宇検村の阿室という集落は、柳田国男の「海南小記」にも出てくる「神高き」古くからの集落です。
柳田国男によれば、この集落の人々は信仰心があつく、その昔は祭りの日には神様が白い馬に乗って「おいでなさる」のを多くの人々が目撃したとして紹介されています。
この神様というのは祖先神である天上神として各集落の「オボツ山」に天下ると信じられていたそうです。阿室にはいまでもアシャゲ(祭場)があります。ただし、外側はコンクリート造りになっています。
この天上神(ネリヤカナヤの神)を祭ったのが「ノロ」と呼ばれる女性で、琉球文化の影響の強かった時代には「ノロ」は絶大な権限をもっていたと言われています。
参考文献: 柳田国男「海南小記」
上野和男・大越公平編「奄美の神と村」現代のエスプリ194、至文堂、昭和58年9月