乙女桜
最終更新日 :2010/10/10
今日は朝からカラリと晴れた。
お花畑のバラやカーネーションに水をあげると、しずくは強い日差しでキラキラ輝きながら転がり落ちて、乾いた土に気持ちよくしみこんでいく。
朝の水浴びを終えたマダツボミのツボいち、ツボじ、ツボみ、ツボよ、ツボごろうたちは、お花畑のあちこちに散らばってせっせと虫取りを始めてる。
ポポッコのポポたんが、花びらに大き目の水玉をのっけて、コロコロ転がして遊んでる……
と思ったら、そのままふわふわ飛んできて水やり中のあたしの頭にのっかってきた。
ちょっとー。こっちはお手伝い中なのに、頭の上で遊ぶのやめてくれる?
……ま、帽子がわりになるからいっか。
ひととおり水やりが終わったあたりで、おじいちゃんの呼ぶ声が聞こえた。
「おーい、さくら、そろそろ配達の時間だから手伝っておくれ」
えー、いけない! もうそんな時間になっちゃった?!
あたしはガレージに駆けつけると、おじいちゃんが出荷するお花をトラックに積み込むのを手伝った。
乗り込む前に急いでエプロンを新しいのに替える。
あたしの名前とおんなじ、桜の花の刺しゅうが入ってるおしゃれなエプロン。
前の、チューリップとアチャモ柄もかわいいのはかわいいんだけど、あんまり子どもっぽすぎるんだよね。
昨日おねだりして買ってもらったばかりの新しいエプロン、ナオキさん、気がついてくれるかなあ。
ナオキさんは、うちのお得意様の花屋の店長さん。
背が高くてすらっとしてて、やさしくって、でもって笑顔がすてきで、とてもじゃないけど「イケメン」なんて一言じゃ言えないくらいすごくカッコいい、あこがれのお兄さんだ。
ナオキさんの花屋さんは、お花の品質はもちろんのこと(うちの農園で丹精こめて育ててるんだから当然だよね!)、センスがいいって町一番の人気で、しょっちゅう売り切れてるんだって。
ていうか、もしかすると半分ぐらいの人はナオキさんに会いたくてお花を買ってるんじゃないかなあ……、とかあたしはこっそり思ってる。
トラックがお店に着くと、ちょうど開店準備の最中だった。
「まいどー、ヤマノ生花園です」
おじいちゃんの後から注文のお花のはいったバケツをかかえて入って行くと、ナオキさんが振り向いてにっこり笑いかけてくれた。
「おはよう、さくらちゃん。いつもお手伝いご苦労さま」
ドキドキしてるあたしの頭を、ナオキさんはぽふぽふ、といつものようになでなでしてくれた。
……うれしいんだけど、子どもあつかいされすぎな気がしてちょっとフクザツー、と思っていると……
「おや、新しいエプロンすてきだね。良く似合うよ」
気がついてくれた!
ほっぺがぽっと熱くなって、思わずお花のバケツをぎゅっと抱きしめ……そうになってあわてて持ち直して運ぶ。
ナオキさんはすぐ、おじいちゃんとお仕事の話にもどっちゃったけど、今日はエプロンに気がついてもらえただけでもいいや。
でも、いつか、ひょっとしてひょっとしたら。
あたしの背がもっと伸びたら、エプロンじゃなくてあたしのこともすてき、なんて、言ってくれたりしないかなあ。
……言ってくれたらいいなあ。
そう思いながら、ゴーリキーの少女はぽっと頬を染めたのでした。
見事、ひっかかっていただけ・・・もとい、最後まで疑いをいだかずに読んでいただけたでしょうか。(^^) 叙述トリックってわりと好きなものでwww
主人公をワンリキーにするかゴーリキーにするかは最後まで迷いました。ゴーリキー150cmじゃ子供あつかいにするにもデカいかな〜、とか思ったんですが、やっぱゴーリキーの方がインパクトあるしということで〜(^^;)
以上は、マサラのポケモン図書館で開催の「気軽に小説を楽しもう!」という企画、ポケモンストーリーズ!に参加して、15拍手と『最近のサトチさんはオチがひどいw』(笑)とのほめ言葉(?)をいただいた作品です。 ちなみにお題は「樹(?)」。
・・・・・・とりあえず、最後の一行を読んでなお絵を描こうという勇者求む(笑)!とか言ってたんだけど、結局自分で描いちゃいました(^^;)
ふつ〜にかわいいさくらちゃんのイラストはこちら。まだワンリキーですね(^^)
さらに、2011年初頭にジャイアントインパクトを巻き起こしたイラストがこちらです。(笑)どうぞ、ごらんくださいませ〜。
※ 以下は、某所でバトル相手パーティ募集していたときに応募した設定です。性格等は物語の雰囲気で適当に設定しました(笑)
【種族/ニックネーム】ゴーリキー/さくら
【性別/性格】♀/むじゃき
【特性】こんじょう(ガードは固いのvvv)
【使用技】おんがえし あなをほる かわらわり メロメロ
【備考】お肌ツヤツヤ、筋肉ムキムキ夢見る乙女。