学名解説(属名)[P〜R]
 
 Q
 
Quamoclit f.<g. kyamos(豆)+clitos(低い)からなる語。蔓性でマメに似たこの
 属の種に付いた名。ヒルガオ科
Quercus f.<1. この属の一種のラテン古名から。更にその語源はケルト語の quer(
 良質の)+cuez(材木)と云われる。ブナ科
Quisqualis f.<1. ラテン語の quisqualis(どんなものか)の語に由来する名。ナン
 ジャモンジャと同巧異曲で,同定の難しいところから付いた。シクンシ科
 
 R
 
Ramalina f.<1. ramos(枝)の縮小形。体が細かく分枝するから。サルオガセ科
Ramaria f.<1. ramos(枝)。全体が密に枝分かれしているから。ホウキタケ科
Randia f.<人名 イギリスの Isaak Rand の名に因んだもの。アカネ科
Ranunculus m.<1. rana(蛙)の意のラテン名。Pliny によってこの属の植物に付け
 ら れた名で,水生の種類が蛙の沢山棲んでいるような所に生えることから付いた。
 キンポウゲ科
Ranzania f.<人名 江戸時代の本草学者Ono Ranzan(小野蘭山,1729〜1810)の名に
 因む。メギ科
Rapanaea f.<人名 Rapan に因む。ヤブコウジ科
Raphanus m.<g. raphanos(早く割れる)に由来する名で,発芽の早いことから。ア
 ブラナ科
Reboulia f.<人名 19世紀前半,イタリアの植物学者Eugende Reboul に因む。苔類
Rehmannia f.<人名 ロシア皇帝の侍医J.Rehmann(1779〜1831)の名に因む。ゴマノ
 ハグサ科
Reineckia f.<人名 ベルリンの園芸家H.J.Reinecke(1798〜1871)の名に因んだも
 の。ユリ科
Reseda f.<1. resedare(静める)から出た語で,鎮静剤としての効力があると思わ
 れたことによる。モクセイソウ科
Reynoutria f.<人名 Houttuyn が知人の Reynoutre の名に因んで付けた。タデ科
Rhacomitrium n.<g. racos(弁)+mitra(僧帽)。蘚帽の基部が割れて弁状になる
 ことから。蘚類
Rhamnella f.<属名 属名 Rhamnus の縮小形。クロウメモドキ科
Rhamnus f.<g. ギリシャ古名。刺のある低木のこと。ケルト語では ram は潅木を表
 す。クロウメモドキ科
Rhaphiolepis f.<g. rhaphis(針)+lepis(鱗片)。バラ科
Rhapis f.<g. rhaphis(針)。葉の縁ヘリに針を伴うことによる。ヤシ科
Rheum m.<g. Rha 河(Wolga 河のロシア名)から。この河の流域に多かったためと云
 う。タデ科
Rhinanthus m.<g. rhis(鼻)+anthos(花)。今ではこの属から除かれた種に対し
 て最初付けられた名。ゴマノハグサ科
Rhizocarpon n.<g. rhiza(根)+carpon(果実)。基部に密着した根のように地衣
 体中に子器が出来るから。ヘリトリゴケ科
Rhizogonium n.<g. rhiza(根)+gonion(膝)。茎の下半が立ち上がり,その上一
 面に根を生ずるからである。蘚類
Rhizophora f.<g. rhiza(根)+phoreo(有する)。枝から多数の気根を海中に下ろ
 すことか,又は種子が樹の上にある時から根が出ていることから付けられた。ヒルギ
 科
Rhizopogon n.<g. rhiza(根)+pogon(髭)。円い菌体から髭状の根が出るから。
 ショウロ科
Rhodea f.<人名 ドイツの植物学者J.G.Rohde(1762〜1827)の名に因んだ名。ユリ科
Rhodobryum n.<g. rhodon(バラ)+bryum(コケ)。葉が茎の上部に車座に集まった
 のをバラに譬えたもの。
Rhododendron n.<g. rhodon(バラ)+dendron(樹木)。転じて紅花を着ける木の意
 で,初めは西洋キョウチクトウの名であった。ツツジ科
