子供の間で、また子供のいる家庭でシラミが流行することがあります。
ここでは、
皮膚科のサイトを参考にして、頭虱にしぼって対処法をまとめてみました。以下、頭虱のことを単に虱(シラミ)と書きます。ウェブページの中では、池袋保健所のアタマジラミ対応マニュアル (PDF;重いです)がよくまとまっていて分かりやすく、かつ信用できます。ここでは、主として池袋保健所のアタマジラミ対応マニュアル を参考にしながら、他のページや独自の事柄を付け加え、特にロングヘア女性とロングヘアの女の子向けのシラミ対処法をまとめてみました。
[2009/08/29]wind
シラミが寄生すると頭皮に強いかゆみが生じます。ただし、頭皮のかゆみは他の原因でも起こりますから、「頭皮がかゆい」「髪に白いものがついている」の二つが満たされたとしてもシラミであるとは決められません。また、シラミに寄生されてもかゆみをあまり感じない人もいますから、自覚症状がないからと言って寄生されていないとは断定できません。
虱の卵とヘアキャスト(フケの一種で毛に筒状に付着)とはよく似ていて、ヘアキャストを見つけて虱と思い込むことがよくあります。簡単に識別するには、次の方法を試すと良いです。
ウェブページの中には、髪の毛をかき分けて成虫がいるかどうか確認する、としているものもありますが、専門家によれば、シラミは動きが速いので目視で発見できないこともあるそうです。成虫の数が少なかったり小さな幼虫は見つけるのが難しいようです。従って、髪に付いているのがシラミの卵であることを確認するのが一番確実のようです。
素人判断で、シラミでもないのにシラミと思い込んだり、勝手に他人をシラミがいると決めつけたりすべきではありません。
シラミかどうか自信が持てないなら、、皮膚科や保健所に行きます。ただし、シラミに慣れていない医者は、ヘアキャストとシラミの卵を判別できないこともあるようです。保健所の場合、卵と思われるものを毛ごと切り取り、髪にセロテープで固定して持参すれば良いそうです。
ロングヘアマガジンメンバーの女性の中には、ヘアキャストが髪に付いているのを見つけた無知な知人からシラミがいると言いふらされ、断髪に追い込まれた人がいます。くれぐれも素人判断でヘアキャストをシラミだと思い込まないようご注意下さい。
駆除用の櫛を使うときは、事前に櫛通りを良くしておく必要があります。
多くの医師が勧める標準的な駆除方法。即効性があります。卵には効果がないので、卵は駆除用の櫛で梳き取る必要があります。 使用法は駆除用シャンプーに書いてあるはずです。また、豊島保健所のページの「家庭向け配付資料4-4」にも書いてありますので、ここでは省略します。
使用にあたって、次の注意が必要です。
スミスリンを使った駆除法について、皮膚科医の森先生が以下のコメントをしておられます。
この項は、「シラミ対策委員会」のサイトに掲載されている民間療法を参考にし、windが一部コメントを付け加えました。あくまでも民間療法で、有効性について保証はできません。2.1で紹介した専門家の推薦する駆除法を第一選択肢とすべきだと思います。
酢ではシラミを駆除できませんが、酢(または酢を混ぜたシャンプー)で頭を洗うことでシラミを弱らせることができるようです。クエン酸も有効とか。
酢等でシャンプーをしたまましばらく置いておき、駆除用の櫛でシラミと卵を梳き取ります。
髪は酸には強い(アルカリには弱い)ので、酢で頭を洗っても髪が傷むことはないはずです。
髪油(椿油・オリーブオイル等)を髪と頭皮に多めに付け、ラップやシャワーキャップで覆ったまましばらく置きます。リンス・コンディショナーをたっぷり付けてシャワーキャップをかぶっても同様の効果があります。シラミが窒息して弱ったところで頭を洗い、駆除用の櫛で梳き取ります。
リンス・コンディショナーは髪に皮膜を作るものなので、この作用がシラミ駆除に役立つのだと思います。
おそらく、トリートメント剤を頭に付けてしばらく放置するのもシラミを窒息させる効果があると思います。
一人がシラミに寄生されているのが分かったら、家族全員がシラミをチェックし、同時に治療します。家族同士でタオルや櫛・帽子・ヘルメットを共有したり頭同士をくっつけあったり、同じ布団で寝たりしていると、一人のシラミを駆除しても他の人から感染しあってしまうからです。 シーツ・枕にはシラミが落ちている場合があるので、これらを洗います。
子供の場合は学級全体で駆除に取り組みます。
通常のシャンプーでシラミを駆除することはできませんが、たまたま寄生されたシラミを、増える前に洗い流してしまうのに洗髪は役立ちます。
