北風に揺れる長い髪
白いマフラー目で追いながら
晩秋の並木道を並んで歩いた
窓際で跳ねる午後の日差し
教室の後ろの席で
気づけばいつも視線の先に
仔猫のしっぽみたいなおさげが揺れる
小さな頭が傾げられるたび束ねた髪は色を変え
光戯れきらめきを放つ
それはとても素敵な光景
僕だけが知る秘密のシークエンス
移りゆく季節のなか僕の背が君を追い越し
めぐり来る夏を迎えるごとに君はどんどん綺麗になる
無邪気に微笑う見慣れた笑顔
夕焼けが街を朱に染めあげる
黄金色の銀杏が舞い散る世界に
光りかがやく君の存在
眩しくて、ただ眩しくて
本当はいつだってその肩に触れたかった
遠くなる細いおさげをふざけたふりして
君が消えていかないように
どうか僕のそばにいて
出会った頃と同じ笑顔で僕の隣りで微笑んでいて
季節が幾度巡っても
いつか大人になる日が来ても
僕は何度も想うだろう
朱色と金に燃え立つ世界でほつれた後れ毛かきあげて、
光に透けるその笑顔。
君が、僕を忘れても。
振り仮名 : 黄金色(こがねいろ)
背景画像:★Freepict様