Rhodomyrtus f.<g. rhodon(バラ,転じて赤い)+Myrtus(属名)からなる語。赤い
 花を開く Myrtus 属の意。テンニンカ科
Rhodophyllus m.<g. rhodeios(紅色の)+phyllon(葉)。このキノコの襞ヒダが赤
いから。マツタケ科
Rhodotypos f.<g. rhodon(バラ)+typos(形)。一輪咲きのバラに似ているから付
 いた。バラ科
Rhoeo f.<g. (語源不明)。ツユクサ科
Rhus f.<g. ギリシャの古名 rhous をラテン語化したもの。ウルシ科
Rhynchosia f.<g. thynchos(嘴クチバシ)に由来する語で,竜骨弁の形から付けられた
 名。マメ科
Rhynchospermum n.<g. rhynchos(嘴)+sperma(種子)。舌状花の果実は嘴状に先
 が尖るから。キク科
Rhynchospora f.<g. rhynchos(嘴,鼻)+spora(種子)。痩果の先に嘴状の部分が
 あるから。カヤツリグサ科
Ribes n.<den. アラビアの植物名の転用と云うが,Alphonso de Candolle によると
 赤色の”スグリ”に対するデンマーク語の口語体 ribs から来たと云う。ユキノシタ
 科
Riccia f.<人名 18世紀のイタリアの貴族P.F.Ricci に因む。苔類
Ricciocarpus m.<g. Riccia(属名)+carpon(果実)。子嚢の形が Riccia のそれ
 に似るため。苔類
Ricinus m.<1. 地中海地方の船ジラミ Ricinus から。種子の形が似ているため。ト
 ウダイグサ科
Robinia f.<人名 ヘンリー4世時代のパリの園芸家Jean Robin(1550〜1629)が1600
 年にこのニセアカシアを米国から移し,息子の Vespasian Robin(1579〜1662)がヨ
 ーロッパに広めたのを記念した名。マメ科
Rodgersia f.<人名 アメリカの海軍士官John Rodgers が函館で採集したのを記念す
 る名。ユキノシタ科
Rorippa f.<saxon. この植物に対するサクソンの古名の rorippen のラテン語化。屡
 々 Roripa と変えて用いられる。アブラナ科
Rosa f.<1.<g. バラに対するラテン古名。更に遡ればギリシャ語の rhodon(バラ)
 で,ケルト語の rhodd(赤色)に由来する。バラ科
Rosmarinus m.<1. ラテン語の古名から。ros(露)+marinus(海の)からなる語で,
 海岸近くに生えているため。シソ科
Rotala f.<1. rota(車)の間違った縮小形。原種のものの葉が輪生することによる。
 ミソハギ科
Rottboellia f.<人名 デンマークの C.F.Rottboll の名に因んだ名。イネ科
Rubia f.<1. ruber(赤)に由来するラテン名。根の色(いわゆるアカネ色)及びそ
 れから採る染料に由来する。アカネ科
Rubus m.<1. ラテンの古名から。恐らく ruber(赤)から出ていて,赤い果実がなる
 ことを意味していよう。バラ科
Rudbeckia f.<人名 Uppsala で Linne の師であり後援者である Rudbeck 父子 Olof
 (1630〜1702),と Olaf(1660〜1740)の名を記念した。キク科
Rumex m.<1. ラテン古名。rumex は一種の槍ヤリで,スイバの葉形をそれに譬えたと云
 われる。タデ科
Rumohra f.< (語源不明)。ウラボシ科
Ruppia f.<人名 ドイツの植物学者Heinrich Bernhard(1688〜1719)に捧げられた
 名。ヒルムシロ科
Ruscus m.<1. ラテンの古い名を使用。ユリ科
Russula f.<1. russus(赤色)。この属の種類には傘が赤いものがあるためか。マツ
 タケ科
Ruta f.<1. 古いラテンの rue(草)から出た植物名。ミカン科
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