せたがやレポート

14年度予算への意見

(2002年3月)

2002年3月28日第1回定例会
社会民主党世田谷区議団幹事長 羽田圭二

14年度予算への意見

社会民主党世田谷区議団を代表して、平成14年度世田谷区一般会計予算外4件に賛成する立場から意見と要望を申し上げます。

雇用・景気対策の強化と区民生活の向上

今年度の予算は、厳しい経済及び雇用情勢の下で編成されました。
我党はこの間、企業倒産件数や完全失業率の増加が区民生活を直撃し先行き不安を募らせているだけに、区独自の景気・雇用対策の強化を求めました。

区は、景気・雇用対策において、区内中小企業・商店街の活性化策や新たな雇用を創出するための施策を盛り込みました。
しかし、区の緊急雇用対策は、国の枠内にとどまっているという印象を拭い去ることが出来ません。
特に、パート・アルバイトなどの非正規雇用の増大は、業績不振に直面した企業が雇用調整の際の安全弁として利用することも多く、決して安定した雇用とはなっていません。

そこで産業振興部に位置づけた「世田谷区の労働施策の推進調整機能」では、雇用問題に対して区全体として横断的対応が取られることが期待されています。

特に、これまでは各所管で雇用情報が管理されていましたが、雇用情報の一元化が可能となることによって雇用対策の中長期的な対応がとられることで区民サービスの向上につながって行くことが期待されていると思います。

雇用情勢の悪化の中で、パートやアルバイトの雇用・就労相談の充実が求められています。
区の労務相談の一層の充実と安定雇用を創出する区内の中小・零細企業の活性化にむけた取り組みなど区の独自性を発揮した景気・雇用対策を強化するよう要望します。

都区財調の課題について

次に平成14年度都区財調協議は、調整三税の収入が大きく落ち込む中、都区制度改革以来、算定内容の改善が最大の課題だったと思います。

懸案であった民生費の測定単位の見直しなどがおこなわれた結果、新規算定として9項目、算定改善として31項目が整理されました。法令改正に 伴って特別区の事務となった児童扶養手当事務費の一方的な財調算入は、現行の52%の調整率を増やさないでおこなうという問題を残しています。

主要5課題や今後の清掃事業などの大都市事務の役割と財源配分のあり方について、解決に向けた一層の取り組みを求めます。

また、固定資産税の2割減税という都の方針は、区に大変大きな影響を及ぼします。
本来、区税化すべきこの税の取り扱いを、23区に相談もしないのは一方的過ぎるのではないでしょうか。
区長はもっと主体性を発揮し、都に対して自らの立場を主張するという強い姿勢をもって対応すべきではないかと考えます。

オウム信者と転入届不受理処分について

さて、今定例議会中、オウム信者の区内転入届不受理処分に対する裁判所の判断が出されました。
しかし、裁判所の判断を待つまでもなく、憲法や住民基本台帳法に照らした場合、今後も違法判断が下されることが予想されます。
そこで犯罪の再発防止や地下鉄サリン事件被害者への救済を国に求め、区が責任をもって関係住民との話し合いのなかで、新たな対応策をつくりだしていくべきと考えます。

資源循環型社会の実現にむけて

次に、清掃リサイクルでは、新たに生ごみリサイクルの実験プロジェクトが、産学公連携のもとで始める計画が提示されました。
この取り組みは、生ごみ減量化に向けた区民への意識啓発からも、また、都市における生ごみリサイクルの在り方を検討していく上で重要な取り組みだと考えます。
それだけに、堆肥の成分や肥料の利用状況、生ごみ処理方法の変化など実験を通じて得た内容を広く区民に伝えて行くことを求めておきます。

住基ネットと個人情報保護

さて、住民基本台帳法改正によるネットワークシステムが今年8月スタートします。
総務省は、本人確認情報を提供または、利用できる範囲を大幅に拡大する提案をおこなっています。
区にある個人情報が他の機関に提供される外部提供は、個人情報が区の管理から離れ、誤って拡散する恐れがあることから、慎重に取り扱われてきました。
個人情報保護に向け、現行条例の検討を重ねて求めておきます。

