20a 園芸植物用語解説その2
 
[ち]
地下茎チカケイ:地上茎の対語。地中にあり,特殊な形をした茎をいう。外観的には退化し
 た鱗片状の葉があることで根と区別できる。形状によって根茎,塊茎,球茎,鱗茎の
 4種に分けられる。
地上茎チジョウケイ:地下茎に対する語。地上にある普通の茎。
地上植物チジョウショクブツ(挺空テイクウ植物とも):ラウンケルの生活形の一つで,冬芽が30p
 以上の高さに形成される植物をいう。一般の樹木とこれに着生するラン類やシダ類,
 多肉茎地上植物(サボテン類),草状地上植物(バショウ類),蔓性地上植物(キヅ
 タ,フジ)などに分けられる。
地中植物チチュウショクブツ:ラウンケルの生活形の一つ。冬芽が地中又は水中にある植物で,
 陸上のものを土中植物,水中にあるものを水生植物という。例:サクラソウ・カタク
 リ。
地被植物チヒショクブツ(カバープラントcover plantとも):低小な低木や草本で,地表を完
 全に被う植物。例:シバ。
地表植物チヒョウショクブツ:ラウンケルの生活形の一つで,冬芽が地表から30p位までの高さ
 に形成されて冬を越す植物をいう。例:ヤブコウジ・コケモモ・ガンコウラン。
着生植物チャクセイショクブツ(気中植物・気生植物とも):樹木の幹や枝,露出した岩石などに
 固着し,植物体全体を空中に晒す植物をいう。ラン科植物,シダ類,地衣類,蘚類に
 多い。例:フウラン・セッコク・マメヅタ・ノキシノブ・イワヒバ。
中央脈チュウオウミャク(中脈・中肋チュウロク・主脈とも):葉身の中央を走る最も太い葉脈のこ
 と。
中果皮チュウカヒ:果皮の中層のことで,モモを例に採れば食用の部分,ナツミカンの例では
 ”皮”として剥くところの白い綿状の部分。
中日植物チュウジツショクブツ(中性植物とも):日長に関係なく開花する植物で,エンドウ,
 トウモロコシのように貯蔵物質に富む種子を作るものや,球茎,根茎を作るものが一
 般にこれに属する。
中性花チュウセイカ:1花中の雄蘂オシベと雌蘂メシベが共に退化して結実しなくなった花をいう。
 例:ヤグルマギクの頭状花の周辺部の花,ガクアジサイやヤブデマリの周囲にある大
 形の装飾花も中性花である。
中生植物チュウセイショクブツ:土壌中の水分の状態が,乾燥地でもなく,湿地でもない普通の土
 地に生育する植物。
柱頭チュウトウ:雌蘂メシベの先端をいい,受粉の際花粉の着くところ。粘液を分泌したり,羽
 状に分裂したりして,花粉を受けやすくなっている。
頂芽チョウガ:枝の先端に生ずる芽で,腋芽に対する語。例:サクラ,トチノキなどの枝の
 先端の芽。
丁字咲きチョウジザキ:一重咲き又は二重咲きの花の中央に,雄蘂オシベが弁状に変化したも
 のが固まって生じ,周辺のものと形状や色彩を異にする咲き方。例:キク・ダリア。
長日植物チョウジツショクブツ:日長がある程度以上に長くなると花芽を形成する性質を有する
 植物。ただし日長時間には短い方に限界がある。日長が長くなることは,夜が短くな
 ることである。
直根チョクコン:胚の幼根から直接発達した根で,主根と同様に用いる場合もあるが,ダイコ
 ン,ニンジンなどのように主根だけが肥大し,側根の発達がよくないものを指す場合
 もある。
貯蔵根チョゾウコン:養分を貯えて肥大した根をいう。例:サツマイモ・カラスウリ・ダリア
 の塊根,ニンジン・ダイコン・コボウの直根。
沈水葉チンスイヨウ:浮水葉フスイヨウに対する語で,ヒルムシロ,サンショウモなどの水生植物に
 おいて,水面に浮く葉と水面下の葉とある場合に後者を指す。サンショウモでは根状
 に下垂する。
 
