不用意な G1G2 ドリブン方式ではエコーを発生するという噂があり、まずは問題の少なそうな回路方式から掛かろうと考え、手始めに一括 G1G2 ドリブン方式をトライしました。 これまでの製作過程のように、何れはユニバーサル化する事にはなるけど、ゼロから直接ユニバーサル化するのはとても困難です。
そこでプロトタイプ的に個別試験を 6BM8 シングルおよび PP、さらに 6BQ5 シングル各アンプにて先行させて、所要ドライブ・パワーおよび G1 挙動などのキーポイントにつき概略を把握しました。 次にこれら先行試験結果を基に強引にユニバーサル化してしまいました。 それが別項に示した「ユニバーサル 一括 G1G2 ドリブン・アンプ(以下 一括 G1G2 ドリブン・アンプ)」です。(2003/09)
G1G2 ドリブン・アンプに複数方式が発生して紛らわしいので、一括ドリブン・アンプの英語名を Unified G1G2 driven amp と改めて命名しました。(2003/11)
そこで今回は一括 G1G2 ドリブン・アンプの次に解明すべき課題であった、不用意な回路ではエコーを発生するという個別 G1G2 ドリブン・アンプに挑戦することにしました。(2003/09)
今回、その後の追加試験結果の記述に際して、個別 G1G2 ドリブン・アンプの英語名を、固定も可変も含めて Separated G1G2 driven amp と改めて命名し、一括の Unified G1G2 driven amp とは明確に区別しました。(2003/11)
1.1 個別ドライブの回路は?
個別ドライブへのアプローチとは、何処から何から掛かれば良いのか手掛かりがなく迷いましたが、とにかく色々条件的・方式的なバリエーションが考えられます。 下記のように色々な可能性を含めて一旦フロシキを広げて検討した後、一つに集約しました。
(案1) マトモなアプローチでは大変
本来ならば、まず一般的にはこれまでに試験した G2 ドリブン・アンプ(G1 接地 G2 ドライブ方式)
および一括 G1G2 ドリブン・アンプ の中間に位置する、G1 および G2 の
動作電圧配分〜動作点設定状態について同一入力信号振幅または可変入力信号振幅にての挙動を、
メッシュ化した多元マトリックスにて網羅的解明とするのが伝統的アプローチと考えますが・・・
多量の試験が必要です。 そこで最も端の条件・・・そのマトリックス
の縁・端の部分・・・からの
着手を考えました。(マトリックス内でのバリエーションは、知れたもの・・・との読みです。)
(案2) 一括 G1G2 ドリブンの G1 入力振幅縮小アプローチ
とりあえず、特定のケースとして、たとえば一括 G1G2 ドリブン・アンプの動作電圧配分にて、
G1 への入力信号振幅比率を下げて様子を見る。
(案3) G2 ドリブン・アンプの、G2 入力振幅縮小アプローチ
とりあえず、特定のケースとして、たとえば G2 ドリブン・アンプの動作電圧配分にて、
G2 への入力信号振幅比率を下げて様子を見る。
(案4) G2 ドリブンの拡張、G1 ドライブ追加アプローチ
とりあえず、特定のケースとして、G2 ドリブン・アンプでの動作電圧配分にて、G1 へ信号入力しその
振幅を G2 入力信号と何ケースかの比率にて変えて様子を見る。
上記 (案2) (案3) にて G1 入力信号振幅を減らすとは G2 ドリブン・アンプに手戻りの方向、また G2 に加える信号の圧縮は出力低下、いずれも縮み方向の試験では楽しみがありません。
そこで、上記 (案4) につき稼働中の G2 ドリブン・アンプを改造して取り組むことにしました。 これなら、G2 ドリブン・アンプが性能改良される方向でもあり、楽しみがあります。 改造アイデアは G2 ドリブン・アンプでグランドに落としてあった G1 を可変入力とし、それを絞り切れば元の G2 ドリブン・アンプに戻るものです。(2003/09)
