@@ボランティアの課題
学校の飼育を支えるために自治体と学校、獣医師会と地域のボランティアのネット
ワークを作るように文科省の飼育マニュアルは説いてます。
それについて、ボランティアの話が最近、2題得られましたのでお知らせします
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ある幼稚園の卒園した保護者からの訴え
そこのある保護者の方たちは、子どもが幼稚園にいるときによくウサギを預かり、
世話をしていた。
当時弱いウサギがいたので自費で病院にかけ、皮膚病を洗うように病院から支
持を受けて、幼稚園にも毎週洗うように要求。この保護者はとても面倒をよく見ていた。
彼らによれば、幼稚園の面倒のみ方が足りないので、かわいそうだった。
(実際は教師の一人が毎週末、家に持ち帰り世話をしていたので、自然に保護者か
ら交代で預かると申し出があり、父母の預かりが始まったそうだ)
しかし、今年度は保護者の持ち帰りが園の方針で、なくなったので、夏に死ぬかも
知れないと、
その保護者から「幼稚園は動物を理解していない。指導してほしい」との訴えが当
学校獣医師連絡協議会にあり、幼稚園と相談のうえ、様子を見に伺うことになった。
また、それでは失礼と思い、ついでに年長、年少全部で24名ほどの子どもさんへの
ゲスト授業を行ってきた
実際の飼育の様子
結果的に、幼稚園の飼育はすごくきれいで
教員室と教室の間の廊下にある特注の飼育箱にいる、たった1匹のうさぎは
大事にされていた。この時点ではまったく問題ない。
子どもたちは、ゆっくりだが確実にウサギを外に出して、飼育箱を掃いて、床をふ
き、新しい新聞紙を敷き、きれいなスノコに取替え(4枚そろえてあり、毎日洗って干
したものと交換している)ていた。また3角トイレが備えてあり、年長さんが、新聞紙
をきれいに3角に折ってトイレにはめ込み、上からその備品のスノコでおさえて巣箱
にいれていた
(つまり 長い間の熟練が感じられた)。
餌もペレット、野菜、干草がそろえてあり子どもたちはペレットをスプーンで測って
与えている。水入れもよくあらい水を交換している。これを毎朝登園するとすぐに行
っているとのこと。他地区だが、獣医師にも相談しているとのこと、
またウサギは時々閉鎖された中庭を走り回り、野草を食べているので、ウサギレス
トランと言っているそうだ。
幼稚園の話
以前から家庭での預かりは順調に運んでいたが
この2年間、特定の保護者が長く預かり、またウサギを無断で洗ったりす
るので、今年になって、他の保護者からどの程度世話をすれば良いか、と、迷いがき
て、幼稚園は預かってもらうことを中止した。
それに対し、問題の保護者が夏の暑さを心配し、預からせてくれるように要求。
もうお子さんが卒園していることもあり、幼稚園は拒否。
そうすると、その保護者は「そのウサギをくれ」と要求。他のウサギでは
なく、其のウサギと言って来る。
園としては、これから先にも、そのようなことにならないように、園だけで飼育する
ことに決めた。この方たちに涙ながらに要求されて、まったく困っている。
ボランティアの気持ち
家で預かるとあのウサギはうれしそうに寝そべり、部屋の中を走り回る。
小さな巣箱でかわいそう。考えると涙がでる。幼稚園は意地で私たちに世話をさせて
くれないように思う。意地の問題ではなく、ウサギの幸せを思うとほっておけない。
引き取りたい。
ボランティアへ 中川からのお願い
あのうさぎを思うとかわいそうと思うだろうけど、あれは幼稚園の子どもたちのウ
サギ。しかも現時点ではまったく問題がない。以前はどうでも今がよければ幼稚園を
信頼すすべき。
また、夏の暑さの危険性、預かり制度の利便性をお話してきたから、これから先は幼
稚園をそっとしておくこと、
お子さんが 卒園した今は、お二人は餌くらい寄付してもよいけど、口を出さないこ
と。
( しかし、他の事例を見ている私にすれば、天国みたいに幸せそうなウサギで、
先生にも良くなれている。私は初対面で変な獣医師のにおいがするらしく、抱こうと
