【管理人注】スレッドが長くなったのと、だいぶ下に下がったので、新しくスレッドを立てます。【管理人注終了】 >何処のシーンのことでしょうか? (by 歩多さん) 例えば、第2章第10節のあたり。貞子先輩が静香を脅し、静香はあっさり髪を切ってしまったのに、 貞子先輩が現れると、わざとショックで落ち込んだふりをして、泣き真似をします。 これによって自分がこれ以上貞子先輩に利用されないようにもっていきました。 つまり、貞子先輩の命令に従わず、その相手と突然出くわしたのに、 瞬時に相手との関係を絶つための擬態をする、というところが「すごい」と感じました。 もっと考えると、静香は多分、貞子先輩から脅されたときから、 「それなら自分の髪を切ればいいだけの話」 と思っていたのに、貞子先輩の前ではさも追い詰められたようなふりをし、 第10節のところでも、貞子先輩に会ったら、ああいう行動を取ろうと あらかじめ考えていたんだと思います。このあたりを「心理戦」と感じます。 貞子先輩の仕掛けに対し、静香が予想外の角度からするりと抜け出して見せるのにびっくりしたんです。 また、第4章第5節も「心理戦」を感じます。 さやかは漫画に落書きしたのはリカだと直感して追求し、リカは否定するのに、 それでも追求を続けて白状させてしまうあたりのやりとりです。 ぼくなら、証拠もないのに追求なんて出来ないし、 もしかしたらと思って尋ねても、リカのようにはっきり否定されたらすぐに謝って、 他の人がやったんだろうと思ってしまいます。 さらに同じ第5節で、さやかがリカに衝動的な行動を取り、リカは逃げ出します。 ああいった行動を取ったのなら、本来ならさやかが謝らなければ関係修復はあり得ない (とぼくは思う)のに、リカは第11節で 「本気じゃなかったって、私はわかっていたから」 と言って自分から先に謝るんです。つまり、リカが第5節で逃げ出したのは、 あゆみは衝動的に行動しているだけで本気じゃない、と見抜いていながら、 わざと睨み付けて強い力でドアを閉めて逃げ出すことによってあゆみに負い目を感じさせ、 自分の落書きの罪を帳消しにしてしまった、ということです。 このあたりの駆け引きも「心理戦」と感じました。 ただ、このへんはぼくが鈍い男だから「すごい駆け引き」と感じるだけで、 女性なら誰でも普通にやっていることなのかもしれませんね。[2007/03/04 13:31:26]
「キャラがかぶる」ってのはTV番組の中での役の割り振りで出てくることかと思っていたら、 現実の人間関係の中でもそういうことを感じているんですね。 これって女性の世界ではよくあることなんでしょうか。 女性は同じようなファッション・髪型の人同士でグループを作っていることが多いから、 似たキャラの人同士は引き合うのかと思っていました。 ぼくなら、自分と同じタイプの性格の人なら親近感を感じるし、 仕事の上で自分と同じタイプなら自分の負担が減るから楽だなと思うし。 > Windさんに添削をしてもらわなかったら、 > きっと、ハチャメチャな文章でわけのわからない物語になっていたと思います。 いえ、ぼくがやったのは、字句上の修正と、 物語の前書きとしてネタバレ気味のことが書いてあったのを削除する提案をしたことぐらいです。 「リカ」は最初から完成度が高かったですよ(^_^)[2007/03/04 13:31:52]
深く読み込んでくださってありがとうございました。 こう言っては、申し訳ないのですが、私自身はあまり深く考えずにノリで書いてしまいました。 Windさんの解釈には「なるほど!」と納得させられました。 >例えば、第2章第10節のあたり。貞子先輩が静香を脅し、静香はあっさり髪を切ってしまったのに、 貞子先輩が現れると、わざとショックで落ち込んだふりをして、泣き真似をします。 これによって自分がこれ以上貞子先輩に利用されないようにもっていきました。 →静香の変わり身の早さを書くことによって、 明るい雰囲気を出したかっただけでした。(単純な理由でごめんなさい) 静香の泣きまねがあまりに上手いので、 あゆみも読者も「本当は静香も髪を切りたくなかったんじゃないのかな」と、 一瞬、静香に同情を寄せます。しかし、泣いていたのはただの演技で、 「なんだ。騙された!」と、読者にも思ってもらったら、 このシーンを明るく終わらせることができると思ったのです。 →Windさんの解釈、とても好きです。 静香は頭のいい子です。 そして、スタディメイト達(リカ、あゆみ、さやか、千絵、早苗)の中ではリーダー格です。 貞子先輩とのいざこざを穏便に解決するために、一芝居を打つなんて、静香には朝飯前のことだと思います。 >ぼくなら、証拠もないのに追求なんて出来ないし、 もしかしたらと思って尋ねても、リカのようにはっきり否定されたらすぐに謝って、 他の人がやったんだろうと思ってしまいます。 →そうですよね。あゆみの行動は理不尽です。 いつか読んだ本に「女性の直感は良く当たる。あまりにも高確率で当たるので、 女性は目で見たものよりも(証拠などよりも)自分の感を信じるようになる」みたいなことが、書かれていました。 リカはとても良い子のように書かれていますが、実は結構腹黒い部分も持ち合わせた子です。 そして、その腹黒さにあゆみはだんだんと気がつき始めます。 一章で「私はそんなに良い子じゃない」とリカは言っていますが、 リカは自分の腹黒さや汚い部分を曝け出したいのです。 自分の欠点を知ってくれたうえで、付き合える友達が欲しいからです。 リカは意識的に、あゆみにだけにわかるように自分の腹黒さを少しずつ見せています。 四章で、二人が言い合いになるのも、実はリカが仕掛けたケンカです。 リカはあゆみに本当の自分を知ってもらうきっかけを「ケンカ」することで作り出しました。 しかし、思ってもなかったことに、あゆみがハサミを持ち出した為にリカも戸惑います。 リカが「あゆみちゃんが本気じゃなかったってわかってた」と、気持ちよくあゆみを許したのは、 自分が仕掛けたケンカになのに、自分で収集がつけられない状態になったことに、 リカ自身が一番悩んでいた為でした。[2007/03/09 05:23:46]
「リカ」を書きながら、考えたことです。 私がこの小説の中で一番意識したのは「群れのなかの個人」です。 「リカ」は寮生活の話で、私自身、中学、高校、大学と、もう10年近くも寮生活をしてきました。 (ルームシェアやホームステイを入れると、もう人生の半分以上を家族以外の人達と過ごしています。) 私は人の群れが大好きです。 しかし、群れの中には自分と意見の合わない人や、自分と対立する人もいます。 それでも、やはり群れの中にいたいと私は思います。 人が集まると「群れ」ができます。群れの中には様々な人達がいます。 その群れの中で共通のルールができてきます。 群れが閉鎖的(他の群れとの交流がない状態)であればあるほど、 群れの中の人々にしかわからない共通のルールができてきます。 これが、小説の冒頭に書いた「暗黙の了解」です。 そして、その群れ特有の組織構造が成り立っています。 小説の中では、学年順にパワーが並び、高校二年生が頂点に立っています。 さらに、その中でも、カリスマ性のある個人が群れを動かしています。 (例>貞子先輩、島先輩) 個人と個人の付き合いでも、パワーの違いは微妙に垣間見えます。 まず、あゆみの態度が、スタディメイト達一人一人に対して、微妙に違います。 あゆみは、静香と一緒にいるときは、何かと静香をたてようとします。 しかし、千絵や早苗に対しては、ちょっと態度が荒く、「自分の方がリーダーだ」と言わんばかりの態度です。 (例>自習室で、あゆみが二人に「うるさい!」と叫んでいるシーンがあります。) さやかに対しては、あゆみは「平等」の立場をとっています。 なので、さやかが自分の意思で、あゆみ達から離れ、 貞子先輩と行動を共にするようになっても、あゆみは「警告」や「注意」をさやかに与えません。 もし、あゆみがさやかをリードする立場なら、「貞子先輩に近づくな」とさやかに警告すると思います。 もし、さやかがあゆみをリードする立場なら、さやかが貞子先輩と付き合い始めた瞬間に、 あゆみも貞子先輩と深く付き合うようになると思います。 あゆみにとってリカは一番着きあい難い相手です。 リカは「群れない猫」だからです。 他者を常に「上か、同等か、下か」としか判断していなかったあゆみにとって、 リカをどのポジションに置いたらいいのかわからないのです。 しかし、それでもあゆみはリカを群れの中に引き入れようとします。 (犬的人間の勝手な仲間意識が生む「おせっかい」です。 これに悩まされている猫的ロングヘア女性は多いのではないでしょうか。 例えば、「黒髪ロングは目立つからやめなよ」という忠告は、群れてばかりの犬人間が、 そのロングヘア女性を自分よりも下の存在だと見なして、アドバイスを与えているのだと思います。)[2007/03/09 05:29:58]
