Windows Me (Millennium Edition) の真実

ご注意: このページをトップページからのリンクから削除し 内容を一部変えて 
      マイクロソフト Windows XP は「買い」なのか? を載せました。 

Windows Millennium Edition(略してMe)は Windows 98 Second Edition(略して98SE)の後継OSと
して 平成12年9月22日にマイクロソフト社から発売されました。 

このページは Windows Me について私の評価と マイクロソフト社のOS全般についての持論です。
個人が家庭で使うパソコンのOSとして Meを含め 何を選んだら良いか 迷っている方の参考となれば
幸いです。  参考情報として読んでいただき ご判断は自己責任でお願いします。

T。 Windows のロードマップ

マイクロソフトが開発したパソコン用OSとして色々ありますが 大きくは「9x系」と「NT系」の2系列に
区分されます。 9x系は Windows 95に始まり 後継として 95→98→98SE→Me の如くバージョン
アップされています。 NT系は Windows NT 4.0 WorkStation の後継として 現在売られているのが
Windows 2000 Professional(略してWindows 2000)です。

異なる2系列のパソコンOSを提供してきた理由は 主として家庭で使う個人ユーザー用の9x系と
主としてビジネスに使う企業ユーザー用のNT系では 要求される水準が異なるからでした。
Windows NTにはネットワーク対応のサーバー用OSと 安定性やセキュリティーや処理の高速性を
必要とする企業ユーザーのパソコン用OSの 2種類があります。 

マイクロソフトのジレンマは 企業ユーザーが使うパソコン用OSとして NT 4.0 WorkStation, 98, 95 と
いう3種類のOSが 四対三対三の比率で混在し 意図と異なり9x系の方がNT系よりく企業ユーザー
に多く使われている現実です。 2系列の似て非なるOSをサポートし続けるのは面倒で非効率でした。

この解決策として マイクロソフト本社は 従来 NT系と9x系の開発部隊が別々だったのを 1999年に
両開発部隊を一本化し Windows 2000とWindows Me の両方を統合した後継OSとして 2001年後半
に新OS ウィンドウズXP(開発コードネーム Whistler)を発表します。 NT系と9x系は カーネルと呼
ばれるOSの中核部分である基本システムの制御方法を別にしているので XPによる両系列の統合
はNT系のWindows 2000をベースにした統合となり 9x系のOSは Meが最後のバージョンとなります。
Whistlerで両系列のOSが NTのカーネルベースでようやく統一されることにより マイクロソフトに
両系列のOSをサポートする面倒が亡くなり 又 企業IT管理者としても サポートしなければならない
OSの種類が減るので 負担が軽くなります。

カーネルの違いとは 例えば Windows 3.1との互換性を保つ為に  9x系が16ビットと32ビットの混在
環境にあるのに対し NT系は32ビットだけの環境です。 カーネルの違いという代わりに  両系列は
設計思想に相当するアーキテクチャーが異なるとも言えます。

従来 9x系で動作するアプリーケーション・ソフト(略してアプリケーション)や周辺機器の一部をNT系
で動作出来なかったのは 系列によりカーネルが異なっていたからであり NT系の次世代OSである
Whistlerは 同じ問題を引き継ぎます。 WhistlerにOSを統合するということは Meを含めた9x系OSで
動作していたパソコン本体 周辺機器 アプリケーションの一部がWhistlerと互換性を持たないので 
早晩 切り捨てられるということです。  9x系ユーザーを Whistlerで一気に切り捨てるのは 
ドラスティック過ぎ 混乱するので 先ずMeでかなり切り捨て 残るユーザーをWhistlerで切り捨てる
という2ステップになりそうです。 MeはNECのPC-9800シリーズをサポートせず  いわゆるDOS/Vの
パソコンのみ対応します。 動作環境でも Meは150MHz以下のCPU搭載パソコンをサポートしない
ので 9x系OSが搭載されている旧機種の多くは切り捨てられることになります。 プリインストール
されたMe搭載パソコンや2000搭載パソコンを買われた方は Whistlerに先ず問題なくバージョン
アップ出来る筈ですが それ以外の方は 既に持っているパソコンに搭載されたOSを Whistler又は
その後継バージョンに 早晩 移行できなくなります。

XPは 一般家庭向けに 「XPホームエデイション」 企業向けに 「XPプロフェッショナル」 という
ラインアップを用意しているそうです。

WindowsファミリーとしてのOSを表でまとめると以下の如くなります。

      OSの種類 OS系列     ロードマップ
         95   9x      3.1の後継
         98   9x      95の後継
      98SE(発売中)   9x      98の後継
  Me(2000年9月22日発売)   9x  98SEの後継(9x系の最後)
    NT 4.0 WorkStation   NT
      2000(発売中)   NT  NT 4.0 WorkStationの後継
Whistler (2001年中に発売予定)   NT 2000の後継(NTに9xを統合)

