*** 目次 ***
1 6LR8 超三結V1 アンプ製作記
2 ECL86/6GW8 超三結V1 アンプ製作記
3 6R-HP3/6AW8A/6HZ8 超三結V1 アンプ製作記
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初段 リニアライザ 電圧帰還管 出力段 出力トランス SD
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6BL8-p 6BL8-t(D) 6LR8-t 6LR8-p 3.5kΩ/8Ω 6BY5GA/2
二極管接続 P-G NFB 直結 中型
その後、筆者の超三結アンプの標準回路としてはリニアライザを廃して、音質的にはよりソフトな感じの P-K NFB 併用に変わりました。 最新の「三代目」リバイバル構成では下記のとおりです。(2001/09)
初段 P-K 帰還 電圧帰還管 出力段 出力トランス SD
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6AU6 12AU7/2(D) 6LR8-t 6LR8-p 3.5kΩ/8Ωx2 1N4007
二極管接続 P-G NFB 直結 中型の並列重ね
途中経過は省略し、三代目リバイバル構成の回路図を以下に示します。(2001/09)
●Ep = 280V (対カソード 220V), Esg = 175V (対カソード 115V)
●出力段 Ek 点検、片 ch は 60V、他 ch は 65V→60V に初段 Rk 調整
殆ど設計値通りでホッとして、暫時レコードを試聴し品質をチェックましたが、特段の歪、ハム、ノイズは検知されなかったので、Tさん宅に向かいレコード演奏しながら相互に動作電圧・電流など動作状態と動作品質を確認し合いました。
ところが捨てる神に拾う神、何種かの球がユニバーサル・超三結アンプに吸収されて空きシャーシが発生したので「もう一回挑戦・確認するぞ」と二度目の組直し・・・三度目の正直・・・に掛かりました。 どうやら最初のバージョンおよび二番目では中型出力トランス一個であり大振幅時に飽和気味だったようです。 今回は中型出力トランス二個を一次二次パラ接続にして Ip の余裕を 50% 程度確保し低域を強化しました。 これで不足気味だった低音域を確保して、最近入手したコンパクトロン同等管 6LU8 の活路も得た訳です。 (2001/09)
次の実験がスタンバイで分解しました。(2002/02)
(相当管、互換管) | ECL82 | ECL86 | ECL85 | |||||
構造上の3-5極管分類 | - | - | - | - | - | - | TV 用 高μ3極 | 同期分離 映像増幅 |
口金接続形式 | 9EX | 9LZ | 9LY | 9DX | 9DX | 9DX | ||
ヒーター電圧 | Eh | V | 6.3 | 6.3 | 6.3 | 6.3 | 6.3 | 6.3 |
ヒーター電流 | Ih | A | 0.78 | 0.7 | 0.9 | 1.125 | 0.6 | 0.75 |
最大プレート電圧 | Epmax | V | 600 | 300 | 250 | 330 | 300 | 330 |
最大プレート損失 | Pp | W | 5.0 | 9.0 | 7.0 | 8.0 | 3.0 | 5.0 |
最大スクリーン電圧 | Esgmax | V | 300 | 300 | 250 | 330 | 300 | 330 |
最大スクリーン損失 | Psg | W | 1.8 | 1.5 | 2.0 | 2.0 | 1.0 | 1.1 |
三極部最大プレート電圧 | Eptmax | V | 300 | 300 | 250 | 300 | 300 | 330 |
三極部最大プレート損失 | Ppt | W | 1.0 | 0.5 | 2.0 | 1.0 | 1.0 | 2.0 |
五極部 A 級増幅動作例 | ||||||||
プレート電圧 | Ep | V | 200 | 250 | 170 | 250 | 200 | 250 |
スクリーン電圧 | Esg | V | 200 | 250 | 170 | 170 | 150 | 125 |
制御グリッド電圧 | Eg1 | V | -16 | -7.0 | -15 | 100Ω | 180Ω | - |
無信号時プレート電流 | Ip | mA | 35 | 36 | 41 | 29 | 13 | 25 |
無信号時スクリーン電流 | Isg | mA | 7.0 | 5.5 | 2.7 | 6.0 | 3.5 | 7.0 |
内部抵抗 | Rp | kΩ | 22.0 | 45.0 | 25.0 | 140.0 | 400.0 | 70.0 |
