記事タイトル:群馬上毛新聞 高まる獣医師の役割 地域と学校スクラム 


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お名前: 中川美穂子   
群馬上毛新聞 2005.5.9

高まる獣医師の役割 地域と学校スクラム

動物とのふれあい授業

 生命尊重や教育に役立てようと、多くの小学校などでウサギやチャボを飼育しているが、実情は理念から程遠く劣悪な飼育環境に放置されがちだ。地域の獣医師や保護者らと
連携して現状改善を図る動きが出ている。

 東京都西東京市の向台小で、地元の獣医師・中川美穂子さん(お茶の水女子大客員研究
員)が、四年児童を対象に開いた「ふれあい授業」。
 中川さんはスライドを使って、生き物の習性から説明し始めた。チャボのつがいを撮っ
た数枚の写真は、よく見るとどれも雄が手前に、雌が奥に写っている。「卵を産んでくれ
る雌を、雄が守ろうとしているから。動物にも、お父さん、お母さんの感情があるんで
す」
 大きな音や長時間の接触で生き物に強いストレスを与えないよう注意喚起しながら、聴
診器でウサギやチャボの心音を聴かせたり、適切なき抱き方などを指導した。

 過密で不衛生

 学校での動物介在教育を地域の獣医師がサポートしてゆく活動を、長年リードしてきた
中川さん。そのきっかけは、過密で不衛生な飼育環境のため弱ってしまった学校の動物
を、小学生自身が診せにくるケースが相次ぎ、しかもその状況を学校側が把握していない
実情を知ったためという。
 「今では全国で百以上の自治体が、学校と地元獣医師会の連携事業に取り組むように
なった。獣医師が衛生面の助言をするだけでも状況は改善することがある。連携がまだの
地域でも、積極的に声を上げてもらえば橋渡しに努めていきたい」
 中川さんが事務局長を務める「全国学校飼育動物研究会」が、都内で開催した第一回研
究発表会。土日や長期休暇中の動物の世話が話題に上った。金曜の放課後、ウサギやチャ
ボの飼育小屋にどっさり餌を置いて週明けまで放っておく。そんなずさんな事例が少なく
ないというのだ。

 保護者が応援

神奈川県鎌倉市の大船小の竜田孝則校長は、保護者のボランティアを募って「飼育応援
団」を組織、休日に親子で飼育小屋の清掃や餌やりに取り組む試みを紹介した。
同校でもやはりウサギなどが劣悪な環境で傷ついていたことから、保護者が飼育改善を要
望したのがきっかけ。従来は飼育委員の児童が休日に学校に来て世話していたが、周辺に
不審者の出没が相次いだこともあり、二〇〇一年から休日には一、二家族の親子が交代で
来るように決めた。
「学校はとかく閉鎖的になりがちで、当初は教員も、飼育委員の児童たちも、親に口出し
されたくないと反発していた」と竜田校長。
「しかし保護者からの批判を率直に受け止め、獣医師にも日常的な助言を仰ぐことによっ
て、飼育状況は大きく改善した。自分たちだけで抱え込まず、学校を開くことによって、
地域の目を学校に向けてもらうことにもつながったと思う。」

メモ
 全国学校飼育動物獣医師連絡協議会のホームページ(http://ww.vets.ne.jp/~school/pets/)
では、各地の実践例や鳥インフルエンザ対策などを紹介している。
[2005/07/11 11:32:10]

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