、トークショーの会場の1Fへ降りていきました。
車の展示されたスペースの一角に2つイスを置き、そこをステージにしてその前に客席用の椅子が何列か並べられてありました。何人かもう座って友達同士でおしゃべりしている人や、荷物が置かれてあるのを見て、
(あとの空席も程なく埋まるだろうな…)と思い、本当はお昼を食べに行こうと思っていたのですが、やめて、前の方に空いている端っこの席を確保しました。
そして、待つこと2時間。手袋をしていたにも関わらず、手先から足元からじんじんと冷え切っているのでした。
なんせそこは入口の結構近くで、入ってくる人がひっきりなしにいるから、雪の降って寒風吹きすさぶ外の風が入ってきてとっても寒かったんです!トークショーが始まって司会のお姉さんが
「悠々と席に座っている方もいらっしゃるようですが…」と言ってたけど、(こっちは2時間前から寒い中待ってたんだい!)と心の中で言い返してやりました。
さて、皆さん、お待たせしました。いよいよ、3時になり、待ちに待った松本零士氏の登場です。
トークショーの内容といきましょう。
最初は、大阪の地ということで、今度6月下旬に堺市にオープンするビッグバンという松本零士氏が館長を務める施設の話でした。私は初耳だったのですが、寒かったのと(そんな暇があったら漫画に専念して欲しい!999の話はまだか!)と思ってたのであまり熱心に聞いてませんでした。ごめんなさい。
しかし半分くらいはこの話でした。
後のトークショーの話の内容としては、この前広島で行われたイベント等の内容とほぼ同じだったと思います。
999に関しては、今度は、約20年前位に公開した劇場版999とかさよなら999とかの続編という形で、作りなおしたい、エターナルはスタッフが若い世代のスタッフで試作品的にやったものである、というようなことでした。
ヤマトも新作を作りたいということでしたね。思ったほど、999に関しての話はそれ程ありませんでした。
目新しい話としては、1000年女王は、メーテルやエメラルダスの母、あの機械化帝国の女王プロメシュームの実は若い時の姿である、という設定で考えている、というのが出ました。
1000年女王が、何故あのような母となってしまったのか、その過程を描きたい、その作品もビデオソフトで発売する企画がある、ということでした。
私は個人的にそれはやめてくれ〜と思ってしまった。雪野弥生が「やめなさ〜い!」のあの女王になってしまうのですか?うーん、ちょっと抵抗があるなあ…。
それから、あの名作「トラジマのミーめ」が、これもアニメ化される企画があるとのことでした。
まあ、松本零士さんのどの作品にもミーくんは登場するし、零士さんにとっては相当思い入れ深いから、ミーくんを主役にしたアニメーションを作りたい、というのは当然出てくるだろうなあ、と思ってました。
しかも「トラジマのミーめ」はとてもいい作品なのでかなり有力にアニメ化されてくるかもしれませんね。
(アニメの出来が悪くならないことを祈りますが。)
…ということでいつもの如く話が長くなってしまい時間がおしてきたので、トークショーはお開きとなりました。
そしていよいよ、サイン会です。
まずは1番から10番の整理券の番号の人が呼ばれました。ステージに長机が用意され、その周りにナマ松本零士を見たい人達で厚い人垣がたちまち出来てしまいました。サインをもらう人は、結構零士氏にこういうキャラクターを描いてくれとか、注文つける人が多いらしく、司会のお姉さんが何度も何度も
「わがまま言わないでくださいね〜、まだ沢山の人が待ってますから、時間がなくなってしまいますからね〜!」
と繰り返し繰り返し言ってました。
そうこうするうちに、やっと20番から30番が呼ばれ、私も先ほどの本を抱えて行ったのですが沢山の人が群がっててどこに並んでいいのやらわからず、結局私は20番台の終わりくらいになってしまいました。
ノートパソコンにサインしてもらってる人がいるやら、フュギィアにサインしてもらっている人やら、皆、とても熱心な零士ファンである気持ちがよくわかりました。
私もドキドキしながら順番を待ち、すぐ近くで一生懸命サインをしている零士氏を間近に見えたときに、去年のことを思い出しました。
去年、OVA「クイーン・エメラルダス」第2巻の完成披露試写会が開かれた時に、ファンサービスでサインがもらえる抽選会があり、沢山の応募ハガキの入った箱の中から、松本零士氏が私の応募ハガキを引いてくださった時は、
もう、信じられない感動で頭の中が真っ白になったことがありました。零士氏の直筆のサインをもらえるなんて、生まれて初めてだったのです。でも、その時、これは誰がもらったかもわからずに書いたものだから、いつか、直にサインをもらえたらいいよな、と夢のように思ってました。
その時だけでなく、それは昔からいつもそうだったらいいね、という夢でした。なんせ零士氏はトークショーとかで遠くから見るだけでしたからね〜。漫画はすぐ手元にあるけれど、実物は遠い存在でした。
それが現実になりつつあるなんて信じられない気持ちでいやが上にも緊張してきてしまうのでした。
零士氏は60歳超えてるにも関わらず、お顔の肌はてかてかと光って血色もよく、とても健康的だな〜と思いました。もしかしたら、女性よりきれいな肌なんじゃないかなあ、とか順番待ちをしながら近くなってきた零士氏を見てそんなことを一瞬思ってしまいました。
そして整理券をスタッフの男の人に手渡すと、その人は私からエターナルの本を受け取り、零士さんがサインをしやすいようにカバーを開いて裏表紙を開けて準備してくれました。いよいよ順番が近づき、私の前の人がサインしてもらっているとき、結構距離が近くなったので何やら零士氏が言っているのが聞こえてきました。
目の前のファンの人としゃべっているのかと思ったらそうではなくて、側のスタッフの人に、
「インクが薄くなってきた。」
するとスタッフさんは、「はいっ。」と返事をし、マジックを持ってきた…(のかな?そこまで見てなかった。)
「今、何人目くらい?」(サインをしながら、これもスタッフさんに。)
「えー、(整理券をみながら)20番台のおわりくらいです。」
零士氏「あと70人もいるのか…あと何分あるの?」スタッフ「40分くらいです。」
そしてなんと、零士氏はその人にサインしている間、2回も腕時計をみているではないか!
