菱野町バス停(瀬戸市菱野町) ▲瀬戸MENU
舟形高38p 三面ニ臂 坐像
首で折れた馬頭観音 空き地に庚申塔,地蔵菩薩と並んで
バス停のすぐ南に
菱野町の交差点から県道57号にそって100mほど南に進むと,「菱野町」のバス停があります。そのすぐに南,道路と東側を流れる井林川との間の,雑木が生えた小さな空き地に,3体の石仏が並んでいます。左は庚申塔で,よく見られる文字碑です。真ん中が馬頭観音。右は地蔵菩薩でしょう。地域の民間信仰,全員集合!といったところでしょうか。三面ニ臂の坐像
馬頭観音は三面の坐像ですが,腕は2本しかありません。三面ニ臂坐像は品野の観音堂に1体ありますが,珍しい部類に属するでしょう。それにしても,坐像でニ臂というのは,ちょっと寂しい感じですね。手は若干欠損していますが,普通の合掌ではなく,馬頭印を結んでいるようにも見えます。脚は片膝を立てた輪王座(りんのうざ)ではなく,一般的な結跏趺坐(けっかふざ),つまり座禅の足の組み方です。二つに折れて…
正面の顔も目が釣りあがっており,三面とも憤怒面といえそうです。面長で,宝冠も細長く,大きめの馬頭が宝冠の上のほうについています。馬頭は長方形で,さほど写実的とはいえないようです。一方,衣の襞(ひだ)の表現はかなり写実的です。風化や欠損は少なく,保存の状態は悪くないのですが,残念なことに,首のあたりで二つに折れてしまっています。今は折れた部分をそっと載せて,形を保っています。舟形には記銘などはなく,造立年代は分かりません。造りからすると,幕末から明治初期かと思われます。地蔵菩薩は道標仏
ちなみに地蔵は道標仏で,「右 ころも 左瀬と道」「安政四巳年」と刻まれています。「ころも」は挙母で,今の豊田市です。いわば三州街道への分岐点ですね。安政4年は1857年。井伊直弼の「安政の大獄」の前年に当たります。※ 瀬戸の山上様から情報を頂きました。