一
平安の世を慕ひつつ梳る
*梳る=くしけずる
二
黒髪に雪降り初めしが懲りもせず
三
不思議やな 若き時より艶多し
四
熱風を当てつつ乾かす吾が髪の
五
美しき髪になるやう まじないを
六
若き日に比べると細く腰のなき
七
「切れば」とふ 他人事のやうに忠告す
*他人事=ひとごと
八
洗ひ髪 生乾きなれど平気にて