上の続きです。 以前、私は「あなたは犬的ですか? 猫的ですか?」と、 ロングヘアカフェにてトピックをたてました。 そこで、猫的なロングヘア女性が多いのに驚きました。 あゆみは(そして私自身も)犬的な人間です。 人間が2人以上集まると、「誰がリーダーシップを握るか」を無意識に意識してしまいます。 (この「リーダーシップ」とは、他者を管理し、動かすパワーのことではありません。 例えば、私が5人の女友達と一緒に、ランチを食べに行くとします。 私を含めた6人の女達の、誰がどれだけ 「何処で、何を食べるかを決めるパワー」を、持っているか。ということです。 「何を食べるか」というところでは、皆、平等なパワーを持っていると思います。 もし、仮に誰かの誕生日だとしたら、その女の子が圧倒的な決定権を持っています。 「何処で食べるか」という問題に対しては、その土地に詳しい女の子、 美味しいお店に詳しい子が、結局皆をリードすることになります。) 何か共通の目的が群れの中にあり、 「その目的を達成するために、誰の意見を一番多く聞くべきか」 を、無意識に考えてしまうのです。 それが犬人間だと思います。 小説「リカ」の登場人物は犬的な人たちが多いです。 あゆみの同級生も「武>ユタ>健太郎」という権力順で仲良く群れています。 ちなみに武は、女子達も率いるリーダーシップを持ち合わせていますが、 ユタと健太郎は同等か(健太郎に関しては)それ以下です。 (例>ユタは失言すると、よく女子に足を踏まれたり、怒られたりしています) しかし、一見冴えない健太郎も、実は行動力と統率力のある人物で、下級生達から慕われています。[2007/03/09 05:32:10]
上の続きです。 「リーダーシップ」というと、明るく、行動的で、交友範囲も広い人間をすぐに思い浮かべる人が多いと思います。 しかし、意外なものが人を惹きつける「魅力」となり、さらには人の群れを動かす力になると思います。 健太郎が良い例です。 彼は暗くて、同級生男子からも「使い走り」扱いです。 その為、人に笑われるようなことでも己を犠牲にしてまでやってしまう(やらされてしまう)のです。 が、彼は「人に笑われる」という役をポジティブに自分の武器に変えています。 第四章のラストで健太郎が踊っています。 彼はもともと「人を笑わせる」のが好きなんです。 しかし、恥ずかしがり屋で人見知りが激しいために、そういう風には見られていません。 男子寮での健太郎を知らない女子達は、健太郎が皆に「笑われている」ように見えるかもしれませんが、 健太郎自身と、健太郎を良く知る男の子達にとっては、健太郎が皆を「笑わせている」のです。 彼は、男子寮内で、笑いを司るリーダーです。 対照的なのが、オダセンです。 オダセンは、明るく、女の子たちとも気軽に話せる社交性を持っています。 彼は、生徒会長で、学校全体をまとめる役のはずですが、男子からの人望がありません。 同級生の朝子からも、見限られたような扱いを受けています。 物語の中では触れませんでしたが、その理由の一つは、和美さんです。 本来なら、生徒の群れのリーダーであるはずのオダセンが、「群れ」以外のものに、 一生懸命になってしまっているからです。 オダセンは今、恋をしているので、自分がまとめるべき「群れ」のことなんて、 どうでもよくなってしまっているのです。 (例>マラソン大会の下見をする日、オダセンはデートのために来ませんでした。) 自分たちのことに関心のないリーダーには、誰もついて行きません。[2007/03/09 05:34:43]
そのほか、結構どうでも良いことを書きます。 ・リカはなぜ、武に恋をしたのか? 「人を好きになるのに理由は要らない」と言われてしまいそうですが、 リカとあゆみの男の子を見る目の違いについて書きます。 あゆみは、武のことを「不細工」と言い、 なぜ美人のリカや可愛いさやかが武に惚れてしまうのかわかっていません。 それは、あゆみが自分の外見にあまりにも多大なコンプレックスを持っているせいなんです。 「女は顔じゃない」とか言いながら、実はあゆみ自身が一番、顔や外見にこだわっているんです。 あゆみは、男子達に自分が人気がないのは外見のせいだと知っています。 なので、同じように外見の醜い武が、 なんで二人の美女に愛されるのか不思議でしょうがないのです。 リカとさやかは、男の子を外見で判断しないので、武の性格をみて好きになったのだと思います。 リカに関して言えば、武が同級生達の間でリーダーシップを取れる人物だったので、 新しい環境に馴染めず弱い立場にあったリカにとっては、 「リーダーの彼女」というポジションも結構魅力的だったのかもしれません。 ・健太郎は本当にあゆみが好きなのか? 好きです。 ただし、あゆみ自身は 「自分みたいに醜い女の子を好きになる男の子なんているわけない!」 と思い込んでいるので、 あゆみは健太郎の言動を逐一疑います。 健太郎も口下手なので、うまく自分の正直な気持ちを伝えられません。 昔に読んだ本には「女性の直感は当たる。しかし、間違った情報がはじめにインプットされると、 新たに入った情報を分析する時に間違った結論を導き出す」みたいなことが書かれていました。 「間違った情報:男の子は醜い女の子を好きにはならない」が、邪魔をして、 あゆみは健太郎に関しては直感が上手く働きません。[2007/03/09 05:37:30]