相互コンダクタンス | Gm | mS | 6.4 | 10.0 | 7.5 | 12.6 | 9.0 | 12.5 |
所定出力時の負荷抵抗 | RL | Ω | 5,600 | 7,000 | - | - | - | - |
出力 | Po | W | 3.5 | 4.2 | - | - | - | - |
三極部 A 級増幅動作例 | ||||||||
三極部プレート電圧 | Ept | V | 100 | 250 | 100 | 200 | 200 | 125 |
三極部グリッド電圧 | Egt | V | 0 | -1.7 | -0.8 | -2.0 | -2.0 | -1.0 |
三極部プレート電流 | Ipt | mA | 3.5 | 1.2 | 5.0 | 3.5 | 4.0 | 13.5 |
三極部内部抵抗 | Rpt | kΩ | - | 62.5 | 7.6 | 17.5 | 17.5 | - |
三極部 Gm | Gmt | mS | 2.5 | 1.6 | 6.5 | 4.0 | 4.0 | 6.4 |
三極部増幅率 | μ | - | 70 | 100 | 50 | 70 | 70 | 33 |
本機の回路図を下記に示します。
6R-HP3 という、ミニチュア 9ピンの三極五極複合管を会員の A さんから戴きました。 勿論「鳴らしてご覧なさい」「了解です」と、言葉に出すまでもなく、お互い暗黙の了解〜すなわちそれが大前提です。
さてその球です。 6AW8A など TV 用の同期分離、映像増幅管とか、垂直発振増幅用よりもオーディオ用として有名になってしまった
6BM8 の一族であろうと、見当をつける所までは簡単ですが、その先は真空管式 TV などを手がけた経験もなく「未踏の奥地」です。(2000/07)
◆ 球の規格概要
そこで、それらしい類似球を規格表から拾い上げると、出てくるわ出てくるわ・・・三極部のμ、Rp、Gm も様々、五極部のそれらも様々であり、xxxxA という A 付き改良版に限定しても 23 種・・・とても収拾が付かないので、下記の制限を設けて合致するものだけを GE の Essential Characteristics から拾って比較対照して見ました。
●口金接続は 6R-HP3 と同様の 9DX に限る。(コンパクトロンは除外。)
●三極部の Pp は 2W に限る。(ただし例外を認める。)
●五極部の Pp は 5W 以上に限る。
その結果、6R-HP3 類似球は 6CX8, 6JL8, 6JY8, 6KR8A, 6LQ8 に絞られましたが、似たり寄ったりであるにもかかわらず、一つとして同じ規格のものはありません。 米国系の球にはオリジナル球らしいものが見当たらず、6R-HP3 は純国産球と判定しました。 上記の制限外だけど手持ちにある同口金接続 (9DX) である 6AW8A, 6HZ8 の規格を表に追加しました。(2000/08)
それにしても、どれもこれも、どうしてこのように類似球が多いのかよく判りません。 恐らく微妙に異なる規格から察知すると、動作電圧環境および信号振幅などの配分に最適なもの・・・と設計して、その結果種類が増えてしまったのでしょうか。 挿し替えて微調整すれば、みな素直に動作してしまいそうな一族です。 また、何人かの方がアンプとして使われおられる五極〜双三極コンバクトロン 6AS11 の五極管部は類似です。(2000/07)
(相当管、互換管) | ECL82 | ECL86 | ECL85 | |||||
構造上の3-5極管分類 | - | - | - | - | - | - | TV 用 高μ3極 | 同期分離 映像増幅 |
口金接続形式 | 9EX | 9LZ | 9LY | 9DX | 9DX | 9DX | ||
ヒーター電圧 | Eh | V | 6.3 | 6.3 | 6.3 | 6.3 | 6.3 | 6.3 |
ヒーター電流 | Ih | A | 0.78 | 0.7 | 0.9 | 1.125 | 0.6 | 0.75 |
最大プレート電圧 | Epmax | V | 600 | 300 | 250 | 330 | 300 | 330 |
最大プレート損失 | Pp | W | 5.0 | 9.0 | 7.0 | 8.0 | 3.0 | 5.0 |
最大スクリーン電圧 | Esgmax | V | 300 | 300 | 250 | 330 | 300 | 330 |
最大スクリーン損失 | Psg | W | 1.8 | 1.5 | 2.0 | 2.0 | 1.0 | 1.1 |
三極部最大プレート電圧 | Eptmax | V | 300 | 300 | 250 | 300 | 300 | 330 |
三極部最大プレート損失 | Ppt | W | 1.0 | 0.5 | 2.0 | 1.0 | 1.0 | 2.0 |
五極部 A 級増幅動作例 | ||||||||
