学名解説(属名)[C]
 
Cichorium n.<g. 或植物のアラビア名 kio(行く)+chorion(畑)から変化した名。
 キク科
Cicuta f.<1. ドクゼリの古代ラテン名で,茎の節間が中空(cyein)なことによると
 云う。セリ科
Cimicifuga f.<1. cimix(ナンキンムシ)+fugere(逃げる)。悪臭が甚だしく南京
 虫も逃げると云う意味。キンポウゲ科
Cinna f.<g. Dioscorides が使った一種のイネ科植物の名前で,管を意味する。イネ
 科
Cinnamomum n.<g. 桂皮のギリシャ名。cinein(巻く)+amomos(申し分ない)と考
 えられ,巻曲する皮の形と芳香を称えた名。クスノキ科
Circaea f.<1. 呪マジナいに使われた或植物の名で,Circe(オデッセーの友人を酒で
 獣にした魔女)に因んで Dioscorides が付けた。その後粘着性の果実以外にはあまり
 特徴のない現在の属に移されたもの。アカバナ科
Cirrhopetalum n.<g. cirrhus(巻き髭ヒゲ)+petalon(花弁)。動きやすい唇弁が
 巻いているから。ラン科
Cirsium n.<g. ギリシャでの古名 cirsion から。静脈腫(cirsos)に対して Cardu-
 us pycnocephalus が優れた薬効を持ったためその名となり,後にアザミに概形が似る
 ために転用された。キク科
Citrullus m.<属名 Citrus(ミカン)の縮小形。この属の植物にレモン色の果実を着
 けるものがあるため。ウリ科
Citrus f.<1. ギリシャ名 kitron(箱)。朔(草冠+朔)から来たラテン語で,レモ
 ンの木に対する古い呼び名。ミカン科
Cladium n.<g. cladion(小枝)。基準種の集散花序が繰り返し枝分かれすることか
 ら。カヤツリグサ科
Cladonia f.<g. clados(枝)。樹木状地衣で枝分かれするところから来た名。ハナ
 ゴケ科
Cladophora f.<g. clados(枝)+phora(有する)。一列の細胞で出来た小枝を多数
 輪生する形状に基づいた名。シオグサ科
Cladrastis f.<g. clados(枝)+thraustos(脆モロい),枝が脆いため。マメ科
Clathrus m.<1. clathra(格子)。菌体が多角形の格子状の網目を作って球形にな
 る。カゴタケ科
Clavaria f.<1. clava(棍棒)。菌体が棍棒状をなす種類があるため。ホウキタケ科
Clavicorona f.<1. clava(棍棒)+corona(冠)。菌体が細かく樹枝状に割れ,各
 々の枝端には棍棒の突起が冠状に集まる。ホウキタケ科
Clematis f.<g. Dioscorides が付けた,長い柔らかい枝を持った攀ヨじ登り植物の名
 で,clema(若枝)の縮小形。キンポウゲ科
Cleome f.<g. 最初辛子カラシ様の植物に付けられた出所不明の名。フウチョウソウ科
Clerodendron n.<g. cleros(運命)+dendron(樹木)。初めセイロン島の二種類が
 注目され,それを arbor fortunata(幸運の木)及び arbor infortunata(不運の木
 )と呼んだことから付いた。クマツヅラ科
Clethra f.<g. 初めハンノキ属の古代ギリシャ名であったが,葉形が似ているために
 当てはめたもの。リョウブ科
Cleyera f.<人名 17世紀のオランダの船医で,アジアの薬草の研究家でもあったA.