これは…もしかしたら、握手してもらえる時間もなくはい次!とされてしまうか、おざなりに握手されてしまうかも…と不安に思っていると、前の人のサインが終わり、いよいよ私の番になりました。
松本零士氏の前に立つと、まるで小学生の時校長先生に卒業証書をもらっている場面を思い出してしまいました。
「よろしくお願いします。」と私は言い、さっきの男性のスタッフさんが零士さんに私の本を前に置いてくれました。
零士氏はすぐさまサインをそこへ書き出してくれました。
私はかなりドキドキしてたんですが、思いきって零士氏に言いました。
「私はインターネットで今、ハーロックをメインにして零士さんの作品を扱っているホームページを開いているんですが、そういう形でも応援してますので頑張ってください。」
すると熱心にサインをしながら零士氏、
「………(しばらく沈黙)それって新潮社の?」
それを聞いたとたんひざの力が抜けました…。
零士氏はもしかしてインターネットで個人で開いているサイトがあるということを知らないのだろうか??!!
俗世間のことはあまりご存知ないのだろうか。それとも、「ハーロック」と「インターネット」という単語しか聞こえなくて言ったのか、私の言い方が悪くて「インターネットのジークフリード頑張ってください」という意味に聞こえたのか…私は混乱してややうろたえつつも、
「いえ、個人で作っているページがあるんです。」というようなことを言いました。
そうこうするうちに、ようやく零士氏はメーテルを書き終わりました。
そして、手を差し出してくださいました。
そして、まっすぐに私の目を見て、しっかり握手してくださったのでした。小さいけれど、とても澄んできれいなまっすぐな瞳でした。私はもうその一瞬で、胸が一杯になり、お礼を言ってその場を離れたのですが、まるで足元は雲を踏んでいるかのようでした。
人垣をくぐり抜けて少し離れたところでサインされた本を抱えながら、何とも表現できない気持ちでボーゼンと零士氏の回りのファンの人達の背中をしばらく見つめていたのでした。
数日経った今も、このことを思い出すと気持ちが熱くなります。
考えてみたら、私はこの方から約20年前くらいから自分の人生に恐ろしく多大な影響を(良くも悪くも)与えられてきたのでした。特に思春期の頃でしたしね。
もしかしたら学校の教科書よりいろんなことをこの人の作品を通して教えられてきたかもしれません。
その長年の憧れの人と生まれて初めて話が出来(しかしあれを会話というのか疑問ですが)、握手をすることができ、松本零士氏と目を合わせることが出来たのでした。もう、夢が現実になって、感慨無量でした。
その後すぐ新幹線に乗り、帰りましたが、車中もなんだかぼーっとしてたし、その夜は次の日仕事なのになかなか寝付けませんでした。そして寝不足のまま会社へ行ったのでした。
あと、トークショーを聞いた印象としては、零士さんはとても非凡なものを持っており、スケールもとてつもなく大きくなっていて偉大な方なのだが、俗世間に密着している私のような凡人としては、もっと私達のところに降りてきて欲しいな、と思ってしまったのでした。ラーメンライスやサルマタケ(これは行き過ぎか。)のような生活感が最近感じられないような…まあ、さすがに今そういう生活してないのはわかりますが、感覚的に私達のレベルにもたまには戻ってきてほしい、と思ったのでした。そしてゆとりを持っていい作品を作り続けてほしいと思いました。零士氏が生んだキャラクターや作品は零士氏だけでなく私達にも同時に思い入れの深いキャラクター、作品達なのですから。
しかし、前向きにひたすら夢を追う姿には、パワーを感じ、やはりとても惹かれるものがあったのでした。
長くなってしまいました。ゴメンナサイ!