1.2 回路を区別するため、名称も整備し変更して・・・
そのような経過により、今回本機に適用する実験回路としては、広義の個別 G1G2 ドリブン・アンプのうちの、ホンのひと隅を占めるだけであるから、抽象的な名称では不適切であり、具体的な回路実態を正確に表わす名称とする必要が出てきました。
そこで、その名称はズバリ 「ユニバーサル 可変 G1/ 固定 G2 ドリブン Semi-STC アンプ」(avg1fg2.htm) と命名しました。 すでにより大きい枠である「個別 G1G2 入力」であることは説明されるので「個別」のパラメタは含めませんでした。(2003/09)
その後、可変 G1 入力を固定 G1 入力に変更したため「ユニバーサル 個別固定 G1G2 ドリブン Semi-STC アンプ」と改名せざるを得ない状況に到りました。(2003/11)
本機の試験のために、元の G2 ドリブン・アンプを改造しました。 施した G1 入力拡張部分の部品・配線の追加・変更等は小規模ですが、元の G2 ドリブン・アンプとは動作原理が根本的に異なってきます。 回路構成や素子構成は殆ど重複するものの、混乱を避けるため本機の説明を G2 ドリブン・アンプの項内に追加せず、新規の独立項目としました。
1.3 G2 ドライブ関係回路の試験経過
ここまでの G2 ドライブ関係回路によるユニバーサル・アンプの時系列的な試験経過は下記のようになります。(2003/11)
● G2 ドリブン・アンプ (2002/09・・・本文に記述の、本機に関わる拡張前の母体です)
● 一括 G1G2 ドリブン・アンプ (2003/09・・・本文とは別方式であり、新作項目として記載しました)
● 可変 G1/固定 G2 ドリブン・アンプ〜(2003/09・・・本文、個別 G1G2 ドリブン・アンプの一部です)
● 個別固定 G1G2 ドリブン・アンプ〜(2003/11・・・本文、G1 は固定入力に変更しました)
2.1 G1 入力電圧振幅への配慮など
G2 ドリブン・アンプの設計時点にて終段 G2 動作電圧を低く設定したこともあって、終段 G1 のバイアス電圧が標準動作よりも浅く、G1 への入力可能電圧振幅は少ないものと想定しました。
また G2 入力より先に G1 にてクリップを起こすことを恐れて G1 への最大入力電圧振幅は G2 への入力電圧振幅の18%〜約 1/6 程度までとし、その範囲内にて加減できるように信号レベルのドロッパ抵抗値+ポテンショメータ抵抗値を設定しました。 G1 入力加減ポテンショメータ(以下ポテンショメータ)を絞り切れば G1 は 接地されて元の G2 ドリブン・アンプに戻ります。(2003/09)
上記 G1 入力加減ポテンショメータを廃し、最大位置に固定した状態、または絞り切った G2 ドリブン・アンプ状態になるよう G1 入力を on/off スイッチ切り替え方式に変更して、簡略化しました。(2003/11)
2.2 G1 入力にて発生した問題とその処置
G1 への入力ではハイ・インピーダンスであって G1 専用ドライバは不要です。 従って G2 ドライブのように G2 電流 =Ig2 が吸い込まれて低インピーダンスとなり強力なドライバ段が必要、などの問題は生じません。 しかし G1 入力信号の扱い方と P-G NFB の処置には結構てこずりました。
2.2.1 ドライバのカソードから G1 入力
初期の回路では、G1 への入力は単にカソードフォロワ・ドライバのカソードからの出力信号=G2 入力信号を(分けて貰って)C/R 結合回路としました。
G1 グリッド・リークの抵抗値がある程度高いならば、カソードフォロワ・ドライバへの影響は殆どありません。 そのグリッド・リークとは、固定抵抗および G1 入力加減ポテンショメータにて構成して、分けて貰った G2 入力信号を分圧し、さらにポテンショメータ (ヴォリューム) にて G1 入力を加減しました。
● やっぱり噂のエコーか?