Whistlerについて マイクロソフト社に対する独禁法違反訴訟とのからみで 穿った見方をする人もい
ます。 マイクロソフトに対する訴訟は主として9x系OSについてであり 裁判に例え負け ソースコード
の開示命令などで 9x系OSの独占が難しくなっていても Whistlerに転換し 9x系OSを切り捨てる
「トカゲの尻尾切り」により困らないというものです。 深読み過ぎる見方と私は思いますが・・・。

U。 Windows Me の概要

Windows Me は Millennium Editionという名が示すとうり 98SEのマイナーチェンジ(アップデート)で
あり 95が98にバージョンアップされたとき程の大きな変化はなく 本来なら 98 3rd Editionと名づける
べき内容です。 ユーザーインターフェース(GUI)を含めた全体のデザインは 基本的に 2000を踏襲し
98と大差ありません。

Meを動作させるパソコンに求められる最低レベルを他のOSと比較すると以下です。

   98    2000     Me 
   CPU 486DX 66MHz Pentium 133MHz Pentium 150MHz
   メモリー    16MB     32MB     32MB
 HDD空き容量    220MB     850MB     700MB

主として個人ユーザー用に開発された98の後継がMeですが 搭載するパソコンに求められる最低
レベルは 企業ユーザー用に開発された2000並みの大容量です。 最低レベルを満たしても 快適に
動作させる理想的なレベルはもっと高いところにあります。

Meはメジャーな「バージョンアップ」ではないものの 95/98/98SEに比べると 使い勝手も良く 洗練
されており 注目すべき新機能も多く追加されているので Meにアップグレードする魅力はあります。
新機能の内 最も注目されるのは 「システム復元ウィザード」です。 これは調子の悪くなった
パソコンを正常に動いていたかっての状態(希望する時点の状態)に復元する機能です。 例えば
特定のドライバーやアプリケーションをインストールしたら画面表示がおかしくなったとか 子供に
いたずらされてデスクットップの設定を変えられて困ったというような場合に 復元したい時点を選ん
で再起動すると 正常だった元の状態に復活できます。

その他の改善点や新機能(一部は既に2000で採用)として 起動時間の短縮 システムファイルの
保護機能 自動アップデート ルック&フィールの変更(アイコンの形状など) ヘルプセンター(オン
ラインヘルプ) インターネット関連ツールの強化 最新ブラウザー(Internet Exploler 5.5)の搭載 
WIA(Windows Image Acquisitionという画像取り込み機能) Windows Movie Maker(手軽な動画
編集) Windows Media Player 7(動画とサウンドの再生) などありますが 説明を省略します。 
細部について知りたい方は 専門紙の記事やマイクロソフトのMe関連ホームページ
http://www.microsoft.com/japan/me/をご覧ください。

  V。 95/98/98SE or 2000 or Me? どのOSを選ぶべきか

どのOSを使うべきかは OSの機能に何を求めるか パソコンを買い換えるつもりか 等などにより
異なります。 私の独断と偏見に基づく選び方を 以下まとめてみました。

1。 現在使っている95/98/98SEに特段の支障を感じてなく Meの新機能を必要としないなら
そのまま使い続けるべきです。

2. これから新たにパソコンを購入するつもりの方で Whistlerを待てないなら 2000かMe 何れか
の選択となります。 どちらが良いかは難しい判断です。 パソコンの初級ユーザーで 今まで使って
いる周辺機器やアプリケーションの多くを継続して利用したいなら Meを選択すべきであり パソコン
の中級/上級ユーザーで 企業向けに満載している機能を使いこなせ 操作の安定性を重要視する
なら2000を選ぶべきです。 Meはインターネット 電子メール ゲームを中心として 家庭用に特化した
機能と操作性を提供する初級ユーザー用OSであるのに対し 2000はビジネス・ユーザーや
パフォ-マンスを求める中級/上級ユーザー向けです。 作業中にシステムが煩雑にクラッシュ
(ハングアップ)して作業が中断しては困るなら2000です。

3. Meは9x系カーネルベース最後のOSであり 後継OSであるWhistlerはNTカーネルベースとなる
ので Meで動作していたパソコン本体 周辺機器 アプリケーションの多くが 早晩 使えなくなる恐
れがあります。 このリスクを避ける為には Meを避け 2000にするか Whistlerを待つべきです。

