志木グリークラブ
こんなこと・あんなこと
<2003.10.12> 「声は芸術」と「Time is Life」 … 10月12日盲老人ホームひとみ園祭に参加して
グリークラブが、 10月12日(日)深谷市の「盲老人ホームひとみ園祭」に参加した。
初めてひとみ園祭に参加したのは、平成6年のことである。その時に観た盲老人による演劇“月よりの使者”にグリーメンは、大きな衝撃を受けた。なんたっ て、眼の不自由な老人の方々が(平均年齢70数歳、最高齢95歳)台詞を暗記して劇を演じたのである。(我々がむかし小学校の学芸会でやっ た劇を想像して下さい。グリーメンは、10年経っても暗譜できないのに)
グリーメンや同行した第九の会の女性は、想像もしていなかった世界に出会い強烈な感動を覚えたものである。最初の感動が忘れられなくて、それ以来一昨年 まで連続8年間出演した。(昨年は定期演奏会と重なり辞退した)
昨年からは近接地に出来た関連施設「身障者福祉ホームむさし靜光園祭」と「盲老人ホームひとみ園祭」の合同祭として盛大に開催されている。
さて、今年のグリークラブは、20名で参加した。指揮は野倉さん。司会は佐藤さん。
演奏曲目は、Das Lied、ちいさい秋みつけた、もみじ、川の流れのように、斎太郎節、黒田節の6曲である。曲の選定にあたっては、季節と客層に配慮し、秋の歌ポピュラー 曲と民謡にした。
幅約6m、奥行き約3mの狭いステージに2列に並んだ。観客は、約50名、入居者及び何らか形で本施設に関係している方々で、お年を召したご婦人が殆ど で、男性はごく少数である。黒田節は、会場の人も手拍子で一緒に歌っていた。
指揮の野倉さんは久々の登場で、指揮棒を振るより歌う方が楽だとここ暫くはベースパートに専念していた。(いくらチャンと振ってもその通 りに歌わないメンバーに愛想を尽かした?) 司会の佐藤さんは、本邦初デビューである。テノールで鍛えた張りのある声で、時には笑いを 誘った司会で、歴代の名司会者達にも劣らない名調子のデビュー戦であった。
「川の流れのように」を歌った時、前列のご婦人がハンカチを眼に当ておられ,かえってこちらの方が感動してしまった。
演奏が終わって、茂木幹央園長が講評と謝辞を述べられた。その中で、茂木園長は、
「わたしは“文字は芸術なり”ということばを大切にし共感してきたが、本日グリークラブの鍛えられた声でのコーラスを聴いて“声は芸術なり”という感を 強くした。司会者からグリークラブの平均年齢は60歳台ですと聞いたが、声は鍛えれば年齢に関係なく素晴らしいものになり、人を感動させるものであること の確証を得た」
また、「“Time is Money”という諺があるが、わたしは“Time is Life =時は人生なり”といつも考えている。地球の一生に比べて人の一生は余りにも短い。この限られた貴重な人生(時間)を如何に有意義に生きて行くか。残され た時間をどのように過ごして行くのか。それぞれ各人が考えるとともにみんなで考えることが、この世に生を受けた者に科せられたテーマであり
、グリーの皆さんの生き方の一端にf触れ、元気をいただいたような気がする」
と、含蓄のある過分な評を頂戴した。
茂木園長は4歳の時、病気がもとで失明されたが、一生のお仕事として盲老人施設“ひとみ園”の運営に立上げからご夫婦で携わってこられている。(わ たしは自宅に帰って茂木園長の“Time is Life =時は人生なり”のことばの意味をジックリかみ締めていた)
なお、今年の盲老人による演劇は、江川晴作「法務教官 夏川凛子〜医療少年院ナース物語〜」(上演時間約1時間30分)で、演出、進行など随所に工夫の 跡がみられ、いままでよりテンポも速く、いつもながら深い感銘を受けた。
(2ndTenor:和氣敏夫記)
---------- 志木第九の会 ----------