▲ P-G NFB off 状態にて
ポテンショメータを最大に上げると、G1 および G2 に与えられる信号電圧には C/R 結合による位相差があるらしく、高域にて若干のエコーのような響きを伴いました。 これが噂のエコーのようです。 シンバル音やチャイム音が太く長く感じられ、しかも拡がります。
G2 の制御力が強い水平偏向出力管では派手に感じますが、オーディオ出力管では G1 の制御力が強いのか、さほどには耳につきません。
またポテンショメータを上げて行くと、G1 入力信号の効果が現われてトータル・ゲインが上がっていきます。 本件については後述「3 動作試験」に詳述しました。
▲ P-G NFB on 状態にて
上記のエコー的反応はかなり改善されたので、一応実用的には OK としましたが・・・。
またポテンショメータを上げてもトータル・ゲインが殆ど変らない状態でした。 増えたゲインは殆ど P-G NFB に費やされているようです。 しかし効果が増すことにより、制動力が増加してスピーカから出る低域の固有音が off 時に比べて相当に抑えられます。
2.2.2 G1 専用の独立の C/R 結合ではどうか?
G1 はハイ・インピーダンスであるから問題ないので、SRPP 初段からカソードフォロワ・ドライバのグリッドへの信号入力に並列に終段 G1 入力向けに「別の C/R 結合」を設けて、カソードフォロワ・ドライバ向けと同じ信号を供給しました。
NO NFB 状態では問題なく動作しました。 しかし、別の C/R 結合にすると終段 G1 入力がカソードフォロワ・ドライバ出力から外れるため、ドライバ段に併用した P-G NFB から外れてしまいました。
そこで、以前に実験したことのある終段プレートからカップリング・キャパシタを通して終段 G1 に電圧配分する「抵抗分割式 P-G NFB 回路」を適用してみました。 しかし、 G1 への P-G NFB は、G2 向けのそれとは別ルートであり、ループにキャパシタが加わったりして、NFB ON 時の音質は初期回路よりも荒れ気味であり「ボツ」にしました。
2.2.3 ドライバのカソード負荷のタップではどうか?(C/R 結合で)
G1 への信号入力が固定レベルならば、カソードフォロワ・ドライバのカソード負荷抵抗の適当な所にタップを出して G1 直結とし、終段の自己バイアス用のカソード回路の抵抗値には嵩上げ抵抗を加えてバイアス調整すれば済むのですが、直結の可変入力とすると DC 分も可変・・・
C/R 結合にすれば C が挿入されるので最初の回路に類似ですが、途中に G1 ゲイン抑制分圧用の抵抗は入りません。 ドライバのカソード負荷抵抗の一部 15kΩを 12kΩ + 3kΩ(グランド側)に変更し、タップとしてそこからカップリングCを介して、直接ポテンショメータに接続しました。 エコー感は残るも半減の感じでした。
G1 入力回りの低インピーダンス化に効果があったのでしょうか。 G1 入力ポテンショメータを上げていくと、純粋 G2 ドリブン・アンプ状態に比べて何となく音の純度が落ち、G1G2 一括ドリブン・アンプと比べても、やや混濁気味に賑やかになる感じです。
しばしば体験することですが、出先などにある普段は聴いていない筈のスピーカで音楽等を聴き始めると違和感があまりないのと同様に、フル G1 入力状態で音楽等を聴き始めた場合には殆ど違和感はありません。 所が、ポテンショメータを動かして比較してみると改めてその相違がハッキリします。
2.2.4 ドライバのカソード負荷のタップではどうか?(直接結合で) (2003/11)
残るエコーの感じがどうにも気になっていたので、部分的に回路を変更し「G1 直結ではどうなるか」の確認試験を行いました。 G2 まわりはそのままにして、マイナス電源にてカソードフォロワ・ドライバの負荷を引き、G1=0V 近辺にて動作試験しました。
● 12.6V ヒーター電源を利用し半波倍電圧整流にて -35V のマイナス電源をシャーシ内に用意しました。
● カソードフォロワ・ドライバ 12B4A の負荷抵抗の先に 3.9kΩの負荷抵抗を追加し、マイナス電源に接続しました。
● これで 6L6GC の場合は丁度 G1=0V 近辺 (対グランド) に落ち着き、C/R 結合の場合と同一 DC 電圧配分となります。
この状態で若干ゲインが上がりエコー感がなくなり、G1 を直接グランドに落として G2 ドリブン・モードにした状態と比較しても音質的な変化がなく、C/R 結合による G1 信号入力の音質的影響が明らかになりました。
