MITSUBISHI COLT PLUS Sport (CVT) 2004年11月

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  実用的になったCOLT
お尻が30cm長くなって荷室が広がり,シングルフォールドのリアシートながら,比較的フラットなカーゴスペースを生み出せるようになったのが売りのCOLT PLUS。車検証を見るのを忘れましたが,やはりマツダ・ベリーサのようにステーションワゴンと表記されているのでしょうか。COLTの荷室はスーパーマーケットでの食料品の買い出し程度でいっぱいになってしまいそうでしたが,PLUSになって安心してホームセンターへも買い物に行くことができそうです(笑) COLT PLUSの発表に合わせて従来のショートボディ?のCOLTもマイナーチェンジされましたから,マイチェン前のCOLT前項に較べてPLUSが良くなった点は,同様に改良されていると思われます。

  運転席は良好ですが…後席が××
今回の試乗車は“Sport”という下から2番目のグレードに,スポーツタイプ(左右分離型)のフロントシートにスポーティー(ダークグレー基調)内装を組み合わせたもの。フロントシートの座面の前後長は十分なもので,マイチェン前のベンチタイプと較べるとえらい違いです。幅は小さめですがホールド性は良く,安定して身体を預けることができました。しかしリアシートは相変わらず×です。タンブルをやめても座面の前後長が異様に短い上,背もたれを倒した時にフラットにすることを優先したためか座面が低すぎ,膝裏が…どころではなく,腿が完全に浮いてしまいます。足の裏と尻だけで体重を支えるのって,けっこう辛そう…(T_T) 子供用と割り切らないといけませんね。フロントシート下への足入れ性はいいのですが,それが全然生かされません。おまけにこのリアシート,せっかく6:4分割なのに相変わらず中央席にヘッドレストはつかず,勿論3点式シートベルトも(オプションでも)つきません。smart forfourはこの二つを標準で装備するのにねぇ…ダイムラー・クライスラーと三菱の安全への考え方の差が,こんなところで明らかになってしまいました。

  足はいいのに,パワステが…××
硬めの乗り心地はsmart forfourとよく似ています。コツコツ,トントンと路面を拾う一方で,大きなうねりに対しては煽られることがなく,綺麗に道路をトレースする好印象。制限速度×2でのレーンチェンジでも安定していたし,速めの交差点コーナリングでも,以前に乗ったCOLTのように腰砕けになることもありませんでした。1クラス上になる日産のティーダあたりよりタイヤが鳴きにくく,このクラスのコンパクトカーとしてはマシな足の設定かもしれません。ブレーキ性能は必要十分なのかもしれませんが,踏力と効きのつながりが分りにくく,あまり誉められたものではありませんでした。

あいかわらずなのがパワーステアリングのセッティング。前項に書いた「グニッと粘るような抵抗感」はなくなり,全体に軽くなったのですが,中央付近で重く,ちょっと切り込むと妙に軽すぎる設定には疑問符がつきます。特にコーナー後半で,セルフセンタリングを利してハンドルを戻しつつ加速を…と思うとフッフッと重さが変わるのには愕然としました。速度感応型のアシストなんでしょうか?うちのBH9レガシィの速度感応型パワステも相当に癖がありますが,これに較べたら問題にするのが恥ずかしいくらいです。コーナリング途中での舵角修正で嫌な感じがあるのは,保舵力はそこそこ必要なのに,操舵力がすごく軽いのも原因なのかも。中央付近しか使わないレーンチェンジでは問題を感じませんでした。

  エンジンとトランスミッションは…
「新設計のオールアルミエンジンです」と,まるでティーダそっくりのセールストークを聞きながら加速。Dポジションで流れに乗ると,2,500〜3,000rpmを維持して加速しましたが,エンジン音はBセグメントとしては静か目なものの,やはりCVT特有の騒音は気になります。でも,マイナーチェンジ前の1.3gに較べるとうんと良くはなっています。パワーは同系列の1.3gエンジンを積んだsmart forfourよりさすがに余裕があります。smart forfour1.3は60q/hまではすんなり加速してもその先が…という情況でしたが,こちらは80q/hまであっさり増速します。そこから上の加速は,まぁ期待するほうが酷なんでしょうね。CVTは6速スポーツモードつきフロアシフトですが,試乗コースに下り坂はなく,エンジンブレーキの際のポジション選択の効果を試すことはできませんでした。平地を普通に走るだけならわざわざマニュアル操作せず,DかDsポジションのいずれかを選ぶだけで十分そうです。smartの2ペダルMTをオートマティックモードで乗ることを思ったら,月とすっぽんでした。

  車庫入れ性,重量配分?etc
最小旋回半径はわずか4.7m。うちのNA6ロードスターと同じですね。これは誉めてもいい数字でしょう。お尻が30cm延びても車庫入れ性に支障が出るようなことはなく,及第点です。ひとつ気になったのが後退中の段差の乗り越え。路面より5cmほど高くなった展示スペースに直角バックで戻したのですが,前輪を上げる際にかなりアクセルを踏む必要があり,後ろに車が停めてあっただけにドキドキしました…(^-^; 左足ブレーキを練習しなくっちゃ!

フラットな荷室フロアを造ったために副次的に生まれた“フレキシブルカーゴフロア”は,まぁオマケ程度と考えた方が良さそうです。サイドのコンビニフックや床のラゲッジフックなど,使い勝手は悪くない印象。オプションとはいえトノカバーも用意されています。セーフティー機構付きの“エレクトリックテールゲート”は,安全性確保のためか思いのほか開閉に時間がかかります。この装備,確かに傘を持った時には便利なんでしょうね。ただ,リアオーバーハングが30cmも伸び,その上こんな装備を付けたため,COLTに対して50kg増した分が全部一番後ろに乗っかった訳で…コーナリングでキビキビ感を感じなかった原因は,もしかしたらこんな所にあるのかもしれません。147psのターボエンジン(これは旧来の4G15型)を載せたスポーツモデル "RALLIART"には,ショートボディのCOLTの方が似つかわしいといえそうです。(Test:2004/11/06)