6146/2B46 超三アンプの試作

2000/09〜10  宇多 弘
6146.jpg


1 はじめに

 6146 (および同 A/B) は、曾てはアマチュア無線にて大変ポピュラーだった UY 807 後続の送信機終段用としても、業務用の送信機にも広く使われ、一部では AB2 級の pp アンプなどに使われた、ボトム・ステム構造の近代的なビーム管です。 手持ちには 6146A/6146B がないので、オリジナルの 6146 で試験します。  

 US ソケットの接続図を見ると、6146 相当の26.5V 管 6159 (および同 A/B) 、6146 を小型化した 2E26 以外はどの系統とも互換性がありません。 このほかに類似球としては S2001 (ベーク・スリーブ) /S2001A (ベーク・スリーブ) /S2001M (メタル・スリーブ) という国産の類似管が作られ、旧トリオ (現 Kenwood) 製のアマチュア無線送信機に使われましたが、6146 ソックリさんの S2001M 以外は試験の対象から外しました。

 6146 も、何れはチューブチェッカ・アンプに吸収させようと考えたのですが、まずは前例の類似球らしい球が見つからないないので、一から始めることにします。 そのため、807/1625 をチューブチェッカ・アンプに追い出した跡のシャーシのソケットを交換し 6146 超三アンプとして基本動作させました。 (2000/09)

             6146 性能諸元
内容
数値 (単位)
内容
 数値 (単位) 
用途
ビーム電力増幅
口金接続
7CK
ヒーター電圧
6.3V
ヒーター電流
1.25A
最大プレート電圧
600V
最大プレート損失
20W
最大スクリーン電圧
250V
最大スクリーン損失
3.0W
(以下省略)
(以下省略)


2 不明点

 規格表の動作例を見る限りでは、一般の水平偏向出力管のように、プレート電圧よりも遥かに低いスクリーングリッド電圧を供給するように指定されていますが、高周波電力増幅の AB1 またはAB2 級 pp のデータでは、オーディオのシングル・アンプには使えません。
 ということで、安全かつ最大に近い出力を得る動作点は、どの当たりにあるのかを探すことになります。


3 回路設計と実装上の配慮

 と言うほどのことはありません。 最大許容プレート損失 Pp=20W (6146B は27W) という、意外に小ぶりな球なので、プレート電圧を300V に保ちながらスクリーングリッド電圧を下げ、カソード電流が 50mA 程度の、例によってかなり控えめな動作になるよう調整してみました。 
 なお、動作試験したアンプは下記のような構成となりました。

初段   電圧帰還管 P/K NFB   出力段  出力トランス 出力段 SD
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
6U8-p  12AX7/2  6U8-t 直結 6146 中型 OPTx2  1N4007  

 以下に6146 超三アンプの回路図 (2号機) を示します。

6146sch.gif

3.1 発振対策

 例によって G1 に330Ω、P に 20Ω 程度の抵抗を直列に挿入して様子を見ます。 まだ不安定ならば、初段の電圧増幅五極管の G1 に 50pF 程度のキャパシタで接地して抑えます。 それでも不安定ならば、入力信号の加減ヴォリュームの値を10kΩA カーブなど低くします。
 最近の CD プレーヤまたはチューナは出力インピーダンスを低く取ってあるので、直接接続するなら 2kΩ A でも全く問題ありません。

3.2 出力トランスを重ねる場合の留意点

 807/1625 にて試験したトランス接続法のままで問題無しとしました。


4 出来映え

 調整しながら、入力を加えて見ると普通に鳴りはじめました。 初段の自己バイアスを調整して出力段の動作点を設定し、電圧電流を点検して、異常がないことを確認しました。
 問題となる、スクリーングリッド供給電圧は、他の一般的な水平偏向出力管に供給される電圧とは、大幅に掛けはなれたものではなく、ソケット・アダプタを用意すれば、6DQ6 等の電圧配分に準じて十分動作しそうです。(2000/09)
以上

改訂記録
2000/09:807/1625 超三結アンプを改造して試作
2000/10:超三結ユニバーサル・アンプに吸収