保育待機児ゼロ対策と女性の就労保障

次に、保育待機児ゼロに向けた一環として、認可保育園の定員の弾力化や認証保育所の設置が提案され、すでに公設民営方式による認証保育所がスタートしました。
これらの施策が、子どもたちや保育士の負担にならないよう、保育時間や職員定数について今後も十分な検討を求めておきます。
また、お子さんの傷害事故に対する災害給付の設置など万全な体制を求めておきます。

今回の施策は、女性の就労形態の変化や保育ニーズの多様化のなかでの対応として打ち出されました。
特に、今年、4月の育児休業法の改正に伴い、休業期間が1年から3年に延長されることによって、産休後の職場復帰が遅くなり、お子さんを預ける時期も変化することになります。
今後、2~3歳児の保育ニーズが増加することが予想されるだけに、多くの認証保育所が除外している3歳以上の保育体制の強化を求めておきます。

都市計画の規制緩和の流れ

さて、都市計画をめぐっては、区内の土地利用の問題があります。国会では、都市再生特別措置法と都市再開発等の一部を改正する法律が衆議院を通過しています。

これらの法律は都市計画に関する規制を緩和し、土地利用の高度化を図るというものです。
しかしその内容は、市街地再開発における民間事業者の参入について、これまで第1種市街地再開発に限られていたものを、一定地域を都市再生緊急地域にすることによって大幅に認めるというものです。

さらにその地域を特別地区として定めたあい場合、用途、容積、高さ、建蔽率等を別に定めることができるとしており、建築紛争の火種となりかねない問題が投げかけられています。

こうした規制緩和の流れのなかで、区の独自性を発揮した環境重視の街づくりが求められています。
土地利用に関する事前調査と民間事業者からの事前情報の収集と事前協議。
早い時期からの情報提供による将来を展望した街づくりへの住民参加。
用途地域の見直しの際の地区計画や建築協定づくりなど、自然環境を重視した周辺環境にふさわしい街づくりが進むよう、区が独自性を発揮するよう求めておきます。

子どものいのちと安全について

次に、子どものいのちと安全の問題について触れておきます。
昨年、6月28日に城山小学校で発生したお子さんの負傷事故は、事故発生後の学校の対応が問われました。
事故の原因と責任が曖昧にされたために保護者間の対立や、やり場のない怒りを生み出したばかりでなく、負傷したお子さんの転校という事態がもたらされました。

今後の対応として区の補償責任と学校の管理責任を明確にするとともに、二度と今回のような事故とその後の不十分な対応が繰り返えされないよう要望しておきます。

文化施設の活用について

文学館の土地・建物の購入について触れておきます。
東京都は、目黒区駒場公園内にあった近代文学博物館を3月で閉鎖しました。
建物は文化財として公園内に残されますが、出版物や展示物はそのほとんどが寄贈者に返却されましたが、一部は世田谷区も含めた関係機関、江戸東京博物館などに移されるといいます。

こうした状況も踏まえ、購入する以上は、今後、さらに文学館が区民に親しまれ、利用される施設としていくことが必要です。

子ども条例の具体化として文化施設等の土日料金無料が提案されていますが、今後、子どもたちが積極的に利用するよう企画内容を工夫し、PRが欠かせないと考えます。区の一層の努力を求めておきます。

地域に足を運び

最後に、厳しい景気・雇用状況は、きめ細やかな行政運営を求めています。
今後の区政運営においては、情報公開・情報提供を徹底するとともに、区民生活の向上のためこれまで以上に地域に足を運び、住民の意見や要望に耳を傾けるよう要望し、社会民主党世田谷区議団の賛成意見とします。

世田谷区議20年の実績 facebook 世田谷区役所 立憲民主党東京都連合