6DS5 超三結V1 アンプの製作

6ds5.jpg
1999/05--2000/08 宇多 弘

始めに〜球の規格

 6DS5 という球を町田の佐藤電気のご主人から紹介していただきました。この球はこれまで全く知りませんでした。 早速 GE の Essential Characteristics を参照しました。 ついでに先輩格の 6AQ5, 6BQ5, 6AR5 も並べて表にして見ます。

表 6AQ5/ 6BQ5/ 6AR5/ 6DS5 規格一覧

管球型名
標記
単位
6AQ5
6BQ5
6AR5
6DS5
構造上の分類 ビームビーム
五極
五極ビーム
口金接続形式 7BZ9CV6CC7BZ
ヒーター電圧EhV 6.36.36.36.3
ヒーター電流IhA 0.450.760.40.8
最大プレート損失PpW 12128.59.0
最大プレート電圧EpmaxV 275300250275
最大スクリーン電圧EsgmaxV 275300250275
最大スクリーン損失PsgW 2.02.02.52.2
A 級増幅動作例
プレート電圧EpV 250250250250
スクリーン電圧EsgV 250250250200
制御グリッド電圧Eg1V -12.5135Ω-18-8.5
無信号時プレート電流Ip0mA 45483229
無信号時スクリーン電流Isg0mA 4.55.55.53.0
内部抵抗Rp 52386828
相互コンダクタンスGmmS 4.111.32.35.8
所定出力時の負荷抵抗RL 5.05.27.68.0
出力PoW 4.56.03.43.8

 表から見る限りでは、ヒーターが大飯食いの割りに力がないけれど、内部抵抗が少し低くて、ドライブ電圧が少なくて済むかな、と言った程度で、特段の特徴はありません。
 6Y6G/GT と同様に Esg は下げて使うように指定されています。
 6DS5 の最大許容カソード電流 (=Ikm) が判らず、どうも球の設計思想がハッキリしないのですが、ヒーターに余裕があるのは、例えば電源電圧が低下してもネバリ強いなど、何か良いことを秘めているかもしれません。


実装設計〜回路構成と使用素子

 と言っても、電圧配分の心配以外には、特段に考慮を要する部分はありません。  前段は FET 2SK68A の初段増幅兼定電流源の上に電圧帰還管を載せて、極めて単純な超三結アンプとします。 電圧帰還管は、いろいろ取り替えて比較した結果 12AX7/2 に落ち着きました。

 今回は非直線素子 2SK68A の定電流ダイオード用法を含む所謂 P/K NFB を加えて、超三結V1/V3 併用型としてみました。 

6ds5sch.gif

電圧配分のめど

 シングル・ステレオの超三結アンプとする場合の、終段出力管 6DS5 の自己バイアス+前段動作用の電圧調整カサアゲの合計電圧を (面倒だから) 60V と決めてしまうと、Rk = 60V/(29+3)mA * 1000 から 1,875Ωと求められます。 手持ちの抵抗から2kΩ 5Wにて良いことにします。

  B 電源電圧は出力トランスでの電圧降下 5V を見込んで 5+250+60 = 315V 前後が確保されればよいでしょう。

 6DS5 のスクリーングリッドの供給電圧をB 電源電圧から 55V 下げるため、直列ドロッパとすれば、抵抗値は 55V/3mA = 18kΩとなりますが、ブリーダ形式にして スクリーン電流相当の 3mA を流すならば残りの設地に逃がす部分は (315-55)V/3mA = 86kΩ となり、ドロッパには 6mA が流れるので半分として 9kΩで分圧することになるので、実際には 82kΩ と8.2kΩの各 3Wの抵抗なら相当な余裕があり、これで良しとします。 動作試験の結果すこし SG 電圧が高かったのでグランドに逃がす抵抗を 75kΩとしました。
 もっとズボラして、SG 供給電圧を L/R 共通とするなら、39kΩ+3.9kΩ の 5W/3W で差し支えないでしょう。

電源まわり

●B 電源:
 市販の AC100V-200V 用セパレーション・トランスの 220V 端子をブリッジ整流しても、負荷時には 260V 程度に下がるので、あと AC 40V 位をカサアゲしたい所です。 面倒ならば 250V の両波整流で100mA 程度が得られる標準的なパワートランスを利用するのが手取り早いでしょう。 今回はノグチ PMC100M を使いました。 負荷状態で 240V タップにて305V が得られたので OK としました。

● ヒーター電源:
 標準的なパワートランスを使用するなら、全く問題ありません。
 セパレートタイプとする場合は 6DS5 x 2 = 1.6A と12AX7 = 0.3A で 1.9A となり 2A タイプで丁度です。 3A タイプなら余裕です。

配置

 1626/6EM7 強力 SRPP ドライブ・アンプに使用したシャーシ (W200 x D250 x H60) の天板だけ取り替えて再利用しました。 前面のヴォリュームと後面のスピーカ端子および電源コネクタはそのまま利用しました。
 写真に示したとおり、出力トランスはシャーシ内に収容し、電源トランスからの交流磁束を避けるため、出力トランスと電源トランスが縦長方向の両端に来るようにしました。 

出来映えと差し換え、改良、その後

 特に変わった音も出ず、動作上特に変わったことはなく、順調に稼働を開始しました。(1999/05)

 試みに 6AQ5, 6AR5 を差し換えてみました。 6AR5 は口金接続が異なり、ピン#7 が NC となっているだけで、あとは 6AQ5, 6DS5 と同じです。
 6AQ5 は、そのまま差し換えて異常なく動作しました。
 6AR5 はバイアスが少し深いので、一応調整しなおしかと思ったのですが、6DS5 の調整そのままでも特に異常はありませんでした。 動作状態は下記の通りです。

6AQ5:Ek=60V, Ik=30mA, Ep=240V, Esg=200V
6AR5:Ek=65V, Ik=32.5mA, Ep=235V, Esg=195V

 何れも 6DS5 用に入れたスクリーングリッドのドロッパが効いて、かなり内輪の動作です。 安全設計ではあるけれど、物足りない感じでした。 しかし、静かに音楽を聴くには特段の支障も発見されないので、このまま差し換え可能としておきましょう。(1999/07 rev1)
 後日、低域を強化したくなり、愛用の小型出力トランスをシャーシ上面に追加して、単純に並列接続としました。(1999/09 rev2)

 ある方からの「余剰の小形アンプがあったら、交換しませんか?」とのご要望にて水平偏向出力管と「お嫁入り」交換して、本機は消滅しました。(2000/08 rev4)

以上

改訂記録:
1999/05:初版
1999/07:rev1 6AQ5/6AR5 の差し替え動作試験  
1999/09:rev2 回路図変更、写真変更 出力トランスの追加
2000/01:rev3 回路図変更、6AQ5/6AR5 の追加記入
2000/08:rev4 譲渡による消滅