記事タイトル:都下 小学校の飼育舎改善事例 


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お名前: 中川 美穂子   
都下の小学校の飼育舎改善事例
(当該市教委、学校、担当獣医師のご了解をえて、お知らせします)

地域:
 周辺地域では、獣医師会と自治体との連携事業が成立しているが、ここは未対応の地
域で、教育委員会も獣医師会も何とかしたいと思っていた。 

訴え:
 ある保護者より当方に電話で訴えがあり、地域の獣医師会と教育委員会にお知らせし
て、改善等の善処をお願いした。 

教育委員会の対応:
 教育委員会は直ぐに獣医師と対応すると、その保護者と連絡をとって下さった。また
地域の担当獣医師は教育委員会からの電話を待った。 

 この場合、その小学校を傷つけないように配慮する。が、2ヶ月後、何も変わらない
と保護者から再度訴えがきた。 

 再度、教育委員会に問いあわせたところ、教育委員会はすでに校長会で、「そのよう
な訴えがあったから、注意するように」と伝えて対応なさっていた。

当方から直接 学校に:
 当方は担当の獣医師のご了解を得て、教育委員会に対し「こちらに相談が来たので、
(なにか助言ができるかもしれない)と考え、直接学校に電話をし、地域の獣医師と共
に直接学校を見に行く」と申し出た。また その保護者もともと学校の飼育を猛烈に助
けている方だったから、問題点をファックスしてこられた。それで地域の獣医師さんと
一緒に学校に伺った。

 学校も喜んで迎えてくださった。本当に困ってらしたと思う。 

訪問当日:
 飼育小屋は広い柵のなかに点在し、土床のオス小屋とメス小屋は20メートルほど離
れているが、トンネルでオスがメス小屋に通っているらしくお産が続いていた。

 校長先生方に他の飼育舎(武蔵野四小・HP参照)や子どもと動物の調査結果などのス
ライドを見せながら、子どもに対する飼育の影響をお話したところ、手間のより楽な、
また健康に動物を維持して、子どもが楽しめる飼育を実現したい。それにより、良い影
響を与えたいとの共通理解にいたった。 

 また保護者への働きかけも、その当方に連絡してきた方と協力して、休日の世話の親
子ボランティアを募りたいとのことであった。 

飼育舎の状況:
 ここの飼育舎の良いところは、大きな落葉樹の下に小屋があること、夏涼しく、 冬暖
かいことである。

 反面、困る点は、土床の飼育舎のため各小屋はトンネルでつながっており管理ができ
ない。ウサギが何匹いるかもわからず、お産も止まない。また広すぎるので、子どもだ
けでは清掃が難しい。有志の保護者等が手伝い、休日の世話も支えている。しかし、状
況がなかなか改善されないため、保護者は、相談をかけてこられた。 

 
繁殖防止のため:
 学校は、小屋の床を改造し、ウサギが小屋外に出ないようにすることにした。 

 当方は費用の面を考慮し、「割栗石を敷き詰め、其の上に10〜15センチほどの土をい
れる方法」等を提案した。最終的に、学校はコンクリート床に決定した。 

後日:
2,3日後、市の担当者が工事をすすめて、コンクリートの上に土を厚く入れる予定だと
連絡があった。それでは、土が糞尿で汚れ不潔になるため、土を入れずに、コンクリー
ト床にして傾斜や排水孔を作るよう提案した。またバットなどをウサギ用のトイレとし
て併用することも提案した。 

 現在、新しいコンクリート床に毎日水を流し、あく抜きをしており、また木製の巣箱
も用意されている。

 地域の獣医師が去勢してくださったオスは、次々に職員室でケアーされ、小屋が整う
のを待っている。この獣医師はこれからも助言をしてくださる。 

 
これからの課題:
 休日の世話のために全校からの親子ボランティアを募ること、子どもへの触れ合わせ
方の工夫、ふれあい授業の在り方などが挙げられる。 

 
工事に伴う配慮点: 
 ウサギが小屋の内外にトンネルを掘っていたため、全てのウサギが収容できたかどう
かが不明であった。学校が心配して飼育小屋付近に穴を掘り、ウサギが外に出られるよ
うな工夫をしたが、ウサギの習性を考えれば、心配はいらないだろう。  

 ウサギの妊娠期間を考えると、オスの去勢後してから1ヶ月間はお産が続くことを覚悟
している。去勢後、一月してから小屋の改修にかかればなおよかったかもしれない、と
担当獣医師と話し合っている。が、広い土中にトンネルを掘り進めていくウサギの習性
を考えると全てのオスを去勢できるかどうかは難しいところ。

小屋の整備が先で正解であったろうと考えている。

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日本小動物獣医師会 学校飼育動物対策委員会 (動物介在教育支援) 
              副委員長 中川 美穂子
(お茶の水女子大学 子供発達研究センター 客員研究員)
   電話 0422−53−7099  m-nakagawa@vet.ne.jp

       「学校飼育動物を考えるページ」
      http://www.vets.ne.jp/~school/pets/
         全国学校飼育動物獣医師連絡協議会(CAS)
     Japanese Veteribqry Council for Animals of School

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[2003/11/25 00:59:52]

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