 Cleyer の名に因んだもの。ツバキ科
Climacium n.<g. klimax(階段)。内縁歯に孔が沢山一列に並び階段様に見えるか
 ら。蘚類
Clinopodium n.<g. cline(床,斜)+podion(小足)。シソ科
Clintonia f.<人名 ニューヨーク知事を数回務めたアメリカの政治家De Witt Clin-
 ton(1769〜1828)に捧げられた名。ユリ科
Cnidium n.<g. cnide(イラクサ)から。セリ科
Cobresia f.<人名 ドイツの採集家Cobres(1747〜1823)の名に因んだもの。カヤツ
 リグサ科
Cocculus m.<g. coccus(液果)の縮小形。小さな液果を着けるため。ツヅラフジ科
Cocos f.<port.ポルトガル語の coco(サル)を意味する語。果実の核に3箇の窪み(
 発芽孔)があって猿の顔に似ているため。ヤシ科
Codium n.<g. codion(絨毛の如き皮)から来た。又は codeia(頭)が語源とも云
 う。先端は頭の形をなす。ミル科
Codonopsis f.<g. codon(鐘)+opsis(似)。釣鐘状の花の形から来たもの。キキ
 ョウ科
Coelarthrum n.<g. coelos(中空)+arthron(関節)。円柱形で中空の植物体が所
 々で著しく括クビれて関節状をなすため。ダルス科
Coeloglossum n.<g. coelos(空洞)+glossa(舌)。唇弁の基部に凹みがあるため。
 ラン科
Coelopleurum n.<g. coelos(腹)+pleuron(肋脈)。果実の形から。セリ科
Coix f.<g. 古いギリシャ名。coix(シュロ)から来た名。イネ科
Colchicum n.<地名 黒海沿岸の地名(Colchis)から採ったもので,その地方に自生
 する。ユリ科
Coleus m.<g. coleos(鞘)。唇弁が鞘状になるため。シソ科
Collybia f.<g. kollybos(小貨幣)。傘の小さいことから。マツタケ科
Colocasia f.<g. ギリシャの古名 colocasion から来た名。語源は colon(食物)+
 casein(装飾)で飾りにも食用にもすると云う意。ただしこのギリシャ名は本来はハ
 スに付けられた名。サトイモ科
Cololejeunea f.<g. colo(短縮)+Lejeunea(属名)。苔類
Colpomenia f.<g. colpos(襞ヒダ,皺シワ)+hymen(膜)。植物体は袋状で薄い膜で
 で出来ており,破れやすく皺が寄るため。カヤモノリ科
Columella f.<1. columella は小さい柱。若い果実に花柱の残る形からか。一説に1
 世紀のローマの著述家Columella の名からとも云う。ブドウ科
Colysis f.< (語源不明) ウラボシ科
Comanthosphace f.<g. come(毛)+anthos(花)+sphace(サルビア)。サルビア
 に似た花で包葉に毛があるため。シソ科
Comarum n.<g. komaron(Arbutus unedo)から来た名。それに果実の集まりが似てい
 るから。バラ科
Commelina 17世紀にオランダに Commelin と云う名の同姓の植物学者が居て,三名中,
 Jan 及び Kasper は著名だが残る一人は業績を挙げなかった。この花の花弁の内,二
 枚は顕著だが一枚は不明瞭なのをそれに譬えて Linne が名付けたと云う。ツユクサ科
Conandron n.<g. conos(円錐形の)+andros(雄蘂)。雄蘂が集まって円錐形をな
 すため。イワタバコ科
Coniogramme f.<g. gramme(粉末)+conia(線紋)。線状に生じる嚢堆に包膜がな
 く,一見粉状であるため。ウラボシ科
Conioselinum n.<属名 二つの属名 Conium と Selinum の組合わさった名。これらの
 属に似ていることから付けられたもの。セリ科
Conocephalum n.<g. conos(円錐形)+cephale(頭)。雌株に生ずる雌器托が円錐
 形をなしているため。苔類
Convallaria f.<1. convallis(谷)+leirion(ユリ)。谷間のユリの意。英語の
 ”lilies of the valley”と同じ。ユリ科
Convolvulus m.<1. convolvere(巻き付く)。この属の大部分が蔓性の種であるた
 め。ヒルガオ科
Conyza n.<g. 古い植物名。疥癬カイセンから来たとも云う。キク科
Coprinus m.<g. copros(糞)。獣糞上に生えるから。マツタケ科
Coptis f.<g. coptein(切る)から転じた語。分裂した葉を表すものか。キンポウゲ
 科
Corchoropsis f.<属名 同じ科の属名 Corchorus +opsis(似)。葉状が似ているた
 め。シナノキ科
Corchorus m.<g. cores(下だす)+core(瞳孔)の意。シナノキ科
Cordyceps m.<g. cordy(棍棒)+cephalos(頭)。菌体の形から。ニクザキン科
Coreopsis f.<g. coris(南京虫)+opsis(似)。痩果の形が南京虫に似たの意。キ
 ク科
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