超ユニバーサル P-K NFB アンプの製作と改造・拡張

Building of "Super" universal P-K NFB amp
2010/05〜2018/07 宇多 弘 UDA Hiroshi
pkuniv.jpg

1 いきさつ

 単純な p-k NFB だけのアンプを、多極管および三極管につき何例か試作して、その素直さと簡便さに惹かれて「{超}ユニバーサル p-k NFB アンプ」を電源内蔵アンプとして製作にかかりました。 以下は計画の概要です。(2010/05)

1.1 {超}ユニバーサル化 (1)
 例によって各種の三極管、多極管を可能な限り吸収できるよう、別項の <"チューブ・チェッカー"ユニバーサル超三結 V1 アンプ> に類似の構成としました。 但しスペースの制限から多極管対応は口金形式 <7AC> のみを両サイド (R & L) ソケット位置に配置し、双三極管対応は口金形式 <8BD> に限定して中央ソケット ("center") に配置しました。
 例により 6CA7/EL34 は <8EP> 接続口金ながら、ピン#1=G3 サプレッサー・グリッドをカソード電位すなわちピン#8=K に接続して、例外的にアダプタ併用を避けました。 そのためピン#1 が外被となっているメタル管の場合はカソード電位が掛かるけど低電圧であり、また殆ど入手不可にて、GT タイプによる挿し換え運用性を優先しました。
 上記以外の口金接続をもつ管種、および 6EM7/6EW7 など素子を選択的に使う管種は、すべてアダプタ着装を前提とし、かつ三極管(接続)は左右の管をセットにマウントするペア・アダプタへの着装による中央ソケット位置への挿入を前提としました。

1.2 {超}ユニバーサル化 (2)
 可能な限り動作可能な多種の出力管を受入れるため、下記の機能を盛り込みました。 

 (1) 選択可能な自己バイアス設定用のカソード挿入抵抗の切替機能
 (2) 水平偏向出力管を想定した、スクリーン・グリッド電圧の調整機能
 (3) 大型出力管の動作確保のための、若干の B 電源電圧の調整機能 

 ただし電源電圧の調整範囲が限られ、出力トランスの容量等にも限界があり、また低い B電源電圧にて動作する大電流管種への対応にも困難を伴うため、むしろ三極出力管の運用環境を優先しました。(2014/08)


2 回路要素など

2.1 運用・操作に関する制限事項
 出力管の挿し換え方法は、下記を条件とします。
 (1) シャーシ上中央 US ソケット・・・双三極管グループ用、両サイドは同時に挿さない条件。
   シャーシ上両サイド US ソケット・・・多極管グループ用、中央 US ソケットには挿さない。
 (2) 個別の出力管ごとにカソード抵抗 Rk をスイッチ切り替えによる設定操作を厳守する。
 (3) 多極出力管種別ごとにスクリーン・グリッド電圧 Esg の切り替え設定操作を厳守する。
   オーディオ多極管では (A) サイド、水平偏向出力管では (H) サイドに。

2.2 本アンプにて挿し換え運用対象外の管種
 下記各管種についてはマイナーグループとして本アンプでの挿し換え運用対象管種から除外しました。(2014/06) 
 ただし個別ソケット・アダプタを用意したり、さらに Ep/Esg/Ek など動作条件については、配線変更等による都度の調整・設定等によって、稼働可能となる管種もあります。

 (1) やや高い Esg の映像増幅管系 6197/6CL6/6AG7_GT, 12BY7A (アダプタ要)
 (2) Esg が Ep よりやや低い オーディオ管 6DS5 (アダプタ要)
 (3) 低 B 電圧動作の 6CW5 (電圧低下調整要、アダプタ要)
 (4) 低 B 電圧動作の 6Y6-G_GT, 6W6-GT, 6CD6-GA, 6CL5, 6080 等 (電圧低下調整要)
 (5) 低い自己バイアス抵抗値の 6BK5, 6BQ5/7189-A, CV450 (個別設定要)
 (6) ピン#1 が外被シールドの各種メタル出力管 (カソード電位が印加され要注意)

2.3 出力トランス、電源回路他
 東栄変成器製 OPT-10S に準じた出力トランスを装備しました。
 インピーダンス・マッチングは挿す球に合わせて 4Ω、8Ωタップを選択可能にしました。

 B 電源は 290Vおよび 270V 程度の二種類を得る必要があります。 そのため 100V/100V〜100VA のセパレーショントランスの一次側タップを 100V または 110V に切り替えたうえ二次側を倍電圧整流してほぼ 290V/270V 200mA を得ています。 回路図および表に示す値は概略値であり、個々の出力管のプレート電流量により高低が生じるも、実稼働上は差し支えありません。
 確認のため始めて挿入マウントする管種の場合には、シャーシ上のテスト・ポイントにてカソード電圧 (Ek) および計算によるプレート損失 (Pp) の点検をお勧めします。(2014/08) 
 ヒーター電源は前段宛に 6.3V1A、出力段宛に 6.3V5A を供給します。

