20d 園芸植物用語解説その2
 
[ふ]
ファンシー咲き(fancy) → ショー咲き
斑入りフイリ:茎や花などに白色,黄色,紅色などの模様が現れること。また模様が現れて
 いるもの。その色彩や形状には多くの変化がある。斑入りになる原因には,遺伝によ
 るもの,ビールスによるものとがある。
複芽フクガ:2個以上の芽が1ヶ所に固まって着く。
副花冠フクカカン:花冠の中にできる花冠状の付属物。花弁などの一部が増大したもの。例:
 スイセン。
副萼フクガク(外萼とも):萼の近くにある包葉が萼のように見える場合をいう。例:フヨ
 ウ。
覆土フクド:@種子を蒔いてから,その上に用土を被せること。A植物を植えてから用土
 を被せること。
伏毛フクモウ(圧毛とも):茎や葉などの面に密着して寝ている毛。例:ヤマツツジ。
複葉フクヨウ:単葉に対する語。葉身が2枚以上の小葉からなる葉で,羽状複葉と掌状複葉
 がある。
覆輪フクリン:斑の一種。白色,黄色,紅色などの斑が,中央の緑色を取り囲むようにして
 現れるもの。斑の幅の広い深覆輪,特に狭い糸覆輪,緑色との境界が特に不規則な覆
 輪崩れなどがある。
袋掛けフクロカケ:果実の外観を美しく保ち,また病害虫の防除を目的として,個々の果実に
 紙袋を被せること。例:モモ・リンゴ。
袋芽フクロメ:花は花芽が蕾ツボミとなり,次いで花になるが,葉は葉芽が袋芽となり,次い
 で葉になる。即ち袋芽は花の蕾に相当するもの。
不結実性フケツジツセイ:果実ができない性質,又はできても成熟に至らないうちに落果する
 性質。この原因は栄養状態によっても起こるが,一般には遺伝的な性質によって起こ
 る場合を指しており,生殖器官の不十分と不親和によって起こる。
不親和性フシンワセイ(不和合性とも):花粉又は胚珠が正常であり,完全な機能を行っても
 結実不良になる性質。花粉と胚珠の親和を欠いていることによる。
浮水葉フスイヨウ(浮葉フヨウとも):沈水葉チンスイヨウに対する語。ヒルムシロ,サンショウモな
 どの水面に浮かんでいる葉のこと。
腐生植物フセイショクブツ:腐植土のような半ば分解した有機物を栄養分として採り入れて生活
 する植物をいい,葉緑素を欠き,緑色をしていない。例:ギンリョウソウ・ショウキ
 ラン。
付属体フゾクタイ:@スミレの種子に着いている種枕,Aスミレの萼ガク片の付着点を越えて
 延長した部分,Bテンナンショウの類の肉穂花序の上に突出した棍棒状のものなどを
 往々付属体と呼ぶことがある。
付属根フゾクコン:茎から出る鬚ヒゲ状の根で,他植物の幹や岩壁に付着して茎を密着させ,
 茎を攀じ登らせる根。例:キヅタ・ツルマサキ・ノウゼンカズラ。
普通名フツウメイ:学名に対していう。世界各国がそれぞれ自国語で呼んでいる植物の名。わ
 が国で用いられている普通名を和名という。例:ナズナ・オミナエシ。
仏炎包ブツエンホウ:マムシグサやミズバショウなどの花序を取り巻いているラッパ状の総包
 をいい,サトイモ科とウキクサ科に特有。
不登花フトウカ(不稔花とも):登花に対する語。雄蘂オシベ,雌蘂メシベが不完全で実を結ば
 ない花をいう。例:ガクアジサイ・ヤブデマリの装飾花。
舟底挿しフナゾコサシ:挿木の一方法。挿し穂が細長く軟らかい茎の場合に応用する。先端と
 基部とを地上に出し,中間部を土壌中に埋め込み,舟底形にして挿す方法。
冬芽フユメ・トウガ:夏芽に対する語。夏から秋,樹木の枝の先端や葉腋にでき,冬を越す芽。
 冬の寒さを凌ぐためのもので越冬芽ともいう。多年草では地下茎にできる。高温,多
 湿の熱帯地方の樹木にはできない。
ブランチング(branching,枝打性・分枝性とも):花茎が上部で分枝する性質,又は分
 枝している姿。
フレーム(frame):植物を栽培又は育種するために用いる苗床の一種。普通は木製の框
 カマチで組み,加温又は保温して用いる。
分果ブンカ(分離花とも):1個の子房が分裂してできた果実。シソ,サルビアなどのシ
 ソ科植物は子房が4裂し,果実は4個の分果になって離れ落ちる。セリ,ミツバなど
 のセリ科植物は2個の分果となる。
分球ブンキュウ:@球根から自然に殖えた子球を分離すること。A球根を人工的に処理して
 子球を発生させて分離して新個体を作ること。例:ユリ。
 分蘖ブンケツ:根元から出ている子苗を分離して新個体を作ること。例:アヤメ。
 
[へ]
閉果ヘイカ:乾果の一種。熟すと水分を失うが,裂開しない果実をいう。痩果,頴果,堅果
 などがある。
柄間托葉ヘイカンタクヨウ → 葉間托葉
平行枝ヘイコウシ:幹の1ヶ所から,又は接近して,同じ方向に向かって伸びている枝。
閉鎖花ヘイサカ:被子植物において,蕾ツボミのままで開かずに自花受精(開花受精)して結
 実する花。例:スミレ・センボンヤリ。
ヘテロオーキシン(heteroauxin):植物生長ホルモンの一種。細胞を大きくすることに
 よって,茎の生長を促進する。そのほか側芽の生長を抑え,花芽の形成や花粉の発育
 を促進する。また単為結果と果実の発育を促進する。また細胞の分裂を促進する。
弁開葯ベンカイヤク:葯室の壁が突き上げの窓のように開いて孔が開く葯をいう。クスノキ
 科,スギ科。例:クロモジ・メギ・イカリソウ。
辺合状ヘンゴウジョウ(摺り合わせ状敷石状・鑷合ジョウゴウ状とも):蕾ツボミのとき萼ガクや花
 弁が隣り合ったものと重ならず,縁辺で接していること。例:キキョウの花冠裂片,
 ザクロの萼の裂片。
変種ヘンシュ:植物分類上の一階級。種又は亜種の下の単位。種,亜種,変種の関係は微妙
 で,学者により往々見解を異にする場合がある。
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