海上の森 (瀬戸市海上町) 瀬戸MENU

舟形高48cm 一面八臂 立像 持物(輪宝・鉞斧)

 
【左】海上の森の馬頭観音  【右】こんな高い所に祠が

   万博で話題の海上の森
2005年の国際博覧会の会場予定地としてその名を高めた海上(かいしょ)の森。ここにも一体の馬頭観音がありました。道路の舗装がとぎれ,外来者用の最後の駐車スペースがあるところから,徒歩で15分位でしょうか。道路左手の崖の半ば,ちょうど頭の上ほどの高さのところに,細い角材で組んだだけの,簡素な祠に納まっています。舟形の高さが50cmたらずの一面八臂の立像で,向かって右の手には輪宝を,同左の手には鉞斧(えっぷ)を持っています。憤怒とは無縁の,やさしい顔をしています。銘は見られませんが,磨耗の進み具合からはかなり古いものと思われます。

   多度神社の馬上げ神事
道路の反対側,渓流を渡って急な斜面を登って行くと,多度神社がありました。立派ない石組みの上に,小さいながらなかなかしっかりした造りの社と燈篭があります。古文書によれば,海上の多度神社は江戸時代中期以前からあったということで,なかなかの由緒をもっています。もちろん伊勢の国の多度神社から祭神を勧請したのでしょう。かつては本家同様,馬上げ神事が行われていたということです。道路から社までの急斜面,馬には大変な試練に違いありません。街道を離れたこんな山中に馬頭観音があるのも,こうした神事に由来するのでしょうか。

    立木トラストと末広まき子
ところで,海上の森での万博開催に反対する運動の一つとして「立木トラスト」という運動が行なわれたそうですが,その名札をかけられた木々が馬頭観音のすぐそばにありました。なかでもひときわ太い木に【末広まき子が名札を外した木(別名無節操の木)】と書かれた大きな札が下がっていました。江戸時代からこの場に立っているであろう馬頭観音も,現代人の大騒ぎに苦笑しているかもしれませんね。
【末広まき子】 タレント。1998年,万博反対を旗印にして参議院議員選挙に無所属で立候補し,反対派らの支援を受けて当選した。当選後,自由民主党に入党して万博推進の立場に豹変した。

 
     【左】多度神社の社殿      【右】末広まき子が名札を外した木