すると嫌がっていたけど、先生には喜んで近寄りおとなしく抱かれていた。
まったく心配ない、)
@小学校の事例、飼育を支えてきたボランティアの場合
これも卒業生の保護者のグループ。
学校の飼育の、掃除や休みのことを手伝っていたが、飼育環境を改善するように要
求。
学校は、相談の上、改築(理想的、私が今まで見た中でダントツの良い飼育舎。HP
に掲載予定)
このボランティアは、掃除の仕方も指導。
コンクリート床はウサギの足に悪いからと、毎日新聞紙とダンボールを敷き詰め、
それを交換することを要求。
学校はボランティアの助けでそれを実行。スノコも使用。
しかし、今までのウサギが寿命で死んだあと、
このボランティア達は、この学校はウサギを飼うには適していないと主張、教育委
員会にも訴える。
(教育委員会は今年から獣医師会と連携)
当方はさいたま市獣のお世話をうけて、さいたま市の小学校からうさぎ2羽を用意。
この地の獣医師会の主治医のお世話で検疫期間を過ごさせ、学校が飼育舎の掃除、巣
箱などの準備を整えてから週末に飼育舎に導入、
週明けの朝礼で獣医師(市獣医師会長の見守る中、近くの主治獣医師と私)
が子供たちと先生に動物の気持ちなどの説明と注意点をお伝えした。
また、飼育舎について、
獣医師はかびていたスノコと新聞紙・ダンボールの類を除去し、コンクリーで過ご
させるように助言。隣接の運動場もあり、掃除の間は外に出す、
排水溝のふたにストンキングをかぶせ、ごみや糞などが流れて配水管をつまらせない
ようにしてもらう。
なお、学校は部屋の隅に、ウサギケージの下のバットを置き新聞紙を敷いて、上に備
品の金製の格子網の床をおいてそれをトイレとした。(ウサギは上手にトイレを使用)
2ヶの巣箱は高さ60センチの台上に置き、上り下りの通路の板を設置、
(50センチの方が安全、改善点)
そして、ボランティアについて
休日の世話などに、今の子どもたちの保護者から助けを募ることにして、以前のボ
ランティアを頼まないように 学校に助言。これは 新しい保護者も育てることになる。
現在、獣医師の助言により 学校は以前のボランティアを頼っていない
校長先生によれば、掃除が楽しいくらいに楽になったとのこと、以前は紙を敷き詰
め、それを取り去り新しいのを敷き詰めるなど大変だったが、今は掃いてすぐに終
わるとのこと、(ウサギを2匹にしていることと、トイレのおかげで汚れが少ない)
また、学校の近くの獣医師会の主治獣医師(全国学校飼育動物獣医師連絡協議会員・
日小獣会員)がよく相談に乗ってくださるとのこと、
なお、現在2匹のウサギは、巣箱にあがったり下りたりして、おっとりしたかわい
い目で生活している。つまり幸せそう、
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以上の例や他の例から言えることは、
地域のボランティアは
とても動物を好きな方が多く、動物にのめりこむ傾向がある。
その結果、動物がかわいそうだから「子どもに触らせないこと」、とか、「紙を敷き
詰めること」とか、自分のルールを作り学校や園を支配しようとすることがある。
本来、主体は園や学校であり、専門的な知識をもって助言するなら良いが、この方
たちは、子どもを遠ざけて動物だけの幸せを願うことがあるので、注意が必要であ
る。
この小学校の事例では以前のウサギが高齢だったためか
「一年生にはさわらせてはいけない」と、このボランティアが主張し、
学校は1年生にウサギを触らせないでいた。
ウサギを大事にしながらも、やさしい触り方を教えることが大事だろう。
こどもは接触して、抱いてみて初めて動物の存在を実感するし、気持ちをかけることが
できるようになる。
学校などの動物飼育を考えるとき
やはり、子どもを大事と思う方々が、子どものために一緒に動物の幸せを考えると
の原則に立つ必要がある。
また同時に学校には、この方達に納得してもらうため、飼育法や触れ合わせ方などの
問題を科学的に整理できる獣医師の助けが必要だろう、
[2003/07/29 16:37:44]