2.4 回路図
 アンプ本体の回路図を下記に示します。

pkusch2.gif


3 操作手順と参照表

 出力管の種類指定スイッチ操作、アンプ本体に挿入すべきソケットの位置、および各管種のソケット挿入または併用アダプタの一覧表、ならびに各管種に指定の自己バイアス抵抗スイッチ選択方法を、下記表に整理しました。 

Socket adaptor selection/ insertion to amplifier
Kind of tubes
Adaptable tubes
Socket
SG
SW*
Socket adaptor
to be mounted
GT dual triodes5998/5998-A, 6BL7-GT, 6BX7-GT, 6SN7-GT"center"-NONE (8BD)
MT dual triodes12AU7/5814/5963, 12BH7-A, 12AT7/5965 "center"-(9A) to (8BD)
5687/7044, 6350 "center"-(9H), (9CZ) to (8BD)
6AQ8, 6CG7/6FQ7 "center"-(9AJ) to (8BD)
MT single t-pair6R-A8, 12B4-A, 7233, 6S4-A, 6CS7(2), 6EW7(2)"center"-each type to (8BD)
GT single t-pair6AH4-GT, 6EM7(2), 6G-A4, 6CK4 "center"-each type to (8BD)
Audio pen/beam 41, 42, CZ-504-D (set Eh=5.5V)R & LA(6B) to (7AC)
6K6-GT, 6F6-G_GT, 6V6-G_GT,
6L6-Gx**, EL34/6CA7, EL33
R & LANONE (7AC/8EP)
6AQ5, 6AR5 R & LA(6CC/7BZ) to (7AC)
TV horiz. amp6AU5-GT, 6AV5-GA R & LH(6CK) to (7AC)
6CU6 family, 6DQ6-A/-B, 12E1*** (adaptor with plate-cap) R & LH(6AM/8GT) to (7AC)
6146-x**** , EL509, 6JS6-C (adaptor with plate-cap) R & LHeach type to (7AC)

*Remarks(1): Toggle switchs for R & L chan ganged. placed on top of the chasis.
====== A= Audio tubes position (high Esg),
====== H= TV Horizontal amplifier tubes position (low Esg)
**Remarks(2): 6L6-Gx means 6L6-G_-GT_-GB_-GC, 5881, 6550(A), KT66/KT88 also.
***Remarks(3): Some tube like 6CM5/6G-B3 etc. has IC=inter connection on pin#3,
====== All of these types of tubes are applied this adaptor.
****Remarks(4): 6146-x means 6146/6146-B/S2001.

Cathode bias resistor (Rk) selection
Switch
position
Value of Rk
Adaptable tubes
(Red means triodes)
1
248Ω6AQ8, 12AT7/5965,
6V6-G_GT/6AQ5, 6L6-Gx*, 6CA7/EL34, EL33
2
355Ω6R-A8, 6S4-A, CZ-504-D,
Most TV horiz. amp tubes** --- Check Ek/Pp
3
394Ω42/6F6-G_GT
Most TV horiz. amp tubes** --- Check Ek/Pp
4
494Ω41/6K6-GT/6AR5, 6BL7-GT, 6G-A4
5
730Ω6AH4GT, 6BX7-GT, 6CK4, 6CS7(2)
6
1kΩ5998/5998-A, 6SN7-GT, 12B4-A, 7233, 6EM7(2), 6EW7(2)
12BH7-A/12AU7/5814/5963, 6CG7/6FQ7, 6350, 5687/7044
*Remarks1:6L6-Gx = 6L6-G_-GT_-GB_-GC, 5881, 6550(A), KT66/KT88 also
**Remarks2:6AV5-GA, 6AU5-GT, -6BQ6-GTB, 6CM5/EL36, 6CU6, 6DQ6-A/-B,
========== 6G-B3/-B3A/-B6/-B7, 12E1, 6146-x/S2001, EL509, 6JS6-C


4 ユニバーサル・アンプの本質

 実態は「汎用出力管等の実稼動環境による動作試験装置」ですが、家庭用アンプの実用性を備えています。


改訂記録
2010/05:初版
2014/06:改訂第一版、6S4-A, 6CK4, 6EW7(2) 追加、6BK5, 6BQ5/7189A, CV450 を対象外に
2014/08:改訂第二版、写真更新および文書および表類の整理・改訂・修正
2018/07:改訂第三版、文書の修正
以上