ただしこの回路構成にては、試験した 6L6GC 単一管種であっても B電源電圧を変化させたり、同一出力管を挿し換えると、G1=0V 近辺のバランスが崩れて、G1 電位は +- 様々にバラツキます。 そこで定電圧 B電源にしたり、マイナス電源を可変にして、G1=0V の調整およびモニタリングを行う必要があると考えられます。
従って B電源の加減および出力管の挿し換えに伴っては、都度 0V 調整を必要とし、ユニバーサル運用環境としては繁雑になります。 サーボ等による制御も考えられますが・・・その対象が信号回路でもあり、音質への影響は避けられないかも知れません。
そのような訳で、現状の簡易回路による G1 直結でのユニバーサル化は難しいと判定しました。 ただしユニバーサル超三結アンプ (チューブチェッカー・アンプ) のように、出力管カソードに適宜の嵩上げ抵抗を加えて自己安定化を計り、G1=0V が概ねキープできれば、ユニバーサル化できる可能性があり次回改造時の挑戦課題としましょう。
本文後述の「3 G1 入力動作試験」に記す、これまでの実験結果を踏まえると、G1 入力を連続的に可変とした途中にて音質が激しく変化するなどの影響はなく、
可変の必然性が無いことが明らかになりました。
すなわち入力ゼロ(G2 ドリブン・モード)およびポテンショメータの最大位置状態(個別固定 G1G2 ドリブン・モード)が比較できれば十分目的を達するので、G1 直結実験が終って以前の回路に戻す際に G1 可変入力は on/off スイッチ切り替えに変更し、簡略化しました。(2003/11)
かくして G1/G2 を分けた個別ドライブとは、なかなか難しいものと (再度にわたり---2003/11) 改めて認識しました。
2.3 その他の要素
その他、併用した出力トランス・外部電源など一切は G2 ドリブン・アンプと全く同一のものであり、説明を省略します。
2.4 回路図
G2 ドリブン・アンプの終段 G1 入力まわりのみを拡張しました。 途中経過の回路図は省略しました。(2003/09)
G1 入力ポテンショメータを取り除き、最大位置固定と同様の状態にてスイッチ切り替えとしました。 但し回路図は変更前のままです。(2003/11)
3.1 動作試験の目的
終段 P-G NFB を常時 off 状態にて、
(1) G1 入力加減ポテンショの位置によるトータルゲイン比=G1 ゲイン貢献度を比較し、
(2) 同時に固定 G2 信号入力/可変 G1 信号入力の混在状態での音質変化を聴覚にて比較します。
3.2 試験の方法および条件
終段管各管種に対する動作電圧条件は「ユニバーサル G2 ドリブン・アンプ」のケースと同一です。
(1) ある程度の制動力を確保するため、初段への P-K NFB は常時 on 状態としました。
(2) G1 入力加減ポテンショメータを L/R 連動とし、R チャネルではゲイン変動を測定し、
L チャネルではスピーカに接続して同一ソースにより音質を監視しました。
(3) 試験入力信号は追試験環境を考慮して AC 50Hz を用い、ディジタル・テスターにて出力電圧を計測しました。
(4) 出力信号は 8Ω負荷にて G2 ドリブン動作時に基準電圧 1V となるようゲイン調整し、出力電圧比を求めました。
(5) 試験対象終段管各種間に見られる若干のゲイン差は、今回試験の調査目的外であり、省略しました。
(6) G1 入力加減ポテンショメータの位置を下記の三点にてトータルゲインを比較し音質を監視しました。
◆ G1=グランド:絞り切り位置=G2 ドリブン動作。 その出力電圧を 1として比較しました。
◆ G1=9% 入力 :12時位置の出力電圧比=G2 入力振幅の 1.5kΩ/17kΩ相当
◆ G1=18% 入力:右一杯位置の出力電圧比=G2 入力振幅の 3kΩ/17kΩ相当
(7) 計算上の G1/G2 ゲイン 比とは、単に G1 18% 入力時のゲイン比を 100% 換算したものであり、
G2 を定電圧状態に設定した場合の G1 入力によるゲインとの比ではありません。(2003/11)
テスト ケース | 管種および動作 Ebb→ | G1=グランド =G2 ドリブン | 9% 入力 ゲイン 比 | 18% 入力 ゲイン 比 |
計算上の G1/G2 ゲイン比 | 音質上 の問題 |
小型オーディオ出力管 | 240V | |||||
