19d 園芸植物用語解説
 
[く]
偶然グウゼン実生ミショウ(偶発実生とも):両親が不明の種子から出た実生のことで,主と
 して果実についていう。
茎挿しクキザシ:挿木サシキの一方法で,草本の茎を挿すこと。茎の頂部を挿すものを頂天挿
 し(又は天挿しとも),茎の中部を挿すものを管挿しクダザシと呼ぶ。
管物クダモノ:大菊の咲き方の一種で,管弁クダベンと匙弁サジベンとからなり,なお管弁の太
 さによって太管,間管,細管,針管の別がある。例:キク。
クノップ液(knops):高等植物の水栽培に用いる培養液で,クノップによって考案され
 たもの。
蜘蛛毛クモゲ:蜘蛛の巣のような毛。例:アザミ類の総包にある毛。
クラスト(crust):微細な粒や土,肥料滓などが地表に溜まって固くなったもの。
グラスハウス(glass house):ガラス張りで作った栽培室。
グランドカバー(ground cover,地被とも):小低木や草で地表を完全に被うもの。例
 :シバ。
グリーンハウス(green house):温室のこと。
狂咲きクルイザキ:花が本来の姿でなく,不規則な姿に乱れて咲くこと。また本来の季節を
 外れて花が咲くこと。
車形クルマガタ花冠(輻状フクジョウ花冠):合弁花冠の一種でその筒部が短く,裂片が放射状
 に平開しているもの。例:ナス・ジャガイモ。
クローン(clone,栄養系又は分枝系とも):一個体から栄養繁殖でできた子孫のこと。
 
[け]
毛ケ:植物体の表面に生ずる毛状の突起物の総称で,粗毛,剛毛,軟毛,綿毛,蜘蛛毛,
 星状毛などがある。
茎菜ケイサイ:野菜のうち主として若い茎を食用に供するもの。例:ウド・アスパラガス・
 タケ。
茎針ケイシン(刺針とも):茎の変形によって生じた針。一般に葉を生じないが,ときに不
 完全な葉を生ずることがある。
結球ケッキュウ:葉菜がある程度生育した後,中心の葉が次第に巻き込み,新しい葉が次々と
 内側にできて葉球を作ること。
欠刻ケッコク:葉縁が不揃いに切れ込み,その縁に大小の鋸歯があるもの。例:キク。
結実調節ケツジツチョウセツ:1株当たりの着果数が多過ぎると,栄養が不均衡になり落果する
 ので,結実した果数を減らし調節すること。
毛吹きケブキ → やご(弥子)・根吹き
ケミカルコントロール(chemical control):合成された化学薬品を用いて,植物の生
 長,開花,結実を調節すること。
懸崖ケンガイ:幹が傾斜し,梢端が根の位置より下方に垂れ下がった姿。例:キク。
限界日長ゲンカイニッチョウ:短日植物,長日植物ともに花芽形成には一定の日長の限界があり,
 この限界のこと。
原種ゲンシュ:育成種の種子又は品種の原型となる種。
舷部ゲンブ:サクラソウ,キョウチクトウなどの花は花筒の先が大きく5片に裂けて平開
 している。この平開した部分をいう。離弁花ではナデシコ,アブラナの花弁の広がっ
 た部分をいう。
剣弁咲きケンベンザキ:花片が細く,先端が尖り剣状に咲くこと。例:バラ。
 
