初恋

北風に揺れる長い髪

白いマフラー目で追いながら

晩秋の並木道を並んで歩いた

窓際で跳ねる午後の日差し

教室の後ろの席で

気づけばいつも視線の先に

仔猫のしっぽみたいなおさげが揺れる

小さな頭が傾げられるたび束ねた髪は色を変え

光戯れきらめきを放つ

それはとても素敵な光景

僕だけが知る秘密のシークエンス

 

移りゆく季節のなか僕の背が君を追い越し

めぐり来る夏を迎えるごとに君はどんどん綺麗になる

無邪気に微笑う見慣れた笑顔

夕焼けが街を朱に染めあげる

黄金色の銀杏が舞い散る世界に

光りかがやく君の存在

眩しくて、ただ眩しくて

本当はいつだってその肩に触れたかった

遠くなる細いおさげをふざけたふりして

君が消えていかないように

 

どうか僕のそばにいて

出会った頃と同じ笑顔で僕の隣りで微笑んでいて

季節が幾度巡っても

いつか大人になる日が来ても

僕は何度も想うだろう

朱色と金に燃え立つ世界でほつれた後れ毛かきあげて、

光に透けるその笑顔。

 

君が、僕を忘れても。


2006,1.4  青糖舎

振り仮名 : 黄金色(こがねいろ)

背景画像:★Freepict様


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