1-1 | 6BQ5 | 1.00 | 2.52 | 4.00 | 22.2 | 特になし |
1-2 | 6K6GT | 1.00 | 1.54 | 2.08 | 11.5 | 特になし |
1-3 | 6V6GT | 1.00 | 1.69 | 2.38 | 13.2 | 特になし |
小/中型水平偏向出力管 | 240V | |||||
2-1 | 6AU5GT | 1.00 | 1.33 | 1.69 | 9.4 | 特になし |
2-2 | 6AV5GA | 1.00 | 1.32 | 1.67 | 9.3 | 特になし |
2-3 | 6CM5 | 1.00 | 1.34 | 1.72 | 9.6 | 特になし |
2-4 | 6DQ6B | 1.00 | 1.31 | 1.67 | 9.3 | 特になし |
2-5 | 6G-B7 | 1.00 | 1.34 | 1.72 | 9.6 | 特になし |
大型オーディオ出力管 | 280V | |||||
3-1 | 6L6GC | 1.00 | 1.59 | 2.17 | 12.1 | 特になし |
3-2 | 6550C | 1.00 | 1.61 | 2.27 | 12.6 | 特になし |
3-3 | EL34 | 1.00 | 1.73 | 2.50 | 13.9 | 特になし |
3-4 | KT88 | 1.00 | 1.56 | 2.17 | 12.1 | 特になし |
大型水平偏向出力管 | 280V | |||||
4-1 | 6146 | 1.00 | 1.34 | 1.69 | 9.4 | 特になし |
4-2 | 6CL5 | 1.00 | 1.23 | 1.49 | 8.3 | 特になし |
4-3 | 6JS6C | 1.00 | 1.26 | 1.52 | 8.4 | 特になし |
4-4 | 12E1 | 1.00 | 1.32 | 1.69 | 9.4 | 特になし |
4-5 | EL509 | 1.00 | 1.22 | 1.47 | 8.2 | 特になし |
3.3 試験の結果概要
(1) 最も気かがりであった、入力比率の変化による音質の悪化は、殆どありませんでした。
管種間の音質相違は殆ど感じませんでした。 また、G1 入力比率の変化に対しても、
どの管種についても、回路を修正した後は極端な音質的な変化は感じられませんでした。
(2) G1 感度の影響が予想より少ないものの、余剰ゲインを NFB に適用する余地が増えると考えます。
G1 による P-G NFB 加減機能など、G2 ドリブン、G1G2 一括ドリブンより自由度と可能性が増えます。
(3) オーディオ出力管と水平偏向出力管との、G1/G2 の制御特性の相違を具体的に把握できました。
G1/18% 入力では、電力感度比がオーディオ出力管は 2倍以上、水平偏向出力管は 2倍以内でした。
6BQ5 および EL34 など近代管の電力感度の高さが具体的に判りました。
6146 の動作は水平偏向出力管に類似であり、当該グループへの帰属は問題なしと判定しました。
(4) その後 G1 入力加減ポテンショメータを廃し、スイッチ切り替えとしたため、G1 への 9% 入力はなく
18% 入力のみが試験可能となっています。 (2003/11)
G2 ドリブン・アンプ、一括 G1G2 ドリブン・アンプ、または 可変 G1/固定 G2ドリブン・アンプ、および今回の個別固定 G1G2 ドリブン・アンプ (2003/11) をザッと試験して、これらはどのような存在なのか、筆者は位置付けに迷いました。
通常の多極管接続アンプとの比較では、G2 への動作電源供給を省略できるメリットの反面、ドライバ回路が大がかりとなるデメリットがあり、出力的には多極管接続アンプより不利でしょう。 音質を含めた総合判定が必要でしょう。
上記それぞれの回路には個性的な音質があるようです。 何れも終段は三極管接続ながら Eb-Ib 特性が横に寝た定電流性の高い多極管特性をもち音質的にも類似です。 このような個性的な音質は A2 級および B 級アンプ、ダイレクト・カップルドA2 級管のアンプにも感じられます。
音質差は個人的な好み・・・感性の問題として扱われる次元かもしれません。 しかしながらこれらのアンプのもつ音質的特徴を知り、通常の多極管出力管または三極出力管によるアンプの音質との差を識別しうる製作ファンが居られるからこそ、この種のアンプがマイナーながら、また実装が複雑ながらも、根強く試作され愛されるのかな、と独断と偏見ながら考えます。