[こ]
綱コウ:植物分類上の一つの階級。門と目との間に位置する。
硬化コウカ:@植物が低温に遭うと生長が鈍り,葉は小さく硬くなり,外観が硬い感じとな
 る現象。A移植の前に環境の変化に耐えるよう,苗床での潅水カンスイを控え,次第に外
 気に当てて慣らし,萎れないように仕立てること。
孔開葯コウカイヤク:孔が開いて花粉を出す葯をいう。例:ツツジ・ナス。
光合成コウゴウセイ:緑色植物が大気から吸収した二酸化炭素と土中から吸収した水とを原料
 として,光エネルギーを用いて炭水化物を合成すること。
交差枝コウサシ:幹や主枝又は側得が互いに交差している枝。
交雑コウザツ:異品種あるいは異系統,ときには異種の間に花粉の交配が行われて,雑種が
 形成されること。
交雑育種イクシュ:人工で交雑を行い,両親の有する優良な因子の新しい組合せを示す新し
 い系統を育成すること。
交雑不和合性フワゴウセイ:花粉と胚珠が共に正常な生殖能力のある品種でも,ある品種とあ
 る品種との組合せでは結果不良になることがあり,これを交雑不和合性という。例:
 ウメ・クリ。
高山植物コウザンショクブツ:高山帯の生活の本拠を有する植物。環境条件が厳しいので小形の
 ものが多く,生育期間が短いので,夏季には各種の植物が一斉に開花してお花畑を現
 出する。
高山帯コウザンタイ:植物の垂直分布上の植物帯の一つで,亜高山帯の上に位し,本州の中部
 山岳地帯では大体2500m以上の高さ。ハイマツを始め多くの高山植物が生育する。
鉤刺コウシ:先が編み物の針のように曲がった刺トゲ。例:キンミズヒキの果実の付着器官。
光周性コウシュウセイ:日照時間の長短の周期的変化により,生育が促進されたり,又は抑制さ
 れたりする性質で,長日性,中日性,短日性などがある。
高出葉コウシュツヨウ:低出葉に対する語。茎の上部,殊に花の付近にある葉のことで,一般に
 包,総包と呼ばれるもの。
交配コウハイ(掛合わせとも):二つの個体間で有性生殖をさせること。
交配不親和性フシンワセイ(交配不和合性とも):果実で異品種の間に認められる不親和性で,
 花粉や胚に欠陥はないが,相互に交配した場合に結果率が極めて低くなること。
合弁萼ゴウベンガク:離弁萼リベンガクに対する語。萼片ガクヘンの下部が互いに合着している萼
 をいい,筒状,皿状,杯状などがある。例:ザクロ・グミ・ナデシコ・サルビア。
合弁花類(後生花被類とも):双子葉植物を二大別したときの1群で,離弁花類と対立
 する。花被は萼ガクと花冠カカンに分かれ,花弁は合着して合弁花冠となる。
高木コウボク(喬木とも):丈の高くなる木で,普通10m以上の木(5〜10mは小高木)をい
 う。
鉤毛コウモウ → 鉤状毛カギジョウモウ
剛毛ゴウモウ:粗く硬い毛で,非常にざらつき,粗毛より硬い。例:ナベナ・カナムグラ。
広葉樹コウヨウジュ:針葉樹に対する語。双子葉植物に属する平たい葉を持つ樹木の総称で,
 落葉か常緑かで落葉広葉樹,常緑広葉樹に分かれる。
光琳咲きコウリンザキ:やや円味を帯びた花片が歪みや波打ちがなく,整然と展開した端正な
 姿に咲くもの。例:キク・コスモス。
高冷地コウレイチ育苗イクビョウ:花芽分化を早めるために,作物を高冷地に一時的に移して苗を
 育てること。
護頴ゴエイ → 頴エイ
袴状コジョウ:ハナショウブ,グラジオラスなどのように,2列の剣状葉の基部が互いに抱
 き合っている形をいう。
五数性ゴスウセイ:花を構成する萼ガク,花弁,雄蘂オシベ,雌蘂メシベなどが5又はその倍数か
 らなることをいう。例:ツツジ・アサガオ。
五体雄蘂ゴタイオシベ:1花中にある多数の雄蘂の花糸が下部で合着し,5個の束になった
 もの。例:ビョウヤナギ。
薦巻きコモマキ:@強光や寒気に対して皮焼きや霜割れを防ぐために樹皮の薄い幹に薦を巻
 くこと。Aマツケムシの防除のため,マツの樹幹に薦などを巻くこと。
コラレット咲き(collaret):八重咲きで外部の花片は平たく,その内部に心花を取り
 巻いて小さな副片がある咲き方。例:ダリア。
コルヒチン(colchicine):ユリ科のイヌサフランに含まれているアルカロイドで,有
 糸分裂で紡錘体の形成を妨げ,縦裂した染色体を分裂させずに倍加する働きがある。
根茎コンケイ:地下茎の一種で,地中に横たわり,根のように見える地下茎。地下茎のよう
 に節があり,そこに葉の痕跡があるので根と区別される。例:タケ・ハス。
根菜コンサイ:野菜のうち,主として地下部(子葉から下の方の茎と主根,地下茎)を食用
 とするもの。例:ハス・ダイコン。
根出葉コンシュツヨウ → 根生葉
根生葉コンセイヨウ(根出葉とも):タンポポ,オオバコなどのような根元から出ている葉の
 こと。
根帽コンボウ:ウキクサの水中に垂れ下がった根の先端を包んでいる組織。短い管状で,先
 が円いか尖るかは分類上の目安となる。
根瘤コンリュウ:マメ科の植物の根に根粒細菌が共生してできる粒状の特殊な組織。
[次へ進んで下さい]