17 土復活〈土地の有効利用〉
 
            土復活〈土地の有効利用〉
 
〈植物栄養の有効利用〉
 △作物施肥の効果
 作物の栄養,土地の生産力などに関する研究に基づく作物の品種改良,施肥技術の発
達,さらに土地の開発により「緑の革命」が達成されます。
 土の化学分析と作物の化学分析により作物への適当な施肥基準が設定されました。ま
た,果樹や牧草には鉄が欠かせないなどといった微量要素の施肥についても考慮される
ようになりました。
 △作物生産の強化
 地球上の大部分の土地はその主要作物の収量を少なくとも50%増加させうる潜在的な
可能性を持っています。これは潅漑,耕耘,施肥,病虫害防除,労働力投下などによっ
て達成されます。
 △施肥管理と肥料生産
 三大植物栄養となる窒素,燐酸,加里,及び亜鉛,鉄,硫黄,マグネシウムなどの微
量要素の施肥管理と,これらの生産体制を整備する必要があります。
 
〈干ばつとの戦い〉
 △潜在的可耕地の地理分布
 地球上の潜在的可耕地の面積は,氷の影響を受けない土地面積の24%に相当します。
潜在的可耕地の約50%は熱帯に集中しています。このほか北アメリカの湿潤帯地やオー
ストラリアなどに分布しています。
 地球上のどのような土地でも,その農業的可能性は@土の物理的,化学的,生物学的
の諸性質,A気温の年間変動と季節変動及びB年間降雨量とその季節分布などによって
左右されます。
 △土地潅漑の意義
 普通,潅漑設備は貯水ダム,分流構造,運河支線などの建設に限られています。とき
には掘抜井戸も考えられます。
 土地の潅漑により作物収量が保証されるには,施肥,病害虫防除などの土の管理シス
テムの改良開発も必要とされます。
 △潅漑用水だけで十分か
 潅漑によって作物収量が2倍になりますと,それに伴って土から消費される作物栄養
も2倍になります。したがって潅漑と施肥,そして品種改良,病虫害防除などを併せて
適正に管理されなければなりません。
 
〈終わりに〉
 地球は月とは異なった歴史を持つにいたっているのは,水の存在によります。このこ
とは月の岩石の研究によって,さらに詳細に明らかにされるでしょう。地球の生物圏は
水によって維持されてきました。水さえ十分にあれば森林は繁茂し,草地は緑に映え,
土地の生産力は維持されてきました。乾燥地帯では灼熱の砂漠が拡がり,草木は疎らに
しか生えません。
 土のタイプについては世界的に特徴をもって分布していますが,世界のあらゆる地域
で絶えず変化し発展している自然環境のプロセスを,ある特定の時期(例えばアスワン
・ハイ・ダムの建設によるいろいろな影響など)に,いろいろの地域の自然のプロセス
の特殊な様相として捉えてしまいますと大きな誤りになるでしょう。つまり,太古から,
ある地方の砂漠は永久に砂漠であったとか,また他の地方の草原は草原のままであった
とかを考えることは誤りであるといいたいのです。
 地球上での物理的,化学的並びに生物的の環境量の測定項目のなかでも,生物的測定
項目として土や水のモニタリングの重要性がいわれております。特に環境破壊,汚染指
標として生物をいろいろ利用するということです。
 そのモニタリングの成果から,生物と自然環境との相互関連を明らかにするための生
態系の概念が確立されることとなります。
 
                     参考 「土と生態」共立出版 THE END

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