鉛筆とクマ 富良野西岳 (1997年 7月20日・晴れ→曇り)


その1. K叔父、初登場!

 この富良野西岳は、「国道から見る山の形が良いので、今度ぜひ登ってみたい!」と言う叔父の希望で一緒に登ることになりました。 叔父は若い頃に登山の経験もあり、「山の形で登る山を決めるなんて、さっすがベテラン!!」と感心していたのですが、実際一緒に登ってみたら、う〜ん、どうやらそうでもないようです。

 まずは、その叔父の紹介といきましょう! (今後の山日記にも登場します、よろしくね!)

叔父紹介の図


 富良野西岳の登山口は「新富良野プリンスホテル」の左裏にあります。しかし、ホテルに着いても登山口の案内板など何もなく、登山者の姿もまったく見られませんでした。(ちょっとイヤ〜な予感)
 ホテルの人に聞いてみたら、「こちらに車は停めないで、直接登山口まで行ってください 」との事。 どうやら登山者はあまり歓迎されていないみたいです。(そりゃそうだ)
登山口までの道も教えてくれたのですが、よく分からなかったし、「ガイドブックの案内でいけば、さらに奥に駐車場があるはず 」と、ずーずーしい私達は進入禁止となっているホテル奥の駐車場に車を停め、そこから登山口へと歩き始めました。ホテルの方ごめんなさい

 ホテルの駐車場から15分ほどで登山口に到着。そこには車が一台停まっていました。 「ありゃ、ホテルの人の言う通り、こっちに来た方が良かったかもね 」と話しながら歩いて行くと、 「おっ!ヘビだ!」  登山道の真ん中に「ヘビ」がいました。

 「うげーー 」と気持ち悪がっていると、叔父が 「朝のヘビは縁起がいいんだよ 」と言ってくれましたが、初めての山ですし不安も勿論あります。 はたして、今回の登山は、本当ーにその言い伝え通りになってくれるのでしょうか。 ねぇ、ヘビ君?


縁起もの?

んなこと、知ったこっちゃねーよっ



その2. 予想外のワイルド登山

 登山道に入ってすぐに、この山は登山者も少ないマイナーな山だという事が良く分かりました。 最初に苦労させられたのは、登山道脇に生茂った背丈ほどもある伸び伸びの草達です。

 ザザザーッ 「うげー、ひどーーい 」  ガサガサ、バシッ! 「いてて!!」

接近注意! 草を掻き分け掻き分け先に進んで行くと、お次はこの山最大の難関! 沢の渡渉が待ち構えていました。
沢はさほど深く無く、ピョンピョンと飛び石で渡って行けるのですが、

 「うわっ!石の上滑るよ!気をつけて!」

そうなんです、石の上は苔でツルツル状態だったのです。 沢の深さは無くても水量は結構あるので、もし転べばパンツまでビッショリになってしまいます。

 「転んだらパンツが・・・。」 そう考えるとどんどん体が硬くなって、渡渉するのが怖くなってきました。 今までは姉が先頭になって歩いていたのですが、沢では逆に父達が先に渡り 「さっ、この手につかまって!」と叔父のサポートでやっと私達が渡る、という感じです。しかも、この渡渉が左・右へと何度もしなければならなく、その度にギャーギャー言いながら渡っていました。

 そしてあれは何度目の渡渉の時でしょうか、父が 「かえって沢の中の方が滑らないぞ!」と教えてくれたのです。 でも、この流れと、ショートスパッツぎりぎりの深さの沢へ足を突っ込むのは、なかなか勇気が出てこなかったのですが、背に腹は変えられません。 「えいっ!」と、思い切って入れてみると 「あら?本当だ、全然滑んないや。」

 それ以降は と言っても一回くらいだけど、今まで苦戦していたのがウソのように普通に渡って行けたのでした。 それにしても、水をはじいてしまう登山靴ってすごいですね。つくづく感心しちゃいました。

実行前                実行後
面白かった渡渉



その3. 姉、シャリバテる!

富良野西岳地図  渡渉も無事に終え、「仙人の泉」(湧き水)や「金鉱跡」を過ぎれば、最後の難関!長ー ーーい尾根登りの始まりです。

この尾根は視界が効かない道で、延々と林の中をジグザグに登って行きます。 フーフー、ハーハー、私達の息もあがってきます。

  「5分休憩!!」

 おーっと!ここで出ました、叔父の一言です!

叔父はその場にペタンと座り込んでフーフー言っています。もちろん私達も疲れているので座って休みたいと思うのですが、周りには腰を降ろせそうな場所など無く、結局立ち休みとなってしまいました。

 (もうちょっと広い場所で、ゆっくりと休みたいのにー・・)

今回は叔父と初めての登山なのでいつもよりスローペース気味に登っていたのですが、なかなかタイミングが合ってくれません。
 結局、ここの尾根では合計3回の「5分休憩!」があり、ゆっくり休む事もなく1時間30分ほどで稜線へと出ました。 ここから山頂へは30分ほどで着きます。ここまで来ればもうこっちのものですね。

 しかし「よーし、山頂は目前だ!」という所で、姉が突然 「私達はここで休んで行くから、お父さん達は先に行ってていいよ 」と言い出しました。(???) 「じゃ、お先に 」と父達は山頂へ向かい、私達はここで腰を降ろすことにしたのです。

 「どうしたの?」 「んー、なんかねぇ、空腹と疲れで気持ち悪くなっちゃった 」と元気がありません。 どうやらシャリバテみたいですね。

 考えてみれば、朝の6時30分に家を出発してから、今、昼の1時過ぎまでツマミぐらいしか食べていなかったのです。(これは姉には酷でした) さすがにパンの中に入った卵サラダは気持ち悪くて口に出来ないみたいでしたが、それでも叔父の差し入れのトマトとパンの部分だけをゆっくりと食べていたら、気分も良くなって少し元気も出てきたようです。

 「こら〜っ!迷リーダー!!」と叱る事も度々ありますが、やはり姉には元気にズンズンズン!と先頭を歩いてくれないと、こちらの調子も出て来ません。 とにかく、元気になって良かった良かったです。

富良野盆地を眺めながら
休憩も大切!


 父達は既に山頂に着いています。私達も26分遅れで山頂に向け歩き出しました。
山頂からは間近に、まだ雪の残った「芦別岳」がデーーンと聳え立っているのが見えます。その雄大な姿に 「今度は芦別岳だね!」と叔父と一緒に登る約束をして、下りは変化に乏しいのですが「スキー場コース」を下ることにしました。

 スキー場までは笹が刈り取られている道で、とても歩きやすかったのですが、さすがにスキー場の急斜面では 「ふー、キツイねー 」と4人とも足が棒になりながら、午後5時31分、無事下山。登山口にあった一台の車はもう既になく、結局この山では誰にも会うことはありませんでした。


帰りの車にて(もう真っ暗です)
姉、念願の車中睡眠 (でも今回だけでした)


超人SakagさんのHPも見たい! 一人歩きの北海道百名山「富良野西岳編」へ


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