[つ]
追熟ツイジュク:@果実が採種後,食味が良くなり,香気を増して成熟する現象。後熟とも。
 A完熟した果実は収穫の際に傷みやすく,脱落しやすいので,早目に収穫,貯蔵して
 自然に完熟させること。
追肥ツイヒ・オイゴエ:元肥の肥効の不足を補う目的で施す肥料。
接木ツギキ:植物のある部分(根・幹・枝・芽など)を採って(接穂と呼ぶ),別の植物
 のある部分(根・幹・枝,台木と呼ぶ)に接着して両者の癒着を計り,新個体を作る
 こと。その方法に切接ぎ・削接ぎなどの枝接ぎ,芽接ぎ,根接ぎ,寄接ぎなどがある。
 例:リンゴをカイドウの台木に接ぐ,モモをウメやアンズの台木に接ぐ。
接木雑種ツギキザッシュ(栄養雑種とも):接木によって生じた雑種のことで,2種の台木と
 接穂との間の物質的交流が生殖細胞形成に影響して生じた遺伝性のある雑種。
接挿木ツギサシキ:根のない根幹を台木として,これに別の植物を接木する。同時にこの台
 木を挿木して発根させるもので,接木と挿木を同時に行う方法。
接蝋ツギロウ:接木のときに接木部の被覆用として用いる蜜蝋と松脂とを主な原料とし,こ
 れに獣脂,アルコールなどを混入して作る一種の粘着性物質。
壷形花冠ツボガタカカン:気合弁花冠の一種で,花冠の筒部が膨らみ,口の部分が狭くなって
 壷形をした花冠をいう。例:カキ・アセビ・ドウダンツツジ。
梅雨挿しツユザシ(夏挿しとも):挿木の一方法で,梅雨期(大体5月上旬〜7月中旬)に
 堅くなった新枝を挿す方法。
 
[て]
低温処理テイオンショリ:球根を促成するとき,初め低温に晒してから加温する方法。
低山帯テイザンタイ:植物の垂直分布上の植物帯の一つで,丘陵帯と亜高山帯との間に位置
 し,本州の中部山岳地帯では大体海抜500〜1500mの高さ。代表的な樹木はブナ,ミズ
 ナラ,サクラ,カエデ,シラカバ,シデ,クリ,ヤナギなど。
丁字状毛テイジジョウモウ:柄の短い丁字形で磁石の針のような毛。例:ミズキの葉の裏に圧
 着している毛。
丁字着テイジチャク:雄蘂オシベの葯が中央の1点で花糸の先端に着き,丁字形をなすこと。例
 :ヤマユリ・イネ・タケ・ヤツデ。
低出葉テイシュツヨウ:高出葉に対する語。地下茎又は地上茎の下部にある葉で,一般に小形で
 鱗片状,膜状などのものが多い。例:ヤマユリの茎の下部の鱗片状の葉。
底着テイチャク:@雄蘂オシベの葯の一端が花糸の先端に着いていること。例:ユキノシタ。A
 葉の着き方のことで,楯着に対して普通の着き方を表現する場合にいう。
低木テイボク(潅木とも):高木に対する語。高さ1〜5mの樹木で,1m以下の樹木を小低
 木という。
摘花テキカ:不良花房の花や,花数の多いところを中心に,開花直前から開花中にかけて花
 を摘み取ること。
摘果テキカ:果実の品質向上,樹勢の衰弱防止,隔年結果の調整,幼樹の生長促進,病虫害
 に侵された果実の除去などを目的として果実を全部成熟させずに一部のものを幼果の
 うちに摘み取ること。
摘心テキシン:樹の新梢を摘み取ること,又は草木類の茎の頂芽を摘み取ること。
摘葉テキヨウ:生育を良くするために余分の葉を摘み取ること。
デコラチーブ咲き(decorative):舌状花が沢山重なり合っていて,芯が見えない咲き
 方。例:ダリア。
電照栽培デンショウサイバイ:短日植物を長日の季節に咲かせるために,夜間電灯照明をして,
 日長を長くしたのと同じ効果を出させる栽培法。例:キク。
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