例えば、可愛くて天然ボケでいつも皆を笑わせている人気者の女の子がいるとします。 その子は、自分が他人に愛されるのは、自分のボケたキャラクターのせいだと信じているとします。 ある日、その女の子よりも、もっと可愛くて、もっと天然で面白い子がやって来たとします。 完全に「キャラがかぶる」状態です。 元からいた女の子は焦ると思います。 自分の人気は「天然ボケ」によって得られたものだと思っているので、 自分よりも上手な天然ボケ美少女に、自分のポジションを取られるような気がするからです。 男性の場合は、自分の職場に自分よりも仕事が出来る同僚がやってきたら……、 と、想像するとわかりやすいと思います。 会社は「仕事の出来」で評価するので、 自分よりも出来の良い新しい同僚の存在に、焦るのではないでしょうか。[2007/03/09 05:54:34]
Windさんが別トピックにて 「髪の長い女性が、もし髪を切ってしまったら、同じように愛せるか」について書いてくださってます。 髪型にこだわらず、女性にとって「○○だから愛される」。という状態はつらいものです。 ○○の部分を失えば、愛されなくなってしまうと思うからです。 また、○○の部分をより多く持ったライバルが現れると、それが脅威になります。 理想は、 「○○だから」という理屈や条件付の愛ではなく、 感情的に「ただ、もうむちゃくちゃ無条件に愛してる!」と男性には叫んでいただきたいです。[2007/03/09 05:54:34]
パスワードも入れたのですが・・・。 第一部のみしか読めませんでした(泣)[2007/03/22 23:01:32]
2月いっぱいで公開は終了する旨、アナウンス済です。悪しからずご了解下さい。[2007/03/22 23:50:31]
お返事がものすごく遅れてしまって済みません。 >私自身はあまり深く考えずにノリで書いてしまいました。 >Windさんの解釈には「なるほど!」と納得させられました 登場人物が作者のロボットではなく、小説の世界の中で生きているということだと思います。 歩多さんの才能の一つだと思います。 >「女性の直感は良く当たる。あまりにも高確率で当たるので、 >女性は目で見たものよりも(証拠などよりも)自分の感を信じるようになる」 そうなんですよね〜。女性の直感てすごいです。 >実はリカが仕掛けたケンカです そ、そうだったんですか。う〜ん、女性ってすごい。 ☆「群れとリーダー」「 犬的と猫的な人間」について すごく勉強になります。なるほど〜。 猫も群れますが、それは犬の群れとは全く違います。 猫の群れ(猫の集会)は、互いに距離を置いてなんとなく一緒にいるだけです。 それに対して犬の群れはリーダーがいて、序列があって、リーダーに従って集団行動します。 ぼくは典型的な猫的人間なので、同学年の仲間の間に序列があるなんて思ってもみませんでした。 歩多さんの小説を読んでも序列のことは全く分からなかったのですが、 言われてみると確かにそうです。 >「黒髪ロングは目立つからやめなよ」という忠告は、群れてばかりの犬人間が、 >そのロングヘア女性を自分よりも下の存在だと見なして、アドバイスを与えているのだと思います 確かにそういう面はありそうです。 ぼくも同僚からアドバイスをされて不快になったことが何度かあるのですが、 犬的人間・猫的人間の目で見ると、なぜ彼らがそういったアドバイスをするのか理解できます。 (理解はできても、不快なのは変わりませんが。) ☆「その他」 >リカにとっては、「リーダーの彼女」というポジションも結構魅力的だった 確かにリカは功利主義的な行動を取ることがありますし、 「リーダーの彼女」であることを誇りにしている女性も少なくないですから、 ぼくはこういった行動原理には違和感はありません。 現実主義的な発想があった方が現実的な幸せを掴める確率も高くなると思いますから。 ☆「キャラがかぶる」 本人としては普通に・真面目に反応したら大ボケをかますのが天然ボケであって、 「ここでボケよう」と思ってボケるのは天然ではないのでは? 考えてボケている人は頭の回転が速いので、他人がボケたら突っ込んで笑いを取りますよ。 って、これって関西人だけ? >男性の場合は、自分の職場に自分よりも仕事が出来る同僚がやってきたら それは「キャラ」ではなく、「能力」だからちょっと違うと思います(←あ、ぼく自身が 混同して書いている[2007/03/04 13:31:52])。 プライベートな遊び仲間の間で、似たようなキャラの人がいて何か不都合なことがあるのかな、 と思ってしまうんです。こう考えてしまうのがまさに猫的人間なのかな、と思いますが。[2007/04/03 20:49:48]