子供に自分で頭を洗わせていると、いい加減な方法で洗ったり、入浴しても頭を洗わないままだったりして、そのためにシラミが定着してしまうことがあるようです。シラミは後頭部・側頭部に居ることが多いので、それらの部位はきちんと洗うよう教える必要があります。また、小さいうちは洗髪を子供任せにしない方が良いです。
ロングヘアマガジンメンバー・閲読者の女性なら、ヘアケアのために椿油他の髪油でパックをしている人は多いと思いますが、これはシラミ対策にもなっています。
シラミに寄生されている人が使った櫛で髪を梳かすとシラミが伝染る可能性があります。親しい友人同士であっても、また家族間であっても、櫛を貸し借りしたり櫛を共有しないようにするとシラミ予防になります。
帽子も貸し借りしたり共有するとシラミが伝染する可能性があります。
日本はシラミ罹患率が非常に低く、先進国の中でも、最低レベルです(池袋保健所)。それだけにシラミに対する知識不足や警戒の弱さがあり、海外旅行をしたときに伝染ってしまうことがあります。
大人は
「子どもと比較すると極端に少ないので、あまり気にする必要はありません。」
「東京都における「18 年度のあたまじらみ・ころもじらみによる被害発生状況」の集計か
らアタマジラミ相談を年齢別で見ると、相談(寄生)の9 割以上を0才〜11 才が占めていま
す。」
(豊島区保健所)
この理由は、子供には以下の問題があるからです。
大人はこれらのことを行うことが少ないです。子供も、中学生くらいになると生活スタイルが変わり、シラミに寄生されることが激減します。
子供のいない家庭や一人暮らしの人なら、シラミが伝染る可能性は低いです。
大人でも寄生される可能性があるのは、小さい子供のいる家庭の親や、保母等子供と濃密な接触をする仕事をしている人です。
駆除法の節を見れば分かるように、髪を切ることを前提にしない駆除法がいくらでもあります。
確かに丸坊主にすると駆除の効果が上がるようです。しかし女の子を無理矢理丸坊主にしてしまうと、トラウマになってしまう可能性があります。丸坊主にしなくても1週間ほどで駆除できるのですから、何年もかけて伸ばしてきた長い髪を切る必要など毛頭ありません。
「長い髪はシラミの温床になる」(「シラミ対策委員会」)という主張がありますが、賛成できません。
本当に長い髪がシラミの温床なら、大人の女性にもっともシラミが多いはずです。しかし実際にはそうではなく小さい子供に圧倒的に多いです。これは、髪の長さよりも生活スタイルの方がずっと影響が大きいと言うことです。従って、万一シラミに寄生されたとしても髪を切る必要などありませんし、予防のために髪を切る必要もありません。
シラミの駆除で最も時間がかかるのが卵の駆除ですが、シラミは卵を頭髪の根元近くに産み付けます(「アタマジラミ対応マニュアル」(池袋保健所))。従って、丸坊主以外なら、ショートカットでもロングヘアでも同じことです。さらに、丸坊主であっても、「毛が5mm位伸びた頭に卵がびっしりと生みつけられていた例」(「アタマジラミ対応マニュアル」(池袋保健所))があるそうです。
重要なのは、髪の長さではなく、正しい駆除方法と予防法です。
万一シラミに寄生されたことで髪を切るように要求されても、駆除の上ではあまり意味のないこと、として断固拒否して下さい。
「シラミ対策委員会」は、「平安時代のお姫様もしらみに悩まされていましたが、その原因は長い髪にあったようです」としていますが、これには賛成できません。 原因は、髪の長さではなく、当時は現在のように頻繁に髪を洗う習慣がなかった(何週間も髪を洗わなかった)からでしょう。
なお、「シラミ対策委員会」は、全体としては非常に有益なサイトであり、シラミが寄生したら髪型をショートカットに、という主張についてのみ批判するものです。
シラミは接触によって寄生します。不潔だから寄生されたのではありません。どんなに清潔にしていても、シラミが寄生している人と接触すれば寄生される可能性があります。従って、寄生されたのは自分や子供が不衛生だからと思い悩むのは科学的な態度ではありません。
また、伝染させた人を特定するのは困難ですから、犯人捜しをするのもよくありません。まして、勝手に誰かを感染源と決めつけてはいけません。
偏見を持っていたり知識不足の人がいて、その結果いじめが発生することがあります。こちらが正確な知識を身に着けた上で他の人に対応するのがよいと思います。学校の先生でも知識不足のことがあるようです。
豊島区保健所のアタマジラミのページでは、繰り返し、シラミ発生によるいじめの問題に注意するよう警告しています。