プレート電圧 | Ep | V | 200 | 250 | 170 | 250 | 200 | 250 |
スクリーン電圧 | Esg | V | 200 | 250 | 170 | 170 | 150 | 125 |
制御グリッド電圧 | Eg1 | V | -16 | -7.0 | -15 | 100Ω | 180Ω | - |
無信号時プレート電流 | Ip | mA | 35 | 36 | 41 | 29 | 13 | 25 |
無信号時スクリーン電流 | Isg | mA | 7.0 | 5.5 | 2.7 | 6.0 | 3.5 | 7.0 |
内部抵抗 | Rp | kΩ | 22.0 | 45.0 | 25.0 | 140.0 | 400.0 | 70.0 |
相互コンダクタンス | Gm | mS | 6.4 | 10.0 | 7.5 | 12.6 | 9.0 | 12.5 |
所定出力時の負荷抵抗 | RL | Ω | 5,600 | 7,000 | - | - | - | - |
出力 | Po | W | 3.5 | 4.2 | - | - | - | - |
三極部 A 級増幅動作例 | ||||||||
三極部プレート電圧 | Ept | V | 100 | 250 | 100 | 200 | 200 | 125 |
三極部グリッド電圧 | Egt | V | 0 | -1.7 | -0.8 | -2.0 | -2.0 | -1.0 |
三極部プレート電流 | Ipt | mA | 3.5 | 1.2 | 5.0 | 3.5 | 4.0 | 13.5 |
三極部内部抵抗 | Rpt | kΩ | - | 62.5 | 7.6 | 17.5 | 17.5 | - |
三極部 Gm | Gmt | mS | 2.5 | 1.6 | 6.5 | 4.0 | 4.0 | 6.4 |
三極部増幅率 | μ | - | 70 | 100 | 50 | 70 | 70 | 33 |
◆ 実装計画その二 (拡張セット) 6R-HP3 アンプは、その後超小型出力トランスの実験台などに流用され、出力管が他のものに差し換えられていましたが、初期セットの頃から意識していた手持ちの 6AW8A, 6HZ8 の実験計画に際して 6R-HP3 は当然一緒に復活する条件でした。 拡張セットへの復旧および改造箇所は下記の通りです。 (2001/07)
(1) 出力段の自己バイアス+嵩上げ電圧発生用のカソード抵抗を、各々の球に合わせてスイッチ可変としました。
(2) スクリーン・グリッドへの電圧供給は、各球の動作例によりマチマチですが、最も低い
6R-HP3 の 125V に合わせ、切り替えはしないことにしました。
(3) 電圧帰還管については、各々の三極管部を利用するとバラバラなので共通にしました。
超三結V1 とし、各種の超三結V1 アンプと試聴比較をします。 | |
B 電源は100V-200V セパレーショントランスの二次側 220V タップからブリッジ整流して直流供給電圧 Ebb=245V を得、終段のカソード電圧を 60V 程度にして Ep=175V を確保しました。 | |
● 6R-HP3 の規格表に従って Ik = Ip+Isg = 25+7 = 32mA、前述のとおり Rk=2kΩとしたので、一応 Ek=64V となりますが、実際に動作点調整した場合には少しバイアスの深い側〜Ik の少ない側に音質的に好ましい点が見つかる場合が多く、多めにしました。
◆ 6HZ8=1.68kΩ、6R-HP3=1.86kΩ、6AW8A=3.66kΩとなるようにスイッチ切り替えにしました。 | |
● 6R-HP3 の規格表に従って終段 Esg=125V とし Ek を加えて、対接地 Esgg=185V、Ebb から7mA 以上で 60V ドロップするドロッパ・ブリーダを構成することになり、ブリーダ電流を 5mA 流すものとすると、ドロッパ抵抗 60V/(7+5)mA = 5.0kΩ、ブリーダ抵抗 185V/5mA = 37kΩとなるので、5.6kΩ+39kΩとしました。 ◆ 直列ドロッパ 15kΩを挿入して済ませました。 | |
● 東栄変成器製の「自称 T1200」の7kΩ〜8Ωとしました。
◆ 東栄変成器製の「自称 T600」の重ね、一次パラレル二次パラレルとしました。 | |
● 初段に 6AK5、電圧帰還管には 6R-HP3 の三極部、P-K NFB には 5963(=12AU7 相当) の二極管接続を挿入して非直線性を持たせました。
◆ 初段に 6AS6、電圧帰還管には 12AT7/2、P-K NFB には各 3-5 極管の三極部を二極管接続し、NFB 信号回路に挿入しました。 | |
トランス相互間の干渉を避けるため、写真に示すように距離をとって並べました。 | |
下記に示します。 いずれの球も規格より10% 程度内輪の動作点になるように設定してあります。 |