バフェットで勝つ     江守哲著

 オマハの賢人と言われるウォーレン・バフェットはマイクロソフトのビル・ゲイツと長者番付の首位を争い、個人資産は五兆円を超えている。バフェットの株式投資法のポイントは、「長期投資」、「集中投資」にある。バフェットの投資方法の大前提は「わからないものには投資しない」ということで、インターネット関連株やハイテク企業は投資対象からはずれ、「持続可能な競争力のある企業」が投資対象になり魅力的なブランドを保有する企業が多い。コカ・コーラ、アメリカン・エキスプレス、ジレット、フレディー・マック、ウェルズ・ファーゴ、ウォルト・ディズニー、ワシントン・ポスト等である。

バフェットの投資方法

個別銘柄の選定

 個別銘柄の選定は企業業績をベースに行い、長期的に成長可能な企業に長期にわたって投資する。

 株式投資は企業を買うことであり、投資対象の企業について容易に理解できるか、業績は安定しているか、将来についても安定した業績が期待できるかに絞られる。市場における独占的立場で製品やサービスを提供できる企業は高い利益率が期待でき投資対象になる。リストラ企業は、問題があるから業績が不振だったのであり、業績の悪い企業の株をわざわざ買う必要はない。また、経営者の経営姿勢に注目する。経営者にとって重要なことは、株主価値を高めること、企業のあるがままの姿を公表すること、企業独自の経営ポリシーを貫くことである。企業活動から得た利益を株主に還元するのか、それとも再投資するのか、利益の最適な活用ができるかどうかが経営者の質を決定するといっても過言ではない。

バフェット投資法 底値で買わなければならないことはない。その企業の持っていると自分が考える価値よりも株価が安いこと、そして、正直で有能な経営陣が経営にあたっていることが重要です。そのような企業に投資すればそこで利益を生むことができます。
コカ・コーラ株 コカ・コーラは世界最高の大企業です。世界最強のブランド力を有し、しかも非常に手ごろな価格で商品を提供しています。また、一人当たりの消費量はほぼすべての国で、ほぼ毎年増加しています。こんなにすごい商品は他にありません。
ジレット株 世界では一年間にカミソリの替え刃が200億から210億枚消費されます。ジレットはその約30%を供給していますが、売上げペースでは60%にも達します。北欧やメキシコなど一部の市場では90%にも達するそうです。人間がヒゲを剃る限り、カミソリの需要はなくなりません。新しい替え刃の開発を怠らず、販売力にも力を入れ、強いブランド力を保持している企業に投資しない手はありません。人は毎日のようにヒゲを剃ります。年間20ドルの替え刃代を支払ってその爽快感を得るのです。爽快感があれば、他のブランドに乗り換える気にはならないものです。
毎晩、寝るときに25億人のひげが伸びている、そう考えてベッドに入ればとても心地よく眠れるはずです。ジレットの社員は不眠症の人はいないはずです。

長期投資

 株式を長期間保有し続ければリスクが軽減され、安定的な利益を上げ続けることができる。取引コストの面からも長期投資は優位である。

集中投資

 金額が多くなると、投資決断に至るまでの調査が慎重に行われ、間違いが少なくなる可能性が高い。それが、金額が少ないとその部分がいいかげんになる場合が多い。株式投資においては、慎重に調査し、そして大きな金額を投資した方が効率がよいのである。

日本株への投資

 今の株式市場は勝ち組は全体の一割以下で、それ以外はすべて負け組みの二極化現象である。日本の投資家が情報通信関連銘柄に集中し、相当割高な水準まで買われている。その一方では伝統的重厚長大型企業の株が投資家から見放されて割安になっている。

 負け組みでも本当に力のある企業であればいずれは這い上がってくるはずである。下落した業種でも収益がよい企業は少なくはない。各業種の中でもトップの企業を中心に割安株を拾うチャンスであるのは確かだ。

 しかし、本当の買い場はこれまで株価上昇を牽引してきた情報通信関連企業の大幅な株価の調整が起きたときである。一本調子で上昇してきたこれらの企業の株価が一旦調整された時が本当の意味での上昇相場の始まりである。そして、それぞれの企業が株価に見合った収益を上げることができるようになれば、それは正当な企業価値・株価として評価され、再び大きく上昇することになろう。