せたがやレポート

税金の使い道は区民が!

(No.46/2001年11月号)

世田谷区の一般会計は、総額約2227億円で、前年度と比較すると、2.8%の減少となっています。
そこで世田谷区の次年度予算の特徴から今後の課題を考えてみたいと思います

ふれあい収集の拡大を

区は、すでに12年度からアクションプランに基づき、内部努力の徹底と事務事業の見直しを謳っていました。

平成13年度の予算においては、人件費抑制で14億9200万円の経費節減に努めるとして、職員定数95名を削減するとしています。
区民会館、給食調理業務の民間委託化、清掃事業のごみ減量化、事務事業執行方法の見直しなどによって削減する内容です。
また、議員・特別職を含む職員の期末・勤勉手当0.2ヶ月削減も提案しています。

社民党は、民間委託がコスト削減によって、パート・アルバイトなどの新たな不安定雇用の増大と、子どもたちの食の安全性が損なわれる不安があることから慎重な対応を求めてきました。

また、ゴミ減量に伴う職員定数の見直しが言われていますが、今年から実験的にスタートしたゴミ出しが困難なお年寄り世帯の戸別収集「ふれあい収集」など、きめ細やかなサービスが求められているだけに、今後のサービスの在り方なども含め十分な検討が必要です。

さらに、職員の時間外手当の抑制や特勤手当の見直しが盛り込まれていますが、「手当なき残業」(ただ働き)の増大や職員の士気の低下につながらぬよう求めています。

安心な住環境を

区は、各種事務経費や施設維持経費など内部経費の抑制で3億3800万円。
さらに事務事業の見直しで12億4800万円の抑制効果を見込んでいます。

その中でも、高齢者等住み替家賃助成の見直しについては、この間議会でも、高齢者支援策の後退に繋がりかねないことから制度存続の声があがっていました。
この制度は一人暮らしやお年寄りのみ世帯、ひとり親家庭が、住居の立ち退きなどの事態に直面したとき、現在の住まいの家賃との差額を、区が助成します。

この制度には、旧制度と新制度があり、区は、助成額の多い従来の制度を段階的に廃止し、現在の制度に置き換えるとしています。
今回提案されている居住支援事業は、高齢や障害を理由とした立ち退きや更新拒否などが借り主に敬遠されがちな状況を改善するため、民間保証機関と連携し借り手の身元保証を行うものです。

放置自転車対策を

区長が公約で掲げた6つのゼロ作戦には、323億円8200万円が計上されています。
特養ホーム待ちゼロでは、今年4月に区立特養ホーム「きたざわ苑」がスタートします。
また、私立保育園、保育室、保育ママの定数枠や延長保育・一時保育のニーズに応えるとしています。

迷惑駐輪ゼロ対策では、主要22駅に整理誘導員を引き続き配置し、代田橋、二子玉川西駐輪場に計698台分を増設する提案です。
特に、駅周辺の放置自転車対策では、整理誘導員による駐輪指示が大きな役割を果たしています。
駐輪場の設置とともに、整理誘導員の増員が求められています。

介護保険制度の改善を

介護保険の安定運営をはじめ子育て支援、教育環境の整備などの重点事業では、301億2400万円を計上しています。

区は、要介護・要支援に該当しない高齢者に家賃援助サービスやミニデイ支援などのサービスを実施するとしています。
また、みどりの保全では、5年に1回行われる区内の緑比率調査「みどりの資源調査」実施のための予算が計上されました。

NPO法の施行により、区においてもNPOへの資金融資等の自立支援が必要になっています。
介護保険の運営では、介護保険サービスの受給対象者がその手続き作業がわかりづらいために、手続きを行っていないケースがあるなど、その改善が求められています。

街づくりは住民の手で

限られた財源を、区民のニーズにこたえながら、どのように活用していくかが問題となります。

平成13年度予算の支出のうち、土木費の中に国公有地の買収費用28億8900万円があります。
三宿法務省施設跡地の用地買収費用です。
三宿・太子堂地区は、行き止まり道や狭隘道路が多く、住宅が密集した地域です。そのため区は、民有地の買収などにより避難道や避難場所の確保に努めてきました。
昨年、今回買収予定地の近隣にある国立小児病院跡地の用地買収を断念せざるを得なくなったこともあり、三宿・太子堂地区の住民にとってはどうしても確保して欲しい土地でした。

安易な国民健康保険料の値上げは禁物

区は、老人保健医療費の増額を理由に国保保険料の値上げを提案しています。

企業がリストラ・解雇や福利厚生費の削減を進めるなかで、国保加入者は増加傾向にあり、保険料の未払い者も増加しています。
また、医療機器の発達や入院医療の拡充は否めませんが、それが患者の負担増になっている現実があります。

従って、安易な保険料値上げに走るのではなく、金のかからぬ医療制度の抜本的改革を求めるべきです。
保険料の負担増は、新たな保険料未納者を増大させることになるからです。

住基ネットは慎重な対応を

社民党は、国民総背番号制導入につながる住民基本台帳ネットワーク化に対しては、個人情報保護の立場から慎重な対応を求めてきました。
住基ネットの内容と問題点を住民へ周知し、広く意見を聞くなどの取り組みを優先すべきです。

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