文:長谷部 宏行
それが終はつたときにまづ想ひ抱いた感想だつた。
吉松隆作曲のピアノ協奏曲
ピアノは田部京子、管弦楽は藤岡幸夫指揮の日本フィル。
第1楽章から心地良い響きが拡がる。
彼得意の鳥の声が聴こえて来たころ、
どこか壊かしいやうな零囲気に、 涙が出さうなほどに美しかつたのだ。
永遠に続いても不思議ではないやうな至福の音楽は、
次の楽章への切り替へのために
あまりの美しさに、
第2楽章は割に短かめだつたが、
水面を想はせるゆらめく弦のハーモニーに
そしてフィナーレは躍動感に富んだ、
しかし、その躍動感は単に賑やかなだけではない。 いつまでも聴き続けてゐたい…。
そんな幸福感あふれる現代の協奏曲は、
この作品は、今回と同じピアニストと指揮者によつて
英国シャンドスで計画されてゐる 私は今からその発売が待ち遠しい。
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おそらく1998年に上村貴さんのサイト内に掲載されたもの。
ヘッダー、フッター等を編集して2021年5月17日に採録した。