4. 2000は中級/上級者用と言っても プリインストールされたパソコンを新たに買うなら初級者でも
問題なく使えます。 今まで使っていた周辺機器やソフトで動作しなくなるものが出てきますが
2000で動作する周辺機器やソフトはMeと異なり Whistlerとほぼ互換性を持ちます。 従い 初めて
PCを買う方は 初心者であっても 問題の起こりそうな周辺機器やソフトを過去に持っていないので
Meより2000を選んだ方が 長期的な視点で考えると賢明です。 平成12年の年末商戦として
パソコン新機種の多くはMe搭載となりそうですが 2000搭載機もある筈です。

5. 留意すべきは プリインストールPCでこそMeの全機能を生かせる点です。 Meのパッケージ版
を購入し 既に保有しているパソコンにインストールした場合に 動作しないMe新機能があります。
Meはいわゆるレガシーデバイスを削除した 比較的新しいパソコン(発売後1〜2年以内?)でないと
インストールできないか できてもMeの機能を充分に発揮できません。 専門的に成り過ぎるので
レガシーデバイスとは何ぞやという説明は省略しますが 例えば レガシーデバイスを放棄してない
NEC-9800シリーズにはMeをインストールできません。 

OS(オペレーティング・システム)は裏方の仕事であり Meの新しい機能を使う必要がないのにOSを
買い替えるのは無駄です。 パソコンの機種(特に古いもの)によっては OSをMeに載せ替えること
により 修復不可能なトラブルを起こす恐れもあり 心配ならメーカーに確認されることを勧めます。

既に持つパソコンにインストールされているWindows95や98を Meや2000に替える方法として 
上書きによるアップグレードは 従来の環境を残せ簡便ですが 動作が不安定になり不具合を生じ
やすくなります。 従い 載せ変えるなら クリーン・インストール という Windows95又は98を削除した
上で2000/Meをインストールするか 今までのOSを残しながら新規にインストールする方法が理想的
です(パソコンに習熟した方でないと この方法は難しいですが・・・・)。

で 能書きはいいから 結論として お前はどうするかですって? Good questionですネ。
私が使っているパソコンは 平成11年2月に買い換えたNEC-9800シリーズの PC-9821 Ra300
です。 Meを搭載できない機種であり 2000にアップグレードするリスクを犯したくなく その必要性も
感じないので Whistlerのバグが治まった頃にプリインストールされたパソコンを買うつもりです。

W. Windows が進化する功罪

OSがバージョンアップする毎に改善されることは ユーザーにとって更に使い易くなるということで
あり 常識的には好ましいことです。 

マイクロソフト社OSの歴史は 使い難いコマンドという命令の入力を必要としたMS-DOS(Micro
Soft Disk Operating System)で地盤を築き 1985年に発表されたWindows1.0以降 1992年に発表
された3.1で改善されました。 GUI(Graphical User Interface)という 文字入力ではなく アイコン
(絵文字)をマウスでクリックする 初心者にも容易にパソコンを操作できる方法を本格的に採用した
1995年末発表のWindows95により デファクト・スターダード(事実上の標準)OSとしての地位を築き
ました。 1998年のWindows98 2000年のWindows 2000 2000年秋発売予定のMeで更にユーザー
に使い易いものとなっています。

私は Windows95が日本で発売された直後の1996年初めに 自宅用パソコンを購入しました。 
その当時 Windows 95を搭載したパソコンは HDD全容量 540MB  CPU Pentium 75MHz  
メモリー 8MB から購入できました。 その後4〜5年の間に 先に説明した如く 2000やMeが動作
するのに必要な最低限のレベルとして 信じ難いほど大容量のパソコンを必要とするに至ってます。

GUIを使った操作性の良いOSとして 各種のアプリケーションを充分に動作させる上で  Windows
95/ 98/ 2000/Me の差は余りありません。 OSというのは各種アプリケーションを動かす裏方の
仕事であり 裏方としての仕事内容にバージョン差は余り無いのに 何故ここまで重装備のパソコン
容量を必要とするようになったのかが問題です。 

マイクロソフト社への批判はこの点にあります。 Windowsのバージョンが新しくなる度に 利用度の
低い新機能が追加され OS自体が肥大化したことは先に説明したとうりです。 重たいOSを動かす
為に ハードウェアに要求される水準が高まり パソコン本体を買い替えなければならない事態と
なっています。 毎年のように繰り返されるWindowsのバージョンアップに対応しないと 新バージョン
に対応したアプリケーションを使い難くくなるので 新しいバージョンへの買い替えを強いられます。 
パソコンとOSを買い替えるに見合うだけの改良であれば納得できますが Windows 98/2000/Me に
納得できないユーザーは多い筈です。 マイクロソフトのマーケティング戦略に ユーザーが踊らされ
ているだけと見ることもできます。

