城前集会所 (城前町上大道) MENU

左:舟形高41cm 三面六臂 坐像 持物(輪宝・未開蓮)
右:舟形高55cm 三面八臂 立像 持物(なし 施無畏印)

  
【左】銘の入った馬頭観音坐像           【右】馬頭が三つの馬頭観音立像

   願いを込めた馬頭観音
瀬戸街道の北側にある城前集会所の敷地内,二つ並んだコンクリートの祠の中に,それぞれ1体ずつの石仏が収められています。左側の小さな馬頭観音の光背には,「
家内安全 明治二十二年六月十四日 今枝増右エ門」と,銘が刻まれています。明治二十二年は1898年。馬稼ぎに携わった人物が私財を投じたものなのかもしれません。辻に立つ道標仏では「村中安全」の祈願がこめられたものが多いので,「家内安全」は本当に個人的なものなのでしょう。馬頭観音らしからぬ穏やかな表情がとても印象的です。この表情の穏やかさに,「今枝」氏の願いが込められているのでしょう。

   馬頭が三つ!
右側の背の高いほうは,風化が進んで細部がわかりませんが,
三面八臂の姿ははっきりしています。目立つのは宝冠に頂いた馬頭です。なんと正面だけでなく,下左の写真のように左右の宝冠にも馬頭がついています(左の馬頭観音の宝冠も,馬頭が3つ付いているようにも見えますが…)。正面の手は合掌していますが,脇の六本の手は何も持物を持っていないように見えます。また市内の馬頭観音の中では,仏像の大きさに較べて光背が小さめなのが特徴です。花崗岩製と思われますが,風化のせいもあってか,非常に優しい感じがします。

【馬頭が三つの宝冠それぞれに】             【八瀬の木の区画整理が進行中】   .
   

New八瀬の木の区画整理の影響は?
平成13年に入って,城前町八瀬の木地区の区画整理が始まりました。4月29日現在,上右の写真のように,城前集会所だけを残して周りはすべて更地になってしまっています。この先,どのように進展してゆくのか気になるところですが,集会所自体がなくなってしまうとは考えられないので,2体の馬頭観音も何らかの形で残してもらえることを期待しましょう。ただ,同じ八瀬の木にある「つんぼ石」は分岐点の路傍にあるだけに,今後が心配されます。「一里塚」の碑のように大切に残されるといいですね。(2001/04/29)