X. Windows の独占的な地位は将来も安泰か?

マイクロソフトが築きあげたデファクト・スタンダードの地位にあるWindowsは 単にOSだけでなく
周辺機器や各種アプリケーションに圧倒的なシェアを占め 絶大な影響力を持っています。 従い
Windowsをバックに同社の独占的地位は 将来も なかなか揺るがないでしょうし アップル社の
マッキントッシュ用 MacOSに逆転される可能性は考えられません。

しかしながら 世の中には平家物語から学ばなくても 盛者必衰の理(ことわり) というのがあり
マイクロソフトとWindowsの独占的地位が 将来もズット安泰である とは言いきれません。
マイクロソフトを脅かしているものとして 独占禁止法違反の提訴がありますが 同社にとって一番の
脅威は 独占禁止法ではなく リナックスかも知れません。 リナックスが人気を呼んでいる背景に
マイクロソフトのOSウィンドウズに対する不満や批判があります。 

リナックス(Linux)はフィンランドの技術者リーナス・トーバルズ氏(現在は米国に在住)が
ヘルシンキ大学在学中に開発したサーバーとパソコン用OSです。 UNIXという高性能・高価格で 
ワークステーションと呼ばれるネットに接続したコンピューター用に開発されたOSを サーバーと
パソコン用に変えたものです。 「リーナスのUNIX」ということからLinuxと命名されています。 

リナックスの特徴は「フリー」で「オープン」という2点です。 フリーとは誰でも無料で使えること 
オープンとはLinuxの中身(プログラム)が公開されており 誰でも改良・改造できるというです。 
マイクロソフトにとって特に脅威なのは 同社のクローズドソースに対し リナックスはソースコードを
オープンにしているので 草の根からのブームとなっていることです。 基本ソフトウェアのOSは
タダであっても故障が多かったり 不便であれば普及しませんが インターネットを使った世界中の
ボランティアによりバグが修正され 改良され続けており 安定性があり 使いやすいOSとして人気
が急上昇中です。 UNIXを使ったアプリケーションをリナックス上で利用できることも魅力です。

リナックスはコンピューター業界に革命を起こし マイクロソフトに対抗できるOSに育つ可能性は有
りますが 未だアプリケーションの数と内容が充実してなく 周辺機器を含めた多様なハードウェア
に対応したドライバーが不充分といった 克服すべき課題は色々と残されています。

日本発のパソコンOSとしてBTRONがあります。 東京大学教授 坂村健氏がリーダーとして
パソコン用のオープンなOSとして 1984年からIBM 松下電気など 複数の大手メーカーを加えた
産学協同プロジェクトとして順調に進んでいました。 ところが1989年4月28日に米国通商代表部
(USTR)は 日本の不公正な貿易(貿易障壁)により米国が貿易赤字になっているとして 「不公正
貿易品目リスト」にTRONを載せました。 その結果 日本のメーカー各社はBTRONパソコンから
撤退しました。 米国から事実無根の横槍により 日本発のオープンなパソコン用OSとして 
BTRONを普及させる絶好のチャンスを失ったのは残念なことでした。 TRONプロジェクトは 
通信制御用のCTRON 家電や産業機器用のITRON等 実用段階にあるOSとして高い評価を受け
つつあります。 携帯電話にもトロン技術は生かされています。

Windowsの地位を脅かし得るものとして リナックスの他にも 負荷をパソコンから減らし 際限なく
肥大化し重くなるOSと 大容量を必要とするパソコンの時代を終わらせようとする 新たな動きがあり
ます。  又 パソコン機能の内 電子メール インターネット ゲーム等は 携帯電話 ゲーム機 
電子手帳 デジタルTV等でも行える様に成りつつあるのも マイクロソフトにとっては脅威です。。

Y。 エピローグ   

このページでは Windows Meの評価を主テーマに書き始めましたが オペレーティング・システム
全般の論に いつのまにか なってしまいました。 マイクロソフトのWindowsは 余りにも肥大化し
進化の袋小路にはまってしまった恐竜のように 収拾のつかない事態に陥っていないかという 
日頃の思いから OS全般についてのページとなりました。 

アンチ・マイクロソフト派の最大の根拠は マイクロソフトが市場を独占し 他社に公平な競争を許さ
ない状況とし ユーザーに不利益をこうむらせているという見方です。 バージョンアップする毎に
利用度の低い新機能が追加され 際限なく肥大化していくWindowsに対して ユーザーからの強い
不満と批判があります。 

盛者必衰の轍を踏まない為に マイクロソフトに必要なのは 企業の利益優先よりユーザーの利益
を優先させる経営への変身ですが 同社の企業体質で そこまでパラダイムを変えられるか 私は
懐